ぜんぜん気にしない技術

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ぜんぜん気にしない技術
出版社
クロスメディア・パブリッシング
出版日
2013年12月13日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「失敗しても、嫌われても、怒られても、お金に困っても、夢がなくても、いいんです」。本書を通じてこのメッセージを伝えるのは、中卒起業家の家入一真氏とハーバード卒の森田正康氏という異色の二人だ。

中卒起業家の家入一真氏は、家が貧乏で、最終学歴は中卒。いじめに遭ってひきこもり、いまも遅刻やドタキャンの常習犯。一方、森田氏は、家が小金持ちで、ハーバード、ケンブリッジ、コロンビア卒という“学歴フェチ”。12歳で渡米してからというもの、エリートコースを歩み続け、いまは大学教授もしている。

そんな全然違うキャリアを歩んできた彼らの共通項は、「ひたすら自分に正直なこと」。本書は、二人の著者がそれぞれの人生を生きてきたなかで身につけた「ぜんぜん気にしない技術」を学べる一冊だ。

世の中は「気にしすぎな人」で溢れている。気にしすぎな人は「嫌われたくない」「失敗したくない」「自信がない」「他人が羨ましい」「怒られたくない」と、自分の気持ちより他人や世間体を優先した行動をとってしまう。自分では気にしすぎとわかっているが、どうしても割り切って考えることができない。

そんな人に対して、著者の二人は「たった一度しかない人生、自分より周りを優先させるなんてもったいない」「もう少し自分のことを考えてみてもいい」と優しく諭してくれる。さまざまな悩みに答えていく授業形式で書かれた本書は、あなたの抱える思い込みをきっと取り払ってくれるはずだ。

本書は東京都知事選挙に立候補した家入氏の近著であることもあり、ぜひ手に取って読んでいただきたい。

著者

家入 一真
1978年福岡県生まれ。中学2年から高校3年まで引きこもりを経験し、その後深夜バイトや新聞奨学生を経て起業。国内最大手のレンタルサーバー 「ロリポップ!」をはじめ、「ブクログ」「CAMPFIRE」「BASE」など、数々のトップサービスを立ち上げる。
2007年、JASDAQに当時最年少上場。現在はベンチャー企業へ投資を行うかたわら、起業集団「Liverty」代表として活動している。著書に『新装版こんな僕でも社長になれた』『15歳から、社長になれる。ぼくらの時代の起業入門』(イースト・プレス)『お金が教えてくれること』(大和書房)などがある。

森田 正康
1976年、愛知県生まれ。株式会社ヒトメディア代表取締役社長兼CEO。12歳から渡米し、UCバークレー、ハーバード、ケンブリッジなど海外の大学・大学院を渡り歩く。ハーバード大学教育学修士、ケンブリッジ大学哲学修士。25歳のときに日本に帰国し、語学系出版社の第2次創業メンバーとして取締役に就任、2006年にはJASDAQ上場を果たす。その後、株式会社ヒトメディアを創業し、今日に至る。その他にも京都情報大学院大学応用情報技術研究科教授、非営利活動法人教育支援協会理事など、国内外の企業経営、プロサッカーチームの経営、大学教授、教育機関など複数の役職を経験。クロスメディア展開による新しい教育の形を創造するための活動を行っている。著書に『僕たちは知恵を身につけるべきだと思う』(クロスメディア・パブリッシング)『エリートを超える 凡人のための人生戦略ノート』(かんき出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    気にしすぎな人は自分のことより周り優先の行動をとってしまうが、それはもったいないことだ。本書では、自分に正直に生きてきた家入氏、森田氏の二人による、気にしすぎな人の思い込みを取り払うための言葉が紡がれている。
  • 要点
    2
    才能がないからといって、人生あきらめることはない。世の中で評価されている「才能」とは後天的なものだからだ。
  • 要点
    3
    お金を持っているからと言って、勝ち組とは言えない。お金を持っていれば選択肢が増えるかもしれないが、ただの金には何の価値もない。勝ち組とは、お金の使い方を知っている人のことだ。

要約

1時間目:世の中

「夢も希望もありません」
alphaspirit/iStock/Thinkstock

「やりたいことなんてない」という人がいる。本人はそのせいで困っていると思っているかもしれない。たしかに何もないよりはあったほうが安心できるのだろう。

だがそんな人に対して、家入氏は「夢も希望もただの荷物でしかない」と主張する。

夢や希望をもったところで、それらはその人の人生を保証してくれないし、その人の人生を成功へと導いてくれるわけでもない。夢も希望も曖昧で頼りない存在であり、生きる糧になることもあるかもしれないが、足を引っ張ることもあるからだ。

森田氏も家入氏と同じように「夢をもつことが悪いことだとは思わないが、夢に執着することはおすすめできない」と語り、そのうえで「何かをはじめるときに重要なのは、失敗しないための準備でも、最後までやり遂げようとする決意でもなく、逃げる早さだ」と説いている。

逃げる早さとは、見切りをつける早さと同義だ。面白そうだなって思ったらやってみる。気になったら手を出してみる。つまずいてしまったらいったん身を引いて、体勢を立て直した上で再度首を突っ込んでみる。そうやって何かをはじめてみることのほうが、夢を探すことよりも大切だ。実際、森田氏は起業家と教授の両立を目指し今に至っている。

夢も希望もないと嘆く人に著者の二人は、「荷物なんか捨てて、目の前のことやってみようよ」、そう教えてくれている。

2時間目:自分

「要領のいい人間に憧れますがなれません」
violet-blue/iStock/Thinkstock

愛想が良かったり、口が達者で世渡り上手な人は、世渡り下手な人からしてみれば、うらやましく見えるかもしれない。だが、二人は「世渡り下手で何が悪いのかわからない。世渡りが下手でも、その人なりの生き方がある」と教えてくれる。

実際に家入氏は、世渡り下手な人の方が愛着が湧くし、成功すると思っているそうだ。世渡りが下手な人ほど、這いつくばって生きているから人間らしさがにじみ出てくるし、だからこそやることに物語が生まれる。そして世渡り下手な人ほど、何かに集中したときのパワーがすごいからだ。世渡りが下手なら下手なりに、そのことを認めて開き直ってしまうほうがいい。

森田氏は「世渡り上手な人の人生なんて面白みに欠けるから憧れない方がいい」と断じている。世渡り上手な人は結局、自分では何もしていない人であり、誰かに気に入られ、その人の周りで愛想を振りまいているだけだと思うからだ。世渡り上手な人は中身がない人も多く、一部の人を除き、皆が口を揃えて「あの人はずるがしこい」「あの人ちょっと苦手」と思われているケースが多い。

一方、何かを成し遂げるためにがんばっている人は山あり谷ありで、失敗もたくさん経験し、いろんな経験値を積んでいく。故に経験を積んでいる人は、人間力が高く、周りからも信頼されるようになるのである。

だからこそ、著者の二人は世渡り上手を目指すのではなく、世渡り下手でも、ひたすら自分に正直に生きていくようにしている。

自分に正直に生きるのは、他人からみたら不器用な生き方かもしれないし、ときには敵をつくることだってあるかもしれない。しかし、世の中には合わない人だっているだろう。不器用な人ほど、幸せになれる。そう二人は背中を押してくれるのだ。

3時間目:人間関係

「嫌われるんじゃないかと不安です」
IvelinRadkov/iStock/Thinkstock

反対意見を言ったり、拒否したりできない。ついつい八方美人になってしまうことがある。嫌われるよりも好かれたい。それは誰にとってもいえることだと思う。

しかし、「残念ながら出会った人全員が、みんな自分のことを好きになってくれることは絶対にない」「きみが誰からも好かれようと努力をしているのなら無理だから諦めたほうがいい」と著者の二人は断言する。

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要約公開日 2014.01.31
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