勇気の科学
一歩踏み出すための集中講義

未 読
勇気の科学
ジャンル
著者
ロバート・ビスワス=ディーナー 児島修(訳)
出版社
大和書房
定価
1,760円(税込)
出版日
2013年12月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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勇気の科学
勇気の科学
一歩踏み出すための集中講義
著者
ロバート・ビスワス=ディーナー 児島修(訳)
未 読
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ジャンル
出版社
大和書房
定価
1,760円(税込)
出版日
2013年12月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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レビュー

人間とは何と弱い生き物なのだろうか。近所で女性の悲鳴が聞こえたとき、警察を呼ぶことはできても、現場に踏み込んで救出しようと思える人はそう多くはない。もちろん、その人には家族や恋人など人生で守るべきものがあるのだから、それが勇気の欠如だと短絡的に言うことは適切ではない。しかし、目の前に溺れている親しい人がいて、救命ボートが近くにあるケースにおいては、もはや勇気を奮い起こすタイミングなのかもしれない。

本書によれば、勇気は恐怖と対になるものなのだという。恐怖を感じることは生命的な反応であるので、当然のことである。臆病と勇気を分けるものは、心の中で何を思うかではなく、取った行動で判断すべきことだという。それでは恐怖を乗り越えるためにはどのような方法があるのだろうか。本書には、勇気を奮い起こし行動を起こす具体的なメカニズムや心構えが示されており、大変参考になるものだ。

本書は大量のデータで裏付けされた理論というよりは、演繹的に論理を導く手法で勇気を科学している書籍と言えるだろう。勇気というと、消防団や兵士、格闘家等が必要なものだと思われるかもしれない。しかしその本質を知れば、大組織の慣習に立ち向かう一介のビジネスパーソンや、両親の期待に背く芸術家・起業家など、多くの人にとって勇気が必要な局面が多いことに改めて気付かされる。勇気は後天的に習得可能な能力であるという本書の主張は、勇気の必要な多くのビジネスパーソンにとって心強いものであるに違いない。

大賀康史

著者

ロバート・ビスワス=ディーナー
米ポートランド州立大学心理学部講師。勇気、強さ、幸福などをテーマにグリーンランドやインド、ケニア、イスラエルなど世界中を駆け回り、「ポジティブ心理学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ。『ジャーナル・オブ・ポジティブ・サイコロジー』誌編集委員。ポジティブ心理学に基づいたコーチングの第一人者とされ、シンガポール、南アフリカ、ブラジルなど、世界各地で年間数百人の経営者やマネージャーを対象とした、パフォーマンス管理やリーダーシップ開発などのコンサルティングサービスを提供している。Positive Acorn社代表。妻、子どもとオレゴン州ポートランドに暮らしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    勇気とは、危険、不確実性、恐怖があるにもかかわらず、道義的で価値ある目的に向かっていく行動意志である。
  • 要点
    2
    幸運やラッキーアイテムなどの超自然的な力を信じることは、勇気を高める効果的方法になり得る。
  • 要点
    3
    勇気を奮い起こし行動を決断するまでには、下記の5段階を経る。
  • 要点
    4
    ① 出来事を認識する。
  • 要点
    5
    ② 緊急事態であることを理解する。
  • 要点
    6
    ③ 自分に問題に対処する責任があると感じる。
  • 要点
    7
    ④ 問題に対処するための方法がわかる。
  • 要点
    8
    ⑤ 行動を決断する。

要約

本書の構成

一歩を踏み出すための科学

本書は前半で勇気が何であるのかを語られた上で、後半に勇気を高める方法や、勇気を阻害するものへの対処策が具体的に述べられている。

冒頭では勇気を具体的にイメージできるように、著者がマサイ族への取材を行うにあたり、彼らの重んじる勇気を示すために行ったことが描かれている。それは火の棒を胸に押し付けるという儀式である。しかも3箇所に3度ずつ行うというのだから、想像を絶すると言わざるを得ない。著者はその行為によって勇気を示した結果、マサイ族からの信頼を得て取材が成功裏に推移したという。では、そのような勇気はどのように奮い起こすことができるのか。本書の内容を紹介したい。

勇気とは何か

リスクに立ち向かう「意志力」
totallyPic.com/iStock/Thinkstock

心理学者のクリストファーレイトの研究によれば、辞書や文献、心理学研究に見られる勇気のほとんどは次のようなものである。

① 危険や脅威が存在すること。

② 行動の結果が確実ではないこと。

③ 恐怖が存在すること。

④ そのような条件があるにもかかわらず、個人が明確な意思と意図を持って行動すること。

すなわち、凍り付くような滝を登る探検家の勇気も、会社での非倫理的な商慣習を指摘する中間管理職の勇気も、本質的には変わりがない。上記のような要素が当てはまる状況下にあるからだ。

加えて、勇気には倫理的な価値がなくてはならない。それが路上強盗と英雄を分けるものである。更に勇気には他者に伝染する効果があることからこそ、価値があると称賛されるのだ。弱者を擁護する、信念を貫く、交通事故に遭いそうな人を救うなどの行動を見ると周りの人も影響を受けるのだという。それらのことを総合的に勘案すると、勇気の新しい定義は次のようなものである。

「勇気とは、危険、不確実性、恐怖があるにもかかわらず、道義的で価値ある目的に向かっていく行動意志である」

生死を分ける状況で、人はどう振る舞うか
zabelin/iStock/Thinkstock

現代で初めて正式に勇気を研究したのは、モラン卿として有名な、チャールズ・モクモラン・ウィルソンであろう。モランは第一次世界大戦に軍医として従事、兵士たちが感じている恐怖の度合いに個人差があることがわかり、兵士をタイプ別に分類する。

「恐怖を感じていない兵士」

「恐怖を感じているが、それを表に出さない兵士」

「恐怖を感じていてそれを表に出すが、任務は遂行する兵士」

「恐怖を感じそれを表に出し、任務を放棄しようとする兵士」

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