それでもあきらめない

ハーバードが私に教えてくれたこと
未読
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ハーバードが私に教えてくれたこと
著者
未読
それでもあきらめない
著者
出版社
出版日
2014年01月17日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書のタイトルを見ると、「どうせまたハーバードのエリートが書いた本だろう」と思ってしまいそうだ。しかし、きらびやかな内容かと言えば、全くもってそうではない。完全に期待を裏切ってくれることだろう。本書は随分と暗い話から始まる。時代は就職氷河期、内定をひとつももらえないまま卒業した著者のアルバイト生活からストーリーは始まる。

本書は5章構成で、各章5つのエピソードがある。その25個がハーバードの教えてくれたメッセージというわけだが、その25個が全く聞いたことがないかと言えば、そんなことはない。誰もが一度は聞いたことがある、というのがほとんどだろう。

しかし、こうしたメッセージは誰から発せられたものか、どのようなエピソードをもって語られるのかによって、読み手に伝わるかどうかが決まるものだ。著者に共感を持てれば、そのメッセージも吸収しやすい。だからこそ、当ハイライトでは25のメッセージをすべて紹介するというのではなく、著者がどのような人生を歩んできたのかに主軸を置いて紹介している。

彼女の人生に共感が持てる人は、今までの誰に語られるよりもすんなりとメッセージを受け取ることができるだろう。また文章が極めてわかりやすいのが著者の特徴だ。まるで小説を読むように入ってくることだろう。ここに載せたのは印象的な5つのエピソードだが、ぜひ本書を手に取り、ほかのエピソードも是非お読みになっていただきたい。

著者

林 英恵
渋谷教育学園幕張高校を経て早稲田大学社会科学部卒業(在学中、タイ・タマサート大学留学)。在学中から、レポーターや新聞記者としての勤務やミスコンテストでの業務、国連機関でのインターン等を通じ、国際親善関連の活動を行う。
その後渡米。2006年ボストン大学教育大学教育工学科修了。日本ユニセフ協会の奨学金を得て、UNICEFインドカントリーオフィスにてインターン。株式会社マッキャンヘルスコミュニケーションズ(外資系広告会社)、パブリックヘルス部門にてストラテジックプランナーとして勤務し、同社の支援を得てハーバード大学公衆衛生大学院修士号を取得(ヘルスコミュニケーション専攻)。
現在は同大学院博士過程に在籍。ヘルスコミュニケーション及びソーシャルマーケティングのアプローチを用いて、ヘルスケア業界(医療及び公衆衛生分野)において、国際機関、政府機関や企業等のコミュニケーション全般(普及啓発活動・PRブランディング・等)の企画・戦略策定・実行・評価及びプロジェクトマネジメントを行っている。また、キャリアデザイン・開拓に関する講演等も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    今やりたいことがわからなくてもいい。より大事なのは、常に物事に真摯に向き合い、感じ、考えること。そして本当にやりたいことを見つけることだ。
  • 要点
    2
    職業やポジションを目指すのではなく、「あるべき社会」を実現するために、自分は一体どう貢献することができるかを考える。
  • 要点
    3
    目の前にある一見つまらない作業を雑用として認識するか、大きな仕事の根幹として認識するかは本人次第だ。
  • 要点
    4
    与えて、与えて、与えて、その結果として与えられる。見返りを期待して行動してはいけない。
  • 要点
    5
    自分に限界を作らず、常にどうしたら実現できるかを考える。

要約

【必読ポイント!】 プロローグ PROLOGUE

世の中から全く必要とされなかった20代

それは、あまりにあっけない終わり方だった。

「採用が決まった方には、本日中にご連絡を差し上げます」私はジャーナリストになることを夢見ていた。時計の針が午前0時を過ぎる。ついに、携帯電話は鳴らなかった。胃のあたりに重い気持ちを抱えたまま、涙だけが静かに流れていった。こうして私は、就職先が決まらないまま、大学を卒業することになった。

だが往生際の悪い私は、記者になることをあきらめきれなかった。第一志望だった新聞社の、とある編集部に飛び込みで履歴書を持参し、働きたいという意思を伝えた。しばらくして、その編集部から連絡があった。「産休を取る社員がいるので、編集のアルバイトをしないか」という電話だった。手取りは15万に満たなかったが、二つ返事で引き受けた。

あこがれの新聞社での仕事。私の心は躍った。アルバイトをすれば、その熱意が伝わって、次の採用試験では合格できるかもしれない。

しかし、その見通しは甘かった。その後、半年に一度行われるその会社の記者職採用試験に立て続けに落ち、最後には書類選考すら通らくなった。20代という気力も体力も有り余っている時期に、世の中からまったく必要とされず、時間を持て余しているということが、何より耐えがたかった。「私はいつから道を踏み外してしまったのだろう」起きていると、いろいろなことを考えてしまう。嫌なことを忘れ、悩まずにすむ方法は唯一、眠ることだけだった。

iStock/Thinkstock
そしてハーバードへ

そんなとき、私のもとに1通の封筒が届いた。差出人を見ると、ボストン大学教育大学院とある。私は就職活動と同時に、アメリカの大学院にも応募書類を提出していた。そのひとつが実を結んだのだ。それは、私が受け取った、唯一の「合格通知」だった。そして、ボストン大学から「奨学金を出す」という通知も届いた。「せっかく与えられたチャンスなのだから、それを生かしなさい」私の周りで、私以外すべての人がこういうようになった。結局、2005年1月、後ろ髪を引かれる思いでボストンに飛び立った。ジャーナリストになる夢をあきらめるのか? 合格はしたものの、そんな戸惑いを抱えての出発だった。「でも、今は前にすすむしかない」選択の余地などなかった。

その後、私はボストン大学の大学院を卒業し、ユニセフのインド事務所でHIV予防の啓発活動をサポートする業務に携わった。そしてこの公衆衛生という分野にも、興味がどんどん深まっていった。「公衆衛生の仕事をこのまま続けるなら、専門性がなくては話にならない」と感じ、インターネットで情報を集めていたとき、あるニュースが目に飛び込んでくる。

ハーバード大学の公衆衛生大学院でヘルスコミュニケーションの専攻コースが開設されるというのだ。仕事の合間をぬって、急いで願書を提出したのは言うまでもない。ハーバードに出願するのは、これでもう3回目となる。「これで合格できなかったら、この学校とは縁がなかったと諦めよう」と思うこともあった。

2006年の大晦日、ユニセフの仕事もそろそろ終わりに近づいていたときのこと、突然私の携帯電話が鳴った。声の主は、広告会社のアジア太平洋支社の社長だという。

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要約公開日 2013.10.31
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