〆切仕事術

未読
〆切仕事術
〆切仕事術
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〆切仕事術
著者
出版社
出版日
2016年12月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

依頼が引きも切らない人気ブックライターの著者は、フリーランスになって23年間、一度も〆切に遅れたことがないという。そして月に1冊という驚異的なペースで本を執筆し、講演や講座も行っている。かといってフル回転で仕事に追われているかというと、そうではない。土日はしっかり休み、徹夜をせず、毎年必ずハワイに行き、帰省もする。どうすればそのようなメリハリを維持できるのだろうか。

その答えのカギは、「〆切とうまく付き合っていく」ことにある。著者は〆切があるからこそ仕事をさくさく進められるし、逆に〆切のない仕事には手をつけられないと考える。そもそも仕事力を磨くには、それなりの仕事量をこなしていく必要がある。しかし、仕事をたくさん受けると〆切にもっと追われてしまう。そこで、「もうたくさんだ」と感じて仕事の量を減らすか、それとも仕事をどんどんクリアして「もっと頑張りたい」と考えられるようになるかは、〆切のコントロール次第といえる。

本書では、〆切とうまく付き合うための仕事術がわかりやすくまとめられている。例えば、「仕事を細分化してそれぞれのプロセスに要する時間を見積もる」、「時間割にまとめて運用していく」など、今日からでもすぐに実践に活かせる内容ばかりだ。

また、仕事の依頼者がどのような工夫を凝らせば、相手に〆切を守ってもらえるようになるのかについても、鋭い考察がなされている。仕事を引き受ける側はもちろん、依頼する側にとっても実に学びの多い一冊である。

ライター画像
山崎裕介

著者

上阪 徹(うえさか・とおる)
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、経済、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がけている。広範囲に及ぶ取材相手は3000人を超え、自らが聞き出した成功者のエッセンスを伝える講演活動も行う。著書に『ビジネスマンのための新しい童話の読み方 人生の壁を破る35話』(飛鳥新社)、『「聞き方」を変えれば、あなたの仕事はうまくいく』(文響社)、『できる人の準備力』(すばる舎)、『職業、ブックライター 毎月1冊10万字書く私の方法』(講談社)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『ライザップはなぜ、結果にコミットできるのか』(あさ出版)、『リブセンス』(日経BP社)など多数。インタビュー集に累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズなど。インタビューで書き上げるブックライター作品も60冊以上を数える。

本書の要点

  • 要点
    1
    〆切があるからこそ集中力が増し、良いアイデアが生まれる。〆切はポジティブなものとして捉えられる。
  • 要点
    2
    〆切に追われないようにするには、仕事を終えるまでのプロセスと、各工程でかかる時間について「見積もり」を行うことが肝心である。
  • 要点
    3
    見積もりの結果、その仕事が〆切までにできないと分かったら引き受けないのが鉄則だ。依頼者とはしっかり打ち合わせを行い、仕事の目的とアウトプットイメージを共有すべきである。

要約

〆切はポジティブなもの

〆切があるから頑張れる

「〆切」という言葉はネガティブなイメージが強い。その言葉を聞いただけで、早くやらなくてはいけないことを思い出し、追い詰められたような気分になるかもしれない。

しかし、〆切はけっしてネガティブなものではない。心理学において「〆切効果」という言葉があるように、〆切直前になると普段より集中力が増してくる。最後に頑張って間に合わせることができたという経験は、まさに〆切効果によるものであろう。

要するに、〆切があることによって最大限の能力が発揮されるのである。「〆切のおかげで良いアイデアが出てくる」と話す小説家や漫画家もいるぐらいだ。したがって、〆切のない依頼は、いつまで経っても何も生み出せない可能性が高い。

〆切をポジティブに捉える

〆切があるからこそ仕事にリズムを生み出せる。逆に、〆切のない仕事には手をつけられない。

著者はコピーライティングをしていた会社員時代に厳しい〆切を守りながら大量の仕事をこなし、仕事の効率を高めていった。現在は本を月に1冊書いているが、最初は1冊につき2~3カ月の時間がかかっていた。しかし、もっと効率的にできないかと考え、試行錯誤を繰り返した結果、月に1冊書き上げられるようになった。

まさしく〆切に鍛えられた経験が活きたといえる。このように、捉え方次第で〆切はポジティブなものに変えられる。

〆切に追われないために

〆切は「追う」もの
cyano66/iStock/Thinkstock

〆切に追われているような気がして不安になるのは、何から取りかかればいいのかを具体的に決めていないからである。ぼんやりしているうちに時間がなくなり、しまいには「なんとかなるさ」と開き直る。しかし、やることが決まっていなければ、その開き直りに根拠はなく、さらなるストレスを生み出すだけだ。

こうした状況を防ぐには、やるべきことを洗い出す必要がある。次に、それらを細分化してそれぞれの〆切を決める。誰かが設定した〆切に追われるのではなく、自ら設定した〆切を追うのである。

ここで大事なのは、仕事を終えるまでのプロセスと、各工程でかかる時間についての「見積もり」をしっかり行うことである。例えば、取材の仕事であれば、事前準備、取材ノートづくり、構成、執筆、推敲のプロセスについて、それぞれどれくらいの時間を要するのかを考える。そして、書き終える日から逆算してそれぞれの〆切を決める。

〆切が決まったら、「時間割」に割り振る。著者はかつて1時間単位でコマ割りした時間割を作って、大量の仕事をこなしていた。一見すると手間がかかりそうだが、作った後は時間割どおりに仕事を進めればよいので、むしろ仕事が楽になる。

あるいは、各プロセスでやるべきことをリスト化するとよい。人間は短期記憶に弱いため、時間割やTO DOリストがそれを補ってくれるのだ。

時間割を運用するときは、割り振った仕事に早めにどんどん手をつけるとよい。〆切よりかなり余裕を持って終わらせてもかまわない。こうすることで後ろのプロセスに余裕ができ、新しい仕事を受けることもできる。そして、ダラダラやらずに割り当てた時間内でやり切る。できないときは先延ばしにせずその時間で打ち切り、他のコマに移して、次の時間割に進めば、時間割を逸脱せずに済むというわけだ。

最後に、時間割を記録として残しておくとよい。そうすれば、各プロセスにかかった時間を記憶でき、同様の仕事のプロセスを考えるときに時間の見積もりがしやすくなる。

最初は「粗々」で
DragonImages/iStock/Thinkstock

仕事は一気に完成させるのではなく、まずは粗々で仕上げるとよい。原稿を書く仕事であれば、そこから推敲を重ねて完成形にする。一気に完成させようとすると、〆切近くになってからやればよいという発想につながる。すると、時間が迫っていることに不安を覚えながら仕事に取り組まなければならなくなる。粗々でも一通りできていれば安堵感がある。ここから原稿のクオリティを高めていけばよい。

また、苦手な時間帯、得意な時間帯でやることを振り分けるのも有効である。例えば著者は、午前中に取材・打ち合わせやメール対応を行い、最も頭が冴えている午後の遅い時間から夜の時間帯に原稿執筆の仕事を入れているという。

【必読ポイント!】 〆切、そして依頼者とうまく付き合うために

時間の見積もりをしっかり行う

できない仕事は引き受けるべきではない。なぜなら、〆切に間に合わないと、

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要約公開日 2017.04.17
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