植物工場物語

未 読
植物工場物語
ジャンル
著者
塚田周平 川名祥史 丸幸弘
出版社
リバネス出版
定価
1,620円
出版日
2010年07月27日
評点(5点満点)
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

自然の恵みを受けながら、畑を耕し、大地に種を蒔いて野菜を育てる。これが現代まで何千年と続いてきた農業の形だが、今、農業は転換期を迎えている。人類は科学技術を駆使し、新たな食料生産の仕組み「植物工場」を手にしたのだ。それは「自然の猛威」におびえる必要のない、完全制御型の農業だ。植物工場と聞くと一昔前まではSFの世界だけのものと思う方も多いかもしれないが、技術の革新により植物工場はすでに私達の暮らしに根付きつつある。よく行くスーパーにたくさんの植物工場野菜が並ぶ日、さらには1家に1台植物工場が設置される日もそう遠くはない。

 本書は、植物工場のコア技術である植物の水耕栽培や、その歴史などの基本情報だけでなく、植物工場のビジネスモデル、業界全体の現況や課題、そこで活躍する具体的な企業名やプレーヤー、国の政策など、ビジネスマンが思わず知りたくなる情報を満載している。他にも、私達の身近な野菜の意外な科学知識「タマネギは実はイチゴと同じくらい甘い」などを紹介するコーナーもあり、一般の方にも楽しく読める内容になっている。

 本書を読み進めるにあたり、特別な科学やビジネスの知識は不要だ。「やはり土と太陽のめぐみで育った野菜が一番」と考える方にこそ読んでいただきたい1冊。「野菜」や「農業」に対するイメージがきっと刷新されるであろう。

前川・立花

著者

塚田 周平
1980年、京都府京都市生まれ。2009年3月に同博士課程を修了、博士(農学)を取得。同年4月に株式会社リバネスに入社後、主に農林水産分野を担当、植物工場事業にも携わる。専門は土壌微生物学。

川名 祥史
1980年、茨城県笠間市生まれ。2008年3月横浜国立大学大学院環境情報学府博士課程後期修了、博士(環境学)を取得。同年4月より横浜国立大学VBL講師(中核的研究機関研究員)を務める。株式会社リバネス農林水産開発事業部所属。専門は植物細胞工学。

丸 幸弘
1978年、神奈川県横浜市生まれ。2006年3月東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了、博士(農学)を取得。2002年6月、大学院在学中に有限会社リバネス(2004年に株式会社リバネスに組織変更)を設立、代表取締役に就任。株式会社ユーグレナの技術顧問を務めるとともに、ライナ株式会社取締役として都内レストランを運営。専門は植物生理学、微生物生態学、共生生物学。

本書の要点

  • 要点
    1
    植物は、太陽の光や土がなくても生長することができる。水耕栽培のメリットは、植物を育てる環境を完全にコントロールできることだ。
  • 要点
    2
    独自の技術開発が行われている日本の植物工場技術は、今後海外への輸出も十分可能だ。
  • 要点
    3
    植物工場のビジネスモデルの課題は、コストの削減と高付加価値化だ。
  • 要点
    4
    植物工場は過去から現在、そして未来へと進化していき、今では様々な形、規模で展開されている。その良例が「店産店消」モデルだ。

要約

植物工場を知るには、まず水耕栽培から

植物の生長を完全にコントロール
gemenacom/iStock/Thinkstock

農業の歴史の上で、人間は常により良い物を作ろうと改良を重ねてきた。1940年代から1960年代にかけて起こった「緑の革命」により農業技術は爆発的に向上し、ビニールハウスなどの新技術が生まれた。そして今、次世代型農業として注目されているのが植物工場だ。農地の減少、農業人口の低下、安定性、安全性など様々な面から見ても植物工場は注目すべき次世代技術なのだ。

植物工場を理解する上で重要なのは、植物が育つために必要な物は何かということを把握することである。植物は動物と違い、光合成により自らのエネルギー源を作りだすことができる。しかし、これだけでは植物は育つことができず、根からの酸素や無機イオンの吸収が植物の生育に大きく影響する。植物工場ではこれらのことを理解した上で野菜を育てる必要がある。

植物工場は水耕栽培なしでは語れない。水耕栽培の中には主に3種類の方法がある。NFT(薄幕水耕法)、DFT(湛液水耕法)、ロックウールなどの無機物の培地を使った方法だ。水耕栽培のメリットとして上げられるのが、植物を育てる環境の完全コントロールができることだ。これにより生産性の向上、農薬の低減、人件費のカットなどが見込まれる。日本の水耕栽培のパイオニアであるM式水耕研究所の村井会長も「土で行う農業には微生物がつきものです。(中略)植物工場の野菜は生でそのまま食べることができます」と、そのメリットを語る。一方で、限られた種類の植物しか栽培できないというデメリットもある。現在、日本では葉菜類、果菜類、花卉類が水耕栽培で栽培されているが、これらはまだまだ少数派だ。しかし、技術の向上とともに今後水耕栽培の増加が予想される。

植物工場は日本の産業技術の結晶である

日本独自の植物工場技術は輸出産業になりうる
pixbox77/iStock/Thinkstock

植物工場では植物の生長環境を整えることで、理想条件で植物を育てることができる。植物工場は大きく分けると2つの種類に分けられる。①完全人工光型と②太陽光利用型だ。完全人工光型は人工的に理想の環境を作り出すとともに、製品の均一性が取れる方法であり都市部でも生産可能だ。また、人工光を使うためスペースの有効活用をすることで大量生産も可能だ。一方、太陽光利用型は高度な温室とも言い換えられる。太陽光が必要なため大量生産には広大な土地が必要であり、郊外で多く導入されている。農薬の使用の必要性などデメリットはあるがより多種の植物の栽培が可能だ。

植物工場で主に生産される植物は葉菜類だ。他種類の栽培も可能ではあるが、採算が取れるものはまだ少ない。植物工場の生産パターンには3工程あり、それぞれ播種、育苗、本栽培にわけられる。

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植物工場物語
未 読
植物工場物語
ジャンル
産業・業界 サイエンス
著者
塚田周平 川名祥史 丸幸弘
出版社
リバネス出版
定価
1,620円
出版日
2010年07月27日
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