より少ない生き方
ものを手放して豊かになる

未 読
より少ない生き方
ジャンル
著者
ジョシュア・ベッカー 桜田直美(訳)
出版社
かんき出版
定価
1,620円
出版日
2016年12月12日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

近年、片づけ本がヒットしたり「断捨離」という言葉が流行したりするなど、日本でも「ものを持ちすぎない生き方」に注目が集まっている。読者のなかにも、家のなかのものを減らしたいと思っている方や、貴重な休日の大半を片づけと掃除に費やしている方がおられるのではないだろうか。

本書は、ミニマリズム運動をけん引する人物の1人である著者が、毎月100万人以上が訪問するブログの内容を本の形にまとめて出版したものである。著者によると、ものを持つことが豊かさにつながるという考え方は、テレビCMに代表される巧みな広告戦略などによって生み出された感じ方であるという。しかし、実際にはものを手放すことで、一番大事なものを最優先にできる。さらには時間とエネルギー、お金が増え、ストレスが減り、人のためになることができ、人生の満足度が上がるなど、まさにいいことずくめだ。

著者は元牧師でもあり、ミニマリストの視点からイエスの逸話を解釈した内容にふれているのも興味深い。ミニマリストになった人物の事例を交えつつ、ものに執着することから解放され、心や時間の豊かさを手に入れるための実践的な方法を丁寧に紹介している。ミニマリズムに興味がある読者は、本書を読み進めながら、「本当に大事なもの以外を持たない生き方」の豊かさを追体験できるはずだ。ミニマリズムがもたらす自由な時間やお金でどんな夢をかなえていきたいのか、心躍らせながら読んでいただきたい。

杷比呂 味香

著者

ジョシュア・ベッカー(Joshua Becker)
現代のミニマリズム運動を代表する1人。ミニマリズム生活を紹介するウェブサイト「ミニマリストになる(BecomingMinimalist.com)」の創設者、編集者。このサイトは毎月100万人以上が訪問する。国際的に活躍する講演家で、これまでに「タイム」誌、「サクセス」誌、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙、「ボストン・グローブ」紙、「クリスチャニティ・トゥデイ」誌、イギリスの「ガーディアン」紙など、多数のメディアで紹介された。主な著書に、ウォール・ストリート・ジャーナル・ベストセラーになった『Simplify』や、『Clutterfree with Kids』などがある。妻のキムとともにNPO「ホープ・エフェクト」を設立。孤児に本物の家族のような環境を提供する活動を行っている。ネブラスカ大学オマハ校経営学部卒。ミネソタ州セントポールにあるベセル大学神学部で神学修士号を取得。卒業後は、ネブラスカ、ウィスコンシン、バーモント、アリゾナの教会で15年にわたって牧師を務める。現在はアリゾナ州フェニックス近郊に在住。妻と2人の子供とともに暮らしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者の提唱するミニマリズムとは、いちばん大切にしているものを最優先にして、その障害になるものはすべて排除することである。ミニマリズムは、所有に付随するわずらわしさを解消し、より豊かな生き方を実現するための手段だ。
  • 要点
    2
    大切なものを手放すことは難しいが、ベストなものだけを残すことで、残したものの価値をより高められる。
  • 要点
    3
    ミニマリズムを実践することで余ったものやお金、時間の使い道においては、慈善の精神を発揮することが、所有物以外に人生の意味を見出すことにつながる。

要約

ものがありすぎると幸せから遠ざかってしまう

著者がミニマリズムに目覚めたきっかけ

著者がミニマリストになったきっかけは、ものでいっぱいのガレージの片づけに追われていたときだった。著者の心中を慮った隣人が、こんな言葉を投げかけたのだ。「(ミニマリストになったうちの娘は)こんなにものはいらないっていつも言っているわ」。衝撃を受けた著者は、ミニマリストになろうと決意し、この1週間後にミニマリズムを普及させるブログを開始した。2年後にはこれが本業となり、現在ブログには1カ月に100万人以上が訪れている。

著者はミニマリズムを実践することによって、ものを減らせるだけでなく、より豊かになれると主張する。具体的なメリットとして、「時間とエネルギーが増える」「質のいいものが持てる」「人と比べなくなる」ことにくわえ、意味のある行動に使える時間が多くなり、大切な夢を実現できるという点を挙げている。

ミニマリズムとは何か
urfinguss/iStock/Thinkstock

著者によるミニマリズムの定義は、「いちばん大切にしているものを最優先にして、その障害になるものはすべて排除すること」である。「すべてを捨てること」や、ものを並べ替えるだけの「整理整頓」とよく誤解されるが、そうではない。ミニマリズムの本質は、自由になれたと実感できるレベルまで、所有物を減らすことである。

元牧師でもある著者は、ミニマリズムの考え方が普遍的であることを示し、イエスと役人の物語を紹介している。イエスは、永遠の命を授かる方法を知りたがる役人に対し、「持ち物をすべて売り、そのお金をすべて貧しい人に与えるとよい」と助言した。著者は当初、この話を「現世での物質欲と天国に行ったときの報いとの取引」だととらえていた。しかし、ミニマリストになってからは、イエスの教えは「物質欲の重荷から解放され、より豊かな人生を手にするための助言」だと考えるようになったという。

より少ない生き方をスタートさせるために

消費社会の罠に気づく

広告業界は利己的な所有欲を利用し、幸福になる唯一の手段が「消費」であるかのように私たちを誘惑している。所有欲があおられるのを防ぐために、著者は次の3つを知ることを薦めている。

それは、「世代による消費に対する考え方の違い」「自分の中にある成功の定義」「広告業界の手口」である。とりわけ、自分の中の成功の定義を明らかにしておけば「過剰なライフスタイルは成功のあかしではない」と肝に銘じることができる。そして、ここでの「広告業界の手口」とは、セール価格の値札や、おとり価格を設定し、それより安価なものがあたかも手頃であると感じさせ、そちらを購入するよう仕向ける、といった手法などを指す。このように、消費社会の実態を見抜き、自分の内面と向き合えば、本当に大切なものを追求する自由を手に入れられる。

簡単なところから勢いをつける
piovesempre/iStock/Thinkstock

ミニマリズムを実践しようとしてつまずく原因の一つは「いちばん捨てるのが難しいもの」を最初に手放そうとすることだ。まずは、ミニマリストをめざす理由をじっくり考え、紙に書いて貼っておくのが望ましい。すると、挫折しそうになったとき、不要なものを手放すというモチベーションを上げられる。

お薦めなのは、リビングや洗面所など、よく使う場所のいらないものから処分することである。「80対20の法則」によると、「80%の時間は、持っているものの20%だけに使われている」という。そのため、残りの80%の所有物を処分すればよい。リビングをすっきりさせると、家族だんらんがより楽しくなる。このように、簡単に取り組めるところから手をつけるとよい。

次にめざすのは、

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より少ない生き方
未 読
より少ない生き方
ジャンル
自己啓発・マインド
著者
ジョシュア・ベッカー 桜田直美(訳)
出版社
かんき出版
定価
1,620円
出版日
2016年12月12日
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