BCG 経営コンセプト
構造改革編

未 読
BCG 経営コンセプト
ジャンル
著者
菅野寛 ボストン・コンサルティンググループ(企画・解説)
出版社
東洋経済新報社
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2016年11月16日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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構造改革編
著者
菅野寛 ボストン・コンサルティンググループ(企画・解説)
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出版社
東洋経済新報社
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2016年11月16日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
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レビュー

本書はボストン コンサルティンググループ(BCG)の知見をまとめた2冊シリーズの1冊である。本書は6章からなり、各々の章でBCGの提供する代表的なサービスが事例とともに紹介されている。

このうち第1章は、BCGの提供するサービスの変遷がその背景とともに書かれており、「コンサルティング」というサービスがこの20年の間にいかに変化してきたかという一つの歴史として読めるだろう。本章で扱われているサービス内容の変遷はBCGに限定されたものではない。事業環境の変化を踏まえたコンサルティング業界全体の大きな流れであり、その意味では業界研究書として、コンサルティング業界を目指す方々にはとりわけ参考になる部分が多いだろう。

本書の副題ともなっている「イネーブルメント」が「組織能力の再構築」と訳されていることからもわかるように、本書を貫くテーマは「組織」である。複雑かつ変化の早い現在の事業環境で競争力を保つには、かつてのような一過性のプロジェクトでは不十分であり、「組織能力」を高めなければならないという。本書では「組織能力」を高めるために行うべき事柄が、凝縮され全体像が俯瞰できるように記述されており、自社の組織や体制について検討したいと考える方のガイドとなる。

また、本書の特徴の一つとして、BCGのプロジェクトを出典とした図表が多数提示されていることが挙げられる。これから構造改革に取り組もうとする方々にはぜひ手に取っていただきたい一冊である。

猪野美里

著者

菅野 寛(かんの ひろし)
東京工業大学工学部卒。同大学院修士課程修了。日建設計に勤務後、米国カーネギーメロン大学にて経営工学修士取得。その後、ボストン コンサルティンググループ(BCG)にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCGテクノロジー、メディアおよびテレコミュニケーション専門部会のアジア/パシフィック地区リーダーを経て2008年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。2016年より早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田ビジネススクール)教授に就任。現在、オムロンヘルスケア、WOWWOWなどの社外取締役を務めている。著書に『BCG流 経営者はこう育てる』『経営の失敗学』(日本経済新聞出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    環境変化の速度が速い現代においては、ひとつの戦略の「賞味期間」が短くなっており、持続的に優れた業績をあげ続けるためには、企業の組織能力を高める必要がある。
  • 要点
    2
    事業環境の複雑化に対応するためにグローバル企業は組織や仕組みを「繁雑化」させている。そのことが企業の変化への対応の足かせとなり、利益率の圧迫要因となっていることが多い。
  • 要点
    3
    組織運営の「繁雑化」を防ぐためには、日本企業が運営のベースとしていた従業員の「自律」と「協働」が必要である。これらを形式知化して組織に埋め込むことが、高いパフォーマンス維持の鍵である。

要約

イネーブルメント

イネーブルメントとはクライアントの組織能力の向上支援だ

かつてのBCGはクライアントへの戦略提案や戦略コンセプト提示、そしてその実行支援に注力してきた。しかし、環境変化の速度が速まり、イノベーションを起こしても短期間で他社に追随されるようになったことを背景に、より持続性のあるやり方を提案すべきではないかと考えるようになった。それが「イネーブルメント」、すなわち「クライアントが持続的に優れた業績をあげるために必要な組織能力を高める支援」である。

イネーブルメント・プログラムは3つの柱からなる
BananaStock/BananaStock/Thinkstock

コンサルティング・プロジェクトの効果は通常、時間の経過とともに減衰する。イネーブルメント・プログラムは効果の低減を食い止め、上昇へともっていくことを目標とする。プログラムの具体的な柱は「カギとなる組織能力の特定」「スキル構築」「ビジネス・プラットフォームの構築」である。

戦略を実行し持続していくためには、ビジネス・プラットフォームの刷新が必要である。従業員が望ましい行動を取りやすい組織構造を整備し、果たすべき役割やプロセスを定義していく。このようにして組織能力を高めることで、持続的に高い成果を上げ勝ち残っていくことができる。

プライシング

組織能力としてプライシング機能を養うべきだ

BCGが主要企業300社以上を対象として行った調査によれば、対象企業の半数以上で明確なプライシング戦略が構築・実行されていなかった。多くの企業でプライシングに関し適切なスキルを持った人材が不足しており、プライシング関連の機能を組織のどこに置くか、誰が主導すべきかに悩んでいる。

一方、プライシングの巧みな企業はプライシングを担当する部門を戦略企画的な部署として扱い、結果、そうではない企業よりも1~2ポイントほど高い利益を上げている。組織能力としてプライシングの機能を高めるためには、売上高5億ドル規模の企業でも少なくとも5名、50億ドル規模であれば一般的に14名の専任チームが必要である。

的確な分析により、利益に対しインパクトあるプライシングを行う

国内外食チェーンA社では売上と利益拡大をめざし、価格改定(実質的な値上げ)を行うプロジェクトを発足させた。値上げに際しては顧客離れが懸念されたが、競合他社の価格分析や消費者意向分析などから価格改定を行うメニューを絞りこんで実行した結果、マージン額を増加させることができたばかりか、既存顧客の購入頻度向上、新規顧客獲得も実現した。

【必読ポイント!】スマートデザイン

「形式知化」による組織運営が「繁雑化」を招いている
grinvalds/iStock/Thinkstock

多様な文化・言語を前提に組織設計・運用が行われてきた欧米の企業では、企業運営のルールが誰にでも分かりやすいよう「形式知化」を進めてきた。すなわち、可能な限り、職務のすべてを論理的に明文化しトップダウンで組織を動かしてきた。しかし、事業環境変化のスピードが加速する中、すべてを「形式知化」することは組織運営を繁雑化させ、スピード・品質を落とすこととなった。

グローバル展開に伴い、日本企業も「形式知化」を推し進めた

一方、日本企業ではトップが細部まで指示しなくても現場の従業員が自身で考え、判断する「自律」の文化、部門を超えて協力する「協働」の文化があった。しかし、日本企業が海外拠点でのオペレーションを拡大させるに従い、こうした組織運営の方法の限界が明らかになってきたため、欧米企業流に明確化されたマネジメントが導入されるようになり、「自律」「協働」の文化が失われる傾向にある。

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