世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法
不可能の壁を破る思考の力

未 読
世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法
ジャンル
著者
中村慎吾
出版社
東洋経済新報社
定価
1,944円
出版日
2016年10月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法
世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法
不可能の壁を破る思考の力
著者
中村慎吾
未 読
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ジャンル
出版社
東洋経済新報社
定価
1,944円
出版日
2016年10月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

前例や過去のデータがあるものならば、判断材料を元とした意思決定もそれなりにできるかもしれないが、まったく初めで似たような事例もない場合、どうしたらよいのだろうか。わからないことはある程度仕方がないと思うかもしれないが、それでも当てずっぽうでやるというわけにもいかない。本書がテーマとする「NASA」が行っている宇宙事業では、前例や似たケースのデータがある場合のほうが少ないだろうし、誰もやっていないことをやるのがミッションだともいえる。

本書は、NASAの事業で実際に行われている意思決定のプロセスを、ビジネスや投資における決断にも応用できるようにモデル化した一冊である。さまざまな理論や思考のフレームワークが掲載されており、詳しい解説や実際のNASAでのミッション事例などが豊富にあることから、読者の理解を促す構成となっている。

まずは何を目的とするかを明確にすることからスタートし、適切な選択肢を用意すること、そのうえで、それぞれの選択肢を選んだ場合のリスクと成果について分析していくというステップだ。そのプロセスはある意味オーソドックスとも言えるが、取りこぼしや考慮不足のないよう様々な観点から丁寧に分析し、かといって細かいところにこだわりすぎて目的を見失うこともないよう熟慮できるようなものになっている。先の見えないこれからの時代を生きるための地図として、この思考プロセスを身につけておくことは大きな意味があるに違いない。

竹内 彩子

著者

中村 慎吾(ナカムラ・シンゴ)
1964年東京都生まれ。ベンチャーキャピタリスト。早稲田大学高等学院からの推薦枠で早稲田大学理工学部応用物理学科に進学。同大学卒業後、米スタンフォード大学大学院工学部航空宇宙学科(専攻:極超音速航空物理学)で修士号(M.S.)を、米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院(専攻:応用経済学)で修士号(MBA)を取得。
日系シンクタンクを経て、米系投資銀行に入社。投資銀行部にて、企業の財務戦略立案、資金調達、合併・買収(M&A)に関与。その後、米系経営コンサルティング会社に転じ、日本オフィスの幹部として業界大手の企業に対するコンサルティング業務を主導。2002年より現職。個人およびチームとしてビジネス誌への寄稿多数。
近年は、主に社外取締役の立場で、キラリと光る地方の中堅企業や株式上場を目指す研究開発型ベンチャー企業のトップマネジメントの決断に関わってきた。
目下の目標は、NASAのフロンティア・スピリット(開拓者精神)とシリコンバレーのアントレプレナーシップ(起業家精神)を模範として、日本のベンチャー企業の経営者を知恵で支援し、将来の世界的企業を一社でも多く生み育てることである。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代のビジネスにおいて、先が見えない、前例がない中で決断をしていかなければならない場面は数多くある。本書は、前人未踏の領域に挑み続けるNASAの宇宙事業においてどのような意思決定プロセスがとられているのかを紐解くことで、ビジネスへのヒントを得ようというものだ。
  • 要点
    2
    不確実性が高いものは確率で考える。目的に合った選択肢を列挙し、それぞれのリスク分析をして、最適な評価尺度で計測することを想定し、それを最大化するものを選ぶ。

要約

不確実なことをとらえるために

不確実な課題は確率で考える
BrianAJackson/iStock/Thinkstock

不確実なこと、前例のない課題に取り組もうとするとき、わからないからと言って手をこまねいているだけよりも、わからないなりにできる準備をしておくほうがよい。そのとき役に立つのが「確率」の考え方だ。確率を考えるにはまず、「確率的現象がどこにとのように隠れているか」を浮き彫りにする必要がある。ひとつの事象にはさまざまな要因が絡み合っており、それぞれに確率があるからだ。

まずは要因を漏れなく洗い出し、重要性の低いものははじいておく。そこから確率を考えていくわけだが、天気予報のように同一条件下での膨大なデータがある事象と違って、未曽有の課題に取り組むという状況であれば、前例やデータはほとんどないというのが現実だろう。その場合は「ベイズ推定」に代表されるような「主観的確率」の考え方を用いる。初めはある程度推定で確率を設定しておいて、情報が追加されるたびに推定を修正していくというものだ。人間の思考プロセスとの相性もよく、NASAだけでなくITや金融の分野でも主流の考え方として広まっている。

意思決定にはシナリオ・プランニング

不確実な中で物事を決めていかなければならない時に役立つのがシナリオ・プランニングである。物事を左右する要因を洗い出し、その組み合わせの分だけシナリオを想定するシナリオ・ツリーや、特に重要と思われる要因を2~3に絞り、それらの組み合わせで起こる事象を想定するシナリオ・マトリックスがある。

実際、NASAが火星への着陸を実現するために検討した、「着陸により微生物が混入する可能性」の想定においてもシナリオ・ツリーが用いられ、微生物を火星に持ち込んでしまう可能性が高いのはどの要因なのか、またその確率はどの程度かを想定することに成功した例がある。

専門家から意見を聞く

判断を下すのに充分なデータがない場合は専門家の意見を聞くことも有効だが、専門家とはいえ人間である。その意見には多少なりともバイアスがかかっていると考えておいたほうがよい。最初にインプットされた情報にとらわれてしまうアンカリング効果や、全体の中ではわずかな確率なのに、ある事象だけに目を付けすぎてしまい実際よりも起こりやすいと誤認してしまう基準率無視など、そのトラップには様々なものがある。予めなるべく偏らないように、ほかの事象と比較しながら話をしたり、複数の専門家に話を聞き総合的に判断したりするなどの工夫も必要だ。

【必読ポイント!】 不確実な中での合理的選択

意思決定の前提
Gajus/iStock/Thinkstock

では、どういったプロセスで意思決定していくのがよいのか。人はどうしてもバイアスのかかった判断をしてしまいがちであるので、過去の経験に判断が左右されてしまう「ヒューリスティック」や、情報をとらえるときの枠組みの取り方で印象が大きく変わってしまう「フレーミング効果」、自分の仮説に合わせて情報を解釈してしまう「確認バイアス」などにはよく気をつけなければいけない。

そのうえで合理的な選択をしていく方法を考えるわけだが、まずは目的をはっきり定めておくことが大切だ。何を目的にするかによって、どんな選択肢の中から意思決定するかも変わるためである。

合理的選択のための原理

不確実な中で合理的な選択をしていくには、いくつかの代表的な原理がある。

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著者
中村慎吾
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東洋経済新報社
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2016年10月05日
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