超監視社会
私たちのデータはどこまで見られているのか?

未 読
超監視社会
ジャンル
著者
ブルース・シュナイアー 池村千秋(訳)
出版社
定価
2,160円
出版日
2016年12月13日
評点(5点満点)
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

「私たちのインターネット上での行動は常に監視されている」と聞いて、意外に思う人は少ないだろう。ある商品を検索した瞬間から広告はそれ一色になるし、飛行機のチケットを取れば、カレンダーにフライトの日程が自動的に登録される。だが、はたしてそれは便利なことだろうか、それとも恐れるべきことだろうか?

コンピュータ・セキュリティの世界的権威である著者は、現在の監視社会は「サービスを無料で利用する代わりに、プライバシーを差し出す」という取引によって成り立っていると指摘し、人々がこの取引をあまりにもあっさり受け入れすぎていると訴える。

もちろん大半の人は、利便性と引き換えにプライバシーが差し出されていることを自覚しているに違いない。だが本書を読めば、自分では些細な情報だと感じているものすら、思いもよらないプライバシーの暴露につながっていることに驚かされるだろう。「自分がなにに同意したかもよく理解していない」という著者の指摘は、なるほど耳が痛いものである。

本書は3部構成となっており、(1)私たちはどのように監視されているのか、(2)それによってなにが脅かされるのか、(3)監視に対しどのように対抗したらよいのかが語られている。

読み終えたころには、履歴をすべて消してしまいたい衝動に駆られるかもしれない。現在進行形でもたらされつつある「超監視社会」を生き抜くために、ぜひ読んでおきたい一冊である。

北山 葵

著者

ブルース・シュナイアー (Bruce Schneier)
世界的な暗号研究者であり、コンピュータ・セキュリティの権威。発行するニューズレターやブログの読者は世界中で25万人を超える。ハーバード大学法科大学院のフェロー、レジリエント・システムズ社最高技術責任者(CTO)も務める。著書に『信頼と裏切りの社会』(NTT出版)『セキュリティはなぜやぶられたのか』(日経BP社)ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    データを保管するコストが下がり、分析の技術が向上したことにより、「あらゆるデータを集めて、必要なときに複数のデータを関連づけて分析する」という大量監視が可能になった。
  • 要点
    2
    私たちは無料で便利なものを好むため、より便利になるならば簡単に情報を差し出してしまう。そのとき、私たちは「顧客」ではなく、「商品」になる。
  • 要点
    3
    データがあれば、人々を委縮させたり差別したりすることは容易であり、自覚させないまま思想を乗っ取ることすら可能だ。これらを防ぐためには、データ収集や利用の透明性の確保が必要である。

要約

大量監視社会の到来

監視されるデータ
SIphotography/iStock/Thinkstock

近年、私たちが生み出すデータは膨大な量となっている。通話・通信記録、交友関係、位置情報、購入履歴、監視カメラに映る映像など、個人の生活に関する情報は常に記録されている。

それを可能にしたのは、インターネット・オブ・シングス(lot)と呼ばれる、あらゆるものをインターネットと結びつける仕組みである。この技術はどんどん普及しており、身の回りのありとあらゆる物体がインターネットに接続され、膨大なデータが生み出される時代が到来しつつある。

2013年、国家安全保障局(NSA)の監視活動が、当時契約企業の職員だったエドワード・スノーデンによって暴露された。これにより、NSAが米国民すべての携帯電話の通話記録を収集していることが明らかになった。

NSAは、収集したデータはあくまで「メタデータ」に過ぎないと主張した。通話の内容を記録しているわけではなく、双方の電話番号や通話の日時、時間数を記録しているだけだというのである。しかしたとえば、ある人物が心臓専門医や薬局と長時間通話していることがわかったら、その人物が心臓病であることは容易に推し量れてしまうだろう。

またNSAは、ネット検索の履歴もメタデータだと主張しているが、これもプライベートを浮き彫りにする情報である。2010年、グーグルのCEOを務めていたエリック・シュミットは、「私たちは、あなたがいまどこにいるかを知っている。これまでどこにいたかも知っている。いまなにを考えているかもだいたい知っている」と述べた。このように、不特定多数の情報を集める際には、コンテンツよりもメタデータのほうが有益に働くのである。

監視コストの低下
diego_cervo/iStock/Thinkstock

監視のために莫大な手間とコストがかかっていた時代では、監視をおこなうケースは限られており、集めたデータも一定の期間が過ぎたら消去されていた。しかし近年、コンピューターテクノロジーのコストは大きく下落している。これにより、一般市民が情報にアクセスしたり、意見を表明したりすることが簡単になった一方で、国家や企業による監視のコストも小さくなってしまった。

あるオーストリア人の法学生がフェイスブックに対し、自分に関して保存しているデータの開示要求をおこなったときのことだ。フェイスブックは、法学生の交友関係やフィードに流れてくる内容だけでなく、閲覧した広告すべての情報を提出してきたという。

データの収集と保管が低コストでおこなえるようになると、何を残し何を消すかを判断するよりも、すべて保存するほうが楽だ。そのため、あらゆる情報が取捨選択されることなく保存されるようになるのである。

こうした監視は、常に自動的におこなわれる。友人がフェイスブックを利用していれば、彼/彼女と関わりをもつことで情報が筒抜けになるし、グーグル検索を利用しなくても、訪問したサイトに「グーグル・アナリティクス」が埋め込まれていれば、閲覧したことが記録されてしまう。生活を記録しようとする人が増えれば、自分自身で記録をとっていなくても痕跡が残りやすくなる。たとえ監視から逃れようと最大限の努力を払っても、効果は薄いだろう。

分析技術の向上

あらゆるデータを集めて保存し、そこから価値ある情報を取り出すやり方をデータマイニングと呼ぶ。これにより、蓄積されたビッグデータから、本来の収集目的とは異なる副次的な情報が入手できるようになった。

データマイニングを用いれば、フェイスブックの「いいね!」ボタンから、ユーザーの性格や性的指向などを推測することも可能だ。

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超監視社会
未 読
超監視社会
ジャンル
グローバル テクノロジー・IT トレンド
著者
ブルース・シュナイアー 池村千秋(訳)
出版社
定価
2,160円
出版日
2016年12月13日
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