世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる
科学者集団リバネスのイノベーションを起こすしくみ

未 読
世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる
ジャンル
著者
丸幸弘
出版社
日本実業出版社
定価
1,620円
出版日
2014年02月20日
評点(5点満点)
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

ミドリムシ、遺伝子解析、植物工場。リバネスという企業名に聞き覚えがなくとも、これらの言葉は多くの読者が聞いたことがあるのではなかろうか。様々なイノベーションの支援を自社内に加え、他社の立ち上げ時にも行う組織、それが「リバネス」という企業である。

リバネスの牽引役となっているのが、創業者でありCEOである著者の丸幸弘氏だ。一度リバネスについて知り丸氏の逸話に触れると、そのエネルギーに圧倒され敬意を抱くに違いない。私がリバネスの存在を知った時、まるで米国において分野横断的にイノベーションを起こす集団である「MITメディアラボ」の日本版だ、と心躍る気持ちであった。リバネスでは全ての社員が理系の博士号か修士号を持ち、研究者の自主性やパッションをドライバーに部門横断的にイノベーションに向け力を尽くす。リバネスはまさに今の日本に求められる「イノベーションの旗手」になるのではなかろうか。そのようなスケールの大きさが感じられる。

本書では秘密のベールに包まれた(というより一見わかりにくい企業である)リバネスの理念、人材、運営方法などが語られている。読み解いていけば、そこにはベンチャー企業としての経験知には留まらない、イノベーションを起こすための普遍的な方法論が随所に散りばめられていることに気付くだろう。イノベーションを起こしたいと願うビジネスパーソンや研究者は広く、本書を読むべきであると断言する。本書を参考に、崇高なパッションを持ち、イノベーションを本気で実現する人が増えることを願うばかりだ。

大賀 康史

著者

丸 幸弘
株式会社リバネス代表取締役CEO。1978年神奈川県横浜市生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。リバネスを理工系大学生・大学院生のみで2002年に設立。日本初の民間企業による先端科学実験教室を開始。中高生に最先端科学を伝える取組みとしての「出前実験教室」を中心に200以上のプロジェクトを同時進行させる。2011年、店産店消の植物工場で「グッドデザイン賞2011ビジネスソリューション部門」を受賞。2012年12月に東証マザーズに上場した株式会社ユーグレナの技術顧問や、小学生が創業したケミストリー・クエスト株式会社、孤独を解消するロボットをつくる株式会社オリィ研究所、日本初の大規模遺伝子検査ビジネスを行なう株式会社ジーンクエストなど、15社以上のベンチャーの立ち上げに携わるイノベータ―。

本書の要点

  • 要点
    1
    リバネスの社員は現在約50人で、全て理系の博士号または修士号をもつ。そして離職者はほとんどゼロ、会社の約200のプロジェクトは全て黒字、という驚きの企業である。
  • 要点
    2
    QPMIサイクルは、質の高い問題(Question)に対して、崇高なまでの情熱(Passion)を注ぎ、仲間と共有できる目的(Mission)に変え解決し、試行錯誤を経て革新(Innovation)に繋げるイノベーションサイクルだ。
  • 要点
    3
    イノベーションのために最も必要なのは研究者の「パッション」であり、経営者にはその熱意を後押しすることが求められる。

要約

科学者集団のベンチャー企業「リバネス」

最先端科学のリバネス
Purestock/Purestock/Thinkstock

リバネスとはどのような企業か。まずホームページにアクセスしてみる。

「最先端科学のリバネス -Leave a Nest-」

「科学技術の発展と地球貢献を実現する」

よく意味がわからない、あやしい会社だと思うかもしれない。しかし本書を読み進めれば、常識を超えたイノベーション集団であることが伝わるはずだ。リバネスの創業時の考えは、「最先端の科学のエッセンス」を小中高の学校で教える、企業の研究所に持ち込む、経営者に伝えることで、世界を豊かにするプラットフォームにするというものだ。そして、創業当時、リバネスは「世界で初めての科学教育ベンチャー」と呼ばれる。

そのような思いのもとに集まる社員は現在約50人で、全て理系の博士号または修士号をもつ。そして離職者はほとんどゼロに近く、会社の約200のプロジェクトは、全て黒字を続けているというから驚きである。リバネスのどこにその秘密があるのだろうか。以降で紹介していきたい。

50%ルール

リバネスでは、「50%ルール」という定めがある。プロジェクトの利益率が50%を超えることを各プロジェクトリーダーに課しているのである。具体的にはプロジェクトキックオフの段階で、ビジネスの初めから終わりまでを洗い出し、工数、時間数、人件費などすべての費用を「プロジェクト申請書」に書き出して検証し、利益率が50%を超えていればGOサインが出るのである。

50%を超えられない場合、その要因を調べる。もし人件費の問題であればメンバーを若手に入れ替えるなどの対応策を施す。そしてどうしても50%を超えられないときは、何とかしてそれを実現する方法を見つけ出すことが、経営者である著者の仕事なのである。

【必読ポイント!】イノベーションを生むのは「PDCA」ではなく「QPMI」

QPMIサイクルとは何か
vasabii/iStock/Thinkstock

ビジネスの世界では「PDCA」という言葉をよく聞くだろう。しかし、元来「改善」に向いているPDCAサイクルを回すことが、イノベーションを生むだろうか。そこで著者が考えたアプローチは「QPMIサイクル」である。「Q」はQuestion、「P」はPassion、「M」はMission、「I」はInnovation。この4つの頭文字をとったものがQPMIだ。つまり、質の高い問題(Question)に対して、崇高なまでの情熱(Passion)を注ぎ、仲間と共有できる目的(Mission)に変え、解決する。そして試行錯誤を経て、革新(Innovation)に繋げるのである。

重要となるのは熱いパッションを持った個人の存在だという。

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未 読
世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる
ジャンル
リーダーシップ・マネジメント 起業・イノベーション サイエンス
著者
丸幸弘
出版社
日本実業出版社
定価
1,620円
出版日
2014年02月20日
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