できないとは言わない。できると言った後にどうやるかを考える

未読
できないとは言わない。できると言った後にどうやるかを考える
できないとは言わない。できると言った後にどうやるかを考える
著者
未読
できないとは言わない。できると言った後にどうやるかを考える
著者
出版社
ダイヤモンド社
出版日
2014年05月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

人間には二つの心が同居している。新しい挑戦を目の前にしたときに、「面白そうだ。自分ならできる!」という意欲と、「いやいや他の人ができないには理由があるのではないか。自分が彼らにそう勝るものではない。」という慎重さである。そして著者はその前者のマインドを強烈に持った人物であろう。本書のタイトル「できないとは言わない。できると言った後にどうやるかを考える。」はまさに著者の生き方そのものだ。誰でも新しいことを始めるには不安がある。しかし成功者に共通するのは、根拠のないとも言える自信なのである。

本書は著者の半生に沿って展開されており、首尾一貫して新規事業に挑戦するマインドセットを訴える。株式会社SHIFTの事業としては、実績がなかったテスト事業を「できます!」と宣言した後、圧倒的な成長軌道に乗せるとともに、香りでコミュニケーションできるスマホアクセサリ「Scentee」という注目を浴びるプロダクトも手掛けている。テスト事業とスマホアクセサリの関連性であるとか事業シナジーなど、気になる方も多いかもしれないが、そのような疑問は野暮であろう。今の世の中にない価値を提供する、という著者の想いが基軸にあるように思えるからだ。

本書は夢を大きく描き続けたいビジネスパーソンこそ、読むべきだろう。起業家や将来起業を志している方はもちろんのこと、会社内でチャレンジしていきたい人、専門職やアスリート等のプロフェッショナルにも読むべき価値が大いにある。本書を読み、一人でも多くの方が今までしたことがないことへのチャレンジに、一歩踏み出すことを願うばかりだ。

ライター画像
大賀康史

著者

丹下 大(たんげ まさる)
1974年広島県生まれ。97年同志社大学工学部卒業、2000年京都大学工学研究科機械理工学専攻修了、同年株式会社インクス(現ソライズ株式会社)入社、数多くの生産現場で業務改善のコンサルティングを手がける。05年、株式会社SHIFT創立。生産現場のコンサルティング、ソフトウェアのテストなどで業績を伸ばす。13年、スマートフォンを使った香り発生システムで特許取得、同特許を利用した香りによるコミュニケーション商品「SCENTEE(センティー)」を世界各国で発売し話題を集める。

本書の要点

  • 要点
    1
    「できない」を「できる!」に変えるには3つのステップを乗り越えることが肝要だ。
  • 要点
    2
    1.同じ人間だ。彼にできて自分にできない理由はない。
  • 要点
    3
    2.圧倒的なコンセプトを考える。
  • 要点
    4
    3.ゴールに向かって努力し、背中を見せることで周囲をシフトさせる。
  • 要点
    5
    「資産」の項目に自分自身がもともと持っていた力(DNA、原体験、教育、人脈など)、負債に教育資金や人脈作りのコストを記入すれば、純資産として自分の持つ共感力が算出できる。
  • 要点
    6
    「できないこと」を現実化するとき、スピードアップするカギは「あおり力」である。できない理由を探す暇があったら、「できる!」「できる!」とあおり続けるのだ。

要約

「できない」を「できる!」に変えるとき

leszekglasner/iStock/Thinkstock
「できない垣根」の中から飛び出す

著者が創業した会社「SHIFT」は、プログラミングのテスト工程を専門的に受注する事業で成長する中、大胆な新規事業に取り組んでいる。それは「Scentee(センティー)」というスマホを通じて香りのコミュニケーションを行うという斬新的なものだ。これは海外メディア、NHKなど様々なメディアで取り上げられるほど、注目を集めている事業である。

そのような常識ではありえないサービスをなぜ「SHIFT」は行うことができるのだろうか。彼らは「できない理由」の垣根を飛び出す、すなわち常識や自分の考え方、生き方をシフトしようとしているのだ。

そのような「できない」を「できる!」に変えるには3つのステップを乗り越えるのだという。

1.同じ人間だ。彼にできて自分にできない理由はない。

2.圧倒的なコンセプトを考える。

3.ゴールに向かって努力し、背中を見せることで周囲をシフトさせる。

そしてその実現のカギは、皆の共感を集められるゴールを描けるか、にある。困難だがチャレンジし甲斐があるゴールを描き、共感や協力を集めるのである。

「できる!」と言うための基礎知識

コミュニティがくれる「お金で買えないもの」

マズローの五段階欲求における「生理的欲求」「安全の欲求」という第一段階、第二段階の欲求は、経済発展を遂げた我々日本人の多くでは満たされている。そこから先は、「お金ではない恩恵」が重要となる。

誰かと友達になること、付き合うこと、等はその代表的なもの。だから経験をシェアできるような仲間を集めるために、著者は社長が集まる会の進行役を務めたり、社内でサークルを作ることを推奨したりしている。そのような活動の中から、尊敬し合い、共感し合えるコミュニティが生まれ、ビジネス上の人脈作りに有利に働くのである。

人はおだてられると嬉しくなり、次々と挑戦をするものだ。著者もビジネス、英語、トライアスロンと挑戦を続けている。挑戦の動機付けになるのはマズローの言う、より高次の欲求である「所属欲求」と「承認欲求」。これらを満たすのは「励まされた」「感動した」などのエモーション、つまり共感だ。Facebookの「いいね!」、Twitterのフォロワー数などは共感の媒体となっているが、お金と異なり「保存性」に欠けているのが難点である。

共感力をBSで測ってみる
Dražen Lovri?/iStock/Thinkstock

著者はお金の介在しない信頼関係を培い、保証する媒体として「Tangi」という単位を提唱している。「機会があったら絶対、ご恩返ししたい」という想いもまた、「Tangi」の一例となる。

「Tangi」をBS(貸借対照表)で表すこともできる。「資産」の項目には、自分自身がもともと持っていた力(DNA、原体験、教育、人脈など)。負債には教育資金や人脈作りのコストを記入すれば、純資産として自分の持つ共感力が算出できる。

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要約公開日 2014.06.27
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