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理系の子の表紙

理系の子

高校生科学オリンピックの青春


本書の要点

  • 「サイエンス・フェア」は高校生によって競われる自由研究発表大会であり、規模・レベルともに様々なものがある。その最高峰と位置づけられる「インテル国際学生科学フェア」には50カ国以上から1500人以上の高校生が出場する。発表される研究のレベルは大学院博士課程の研究を上回るほど非常に高く、企業や政府機関なども見学に訪れている。

  • サイエンス・フェア世界大会に出場しているのは恵まれた環境に育ったエリート高校生だけではない。中には、暖房器具を買えないほどの困窮した環境から出場した高校生もいれば、授業などまったく成立しないような刑務所内の高校から出場したものもいる。彼らに共通するのは、教師や両親、あるいはまったく縁もゆかりもないにもかかわらず彼らの研究に魅了されて手を貸すことになった人々など、強力な支援者の存在である。

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【必読ポイント!】 ゴキブリの調教から核融合炉まで

サイエンス・フェア世界大会で見せ付けられる高校生の創造力は圧倒的なものである

サイエンス・フェアの最高峰、「インテル国際学生科学フェア(以下インテルISEF)」で発表される研究レベルは非常に高い。ある者は麻薬探知に利用可能な調教したゴキブリを、ある者は癌の進行を遅らせる薬の合成方法を発表している。核融合炉やナノテクノロジー、遺伝子組換え作物についての発表もある。インテルISEFにおいては、実に出場者の5人に一人が特許を出願しており、中にはその特許をもとに1200万ドル(約12億円)以上を売り上げる企業を経営している高校生もいるほどだ。

企業や研究機関によって使われることになった研究も数多くある。たとえばNASAが木星に向けて打ち上げた探査機ガリレオが使用したデータは、サイエンス・フェアに出場した17歳の高校生が集めたものだった。複合リノール酸が結腸癌細胞の90%を殺すことを発見した研究は、M・D・アンダースン癌センターがさらなる研究を進めるきっかけとなった。

アメリカでは、数学・理科の教育水準を引き上げる努力をする一方、こうした優れた科学研究をする高校生たちをスポーツで優勝する高校生と同様に賞賛し、科学を振興しようという動きも起きている。オバマ大統領は、毎年ホワイトハウスでサイエンス・フェアを行うと2009年に発表している。

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手作り爆弾から核融合炉へ

子どもが情熱を傾けるものを理解し、支援してやるべきだ。それがどんなとんでもないものに思われたとしても

Risto Viitanen/Hemera/Thinkstock

テイラー・ウィルスンは10歳の時、初めて手作りの爆弾を爆発させて両親を驚かせた。ネットで作成方法を調べたのだ。同じ年に『放射性ボーイスカウト(The Radioactive Boy Scout)』という小説を読み、それからはすっかり放射線に魅せられてしまった。父親に頼み込んでガイガーカウンターを借りてきてもらったのを手始めに、eBayで様々な放射性物質に関連したグッズを入手するようになった。ラドン探知機、核燃料ペレット、鉛遮蔽容器などだ。しかし、こうしたグッズの入手では飽き足らず、テイラーはなんと自分で核融合炉を作ってみたいと思うようになる。

12歳の時、原子力愛好家たちのクラブ「中性子クラブ」に質問メールを出したのがきっかけで、テイラーは27歳の大学院生カール・ウィリスと出会う。カールはテイラーに関連論文を送ってくれ、電話で質問に答え、最後には一緒に研究旅行に出かけるようになった。

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要約公開日 2014.02.22
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