「誘う」ブランド
脳が無意識に選択する。心に入り込むブランド構築法

未 読
「誘う」ブランド
ジャンル
著者
ダリル・ウェーバー 手嶋由美子(訳)
出版社
ビー・エヌ・エヌ新社 出版社ページへ
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2017年03月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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脳が無意識に選択する。心に入り込むブランド構築法
著者
ダリル・ウェーバー 手嶋由美子(訳)
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ビー・エヌ・エヌ新社 出版社ページへ
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2017年03月25日
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総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

あなたはどうしてアンドロイドではなくiPhoneを使うのか? あるいは、どうしてペプシではなくコカ・コーラを選ぶのか?

上記の単語は入れ替えてしまってもかまわないが、いずれにせよ、そこに合理的な理由はない。多くの場合、人は「なんとなく」その商品を選択している。では「なんとなく」の意思決定を行なわせているのは何なのか? その正体は「ブランド・ファンタジー」だ――これが本書の主旨である。

人間の脳は常にたくさんの情報を認識しているが、私たちがそれを意識することはほとんどない。多くの情報は無意識のうちに処理されるからだ。しかしその一方で、確実に情報は脳に蓄積されている。この無意識の蓄積が「ブランド・ファンタジー」を作り、私たちに物を選んで買わせているのだと著者は主張する。

本書の前半では、私たちがいかに考えずに物を選んで買っているか、いかに自分の意思をコントロールできていないかが、神経科学の視点から解説される。消費者の頭の中でブランドがどのように認識され、どのように作り上げられているかが解き明かされる、きわめて刺激的なパートだ。

後半では、神経科学の知見を踏まえたうえで、優れたブランドを築き上げるための方法が考察されている。実践的な知識を得たい人はここから読みはじめてもいいだろう。

ブランドの構築について、単なる精神論ではなく、神経科学という視点から論じているのがなんとも面白い一冊だ。たとえビジネスに興味がない人でも、単純に読み物として楽しめるにちがいない。

池田明季哉

著者

ダリル・ウェーバー (Daryl Weber)
経験豊かなブランド戦略コンサルタントであるダリル・ウェーバーは、コカ・コーラ、ナイキ、ジョニー・ウォーカー、ゲータレード、パンパースなど、世界で最高かつ最大のブランドの多くに影響を与えてきた。かつてはコカ・コーラ社でクリエイティブ戦略を担当するグローバル・ディレクターを務め、10億ドル級のブランドのブランディングやコミュニケーション戦略を統括した。それ以前には、小規模専門会社向けのブランディングとイノベーションのコンサルティング会社、レッドスカウトの戦略部長として、フォーチュン100(グローバル企業の総収入ランキングトップ100)入りした企業に、新商品イノベーションやブランド・ポジショニングに関するアドバイスをした経験もある。ウェーバーはコロンビア大学で心理学を専攻し、学士号を取得。現在はアトランタで、妻ジェニファーと息子アヴィと一緒に暮らしている。ツイッター・アカウントは、@BrandedCortex、ブログは、www.daryl-weber.com

本書の要点

  • 要点
    1
    人は「直感」でものを選んでいる。人間は思っているほど合理的な生き物ではない。人が意識できている脳の活動はごくわずかだ。
  • 要点
    2
    脳は私たちが自覚しているよりも、ずっと多くの情報を取り入れている。それが「無意識」として私たちの選択に影響を与えている。
  • 要点
    3
    ブランディング・マネージャーだけがブランドを作るのではない。消費者はブランドとのあらゆる接点からブランドのイメージを構築している。その無意識のイメージを好意的なものにすることが重要である。

要約

【必読ポイント!】 ブランドに必要なのは「ファンタジー」

ブランド・ファンタジーとは

ブランドとは、消費者の心の中にある連想の集まりである。製品やサービス、機能、デザイン、広告などのように意識できるものは、あくまで氷山の一角に過ぎない。ブランドと結びついた強い印象や感情の多くは、無意識下のものである。こうした連想を大量に寄せ集めたものを、ここでは「ブランド・ファンタジー」と呼ぶことにする。

脳は「部分」ではなく、「全体」を捉えようとする。そのため、脳には事物をすばやく分類し、必要な部分を自動的に補って、意味をなすように全体像を作りあげてしまう傾向がある。

ブランド・ファンタジーも、ブランドのロゴや商品のパッケージなどの「部分」だけで作られるのではない。ブランドにまつわる、ありとあらゆる情報から総合的に形作られている。

ファンタジーが人に物を買わせる
EllysaHo/iStock/Thinkstock

ブランド・ファンタジーは、私たちが何かに対して持っている「直感」のよりどころである。この「目に見えない連想の組み合わせ」が、気づかないうちに私たちの意思決定や行動に大きな影響を及ぼしている。

たとえば、ドラッグストアのプライベートブランドの頭痛薬が1錠あたり24セントなのに対して、有名ブランド「アドビル」のものは1錠あたり70セントもする。同じ量に含まれる薬剤はまったく同じで、同じ安全基準に則っているにもかかわらずだ。ビンにアドビルという名前がつけられただけで、同じものの値段が3倍に跳ね上がるのである。

こうしたブランドの力は、理屈では証明できない。しかし、アドビルというブランドは、「信頼できる」というイメージを私たちに無意識下であたえている。一方、プライベートブランドにはほとんどの場合、何の感情も印象も結びつけられていない。つまりそこにはファンタジーがないのである。

私たちのこうした「直感」は、商品を購入する際の素早い決断に大きな影響をおよぼしている。

ファンタジーは合理的ではない
vicnt/iStock/Thinkstock

ファッション・ブランドや高級ブランドには、他の業界を寄せつけないほどの魅力にあふれたブランド・ファンタジーがある。しかし、素材などの物理的特性から見ると、そこには合理的メッセージが存在しないということも少なくない。

ファッション・ブランドが魅力的に映るのは、潜在的な感情や欲求を刺激する力を知っていて、どんなファンタジーをまとい、伝えたいのか、はっきりと意識しているからである。それが合理性よりも強い影響力を及ぼしているのだ。

マーケティング担当者は、商品の性能を説明することによって、ブランドを築こうとしてしまいがちである。しかし重要なのは、そのブランドが好きだという直感、すなわちブランド・ストーリーを築き上げることだ。買うという行為をもっと楽しくさせるためには、感情に訴えかけなければならない。そうすることで、ブランドは商品の物理的特性を超えて、その価値を強めていくのである。

ブランドを作る上で重要なのは、そのブランドを好んで選ぶようになる「直感」を作ること、つまり、ブランドに対する望ましい連想を築くことだ。ファンタジーとは結局のところ「錯覚」であり、ブランドが作る夢の世界にすぎない。しかしその影響力は非常に強い。商品や私たちの生活に真の価値を与えてくれるのはファンタジーだからである。

人は脳にだまされている

私たちは「脳の錯覚」で生きている

脳はいかなる瞬間も、私たちを生かし続けるために活動している。だが、すべてを意識してコントロールしようとすると、あまりに負担がかかりすぎる。だからこそ、私たちの体は進化の過程で、可能な限り自動運転できるようにプログラムされていった。

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