瞬間フレームワーク

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瞬間フレームワーク
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2017年02月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あらゆる職種の管理職の方々、必読の一冊である。管理職の仕事に意思決定はつきものである。しかし、意思決定に関する正式なトレーニングが用意されていることは少なく、ほとんどの人が経験しながら学んでいくという方法をとらざるをえない。

その問題を解決すべく、本書は、意思決定をする上で押さえておきたい、厳選された69のフレームワークを紹介している。「ブルー・オーシャン戦略」や、「SWOT分析」という名称を聞いたことがある方は多いのではないのだろうか。それぞれの考え方の枠組みや分析ツールは、詳しく書けばそれだけでビジネス書1冊になってしまいそうなテーマだ。が、本書では大胆に、それぞれ2~4ページで端的に解説され、実行する方法がまとめられている。読者が多くのフレームワークに触れることで、瞬間的に「正しい思考ツール」を選び、最善の意思決定ができるようになることを、本書はめざしているのだ。

69のフレームワークは、「意志決定の原則」や、「財務と統計にまつわる理論」など、9つのセクションに分かれており、判断が必要なケースに合わせて該当するフレームワークをパッと選んで読むことができる。また、これだけの数のフレームワークを一覧できるというのも本書の特長であるので、まずザッと通読してみるのもよいだろう。様々なやり方で本書を使い倒すことをおすすめしたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

ジェームズ・マクグラス
公認会計士の資格を持ち、公共部門および民間部門で会計士、監査役、経理部長、マネジメント・コンサルタントとして25年以上活躍。1998年よりバーミンガム・シティ大学(旧セントラル・イングランド大学)において、教育学科の修士課程でコース・ディレクターを務めた。バーミンガム大学の博士課程時代は「教育現場におけるマネジメントとリーダーシップ」をテーマに博士論文を執筆。5冊の共著のうちの1冊、『経営理論大全』(朝日新聞出版)は、2015年に「CMIマネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤー」のプラクティカル・マネージャー部門で入賞。初の単著は『The Little Book of Big Management Questions』。2015年12月には処女小説『A Death in Winter : 1963』を出版。

本書の要点

  • 要点
    1
    意思決定のための情報収集では、数値化できない定性データは過小評価されがちである。しかし、案件によっては、定量データだけでなく工夫して定性データを集めることで大きな判断ミスを避けることができる。
  • 要点
    2
    部下に仕事を任せるときには、スタッフ一人一人を理解し、「指導」と「支援」のバランスを見極めなければならない。
  • 要点
    3
    意思決定プロセスの最後にして最重要なのが、実行段階である。必ず実行後の分析をして、目指す目標に近づくように計画の改善を重ねるようにすべきだ。

要約

【必読ポイント!】 意思決定の原則

意思決定はスピードが大事――タウンゼンド流意思決定のルール
Ingram Publishing/Thinkstock

エイビスレンタカーの元CEO、ロバート・タウンゼンドは、鋭いビジネスの嗅覚を持っていた。彼の著書、『組織に活を入れろ』(ダイヤモンド社)は、1970年代にベストセラーになった。

タウンゼンドによると、決定が求められる案件には2種類しかないという。低コストで訂正しやすいために即断できる案件と、高コストで訂正しにくいためによく検討しなければならない案件だ。後者の案件は、適切な情報を入手してから決断することが大切だ。ただし、どんな案件でも手元に完全な情報がそろうことはない。タウンゼンドは、その現実が受け入れられないのならば辞任するしかない、という。

また、すでに使った予算について思い悩まず、今後のキャッシュフローだけを考えることも重要だ。負けたギャンブラーが損失を取り戻そうとするように、使ってしまった予算にとらわれてしまうと判断ミスにつながる。

情報の整理――マクナマラの誤信

なぜベトナム戦争は泥沼化したのか、ということを考察して、当時の米国防長官ロバート・マクナマラは、「マクナマラの誤信」という理論を発表した。

アメリカ側が自分たちを優勢だと思い込んでいたのは、捕虜や死亡したべトコンの数などの数値化したデータにばかり注目し、相手の士気や、外国の支配を逃れたいという思いなどの数値化できない要素に注意を払わなかったせいだ、というのがその誤信の理由だ。

数値化できるデータである定量データに対して、数値化できないデータは、定性データと呼ばれる。こちらは、人々の考えや信じていること、物事をどう捉えたかを記録しようとしたものである。

意思決定を担う人たちは、今もこうした、定性データが決定の成否に与える影響を過小評価しがちだ。が、それらの影響を思考から排除することは大きな判断ミスに繋がることもある。案件の性質によっては、意思決定者は定性データの収集方法や利用方法をより具体的に検討するべきであり、定性データに懐疑的な人たちの意見を変えるために積極的に働きかけなければならない。チームから5、6人を選び、お金に換算できないコストと利益をリストアップしてもらったり、従業員や利害関係者と雑談や面談をしたりして定性データを集めることができる。

自分と他人の意思決定モデルについて知る

自分自身を知る――ジョハリの窓
Peshkova/iStock/Thinkstock

優れた意思決定者になるには、自身を知ることが不可欠だ。なぜなら、自分の

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要約公開日 2017.08.02
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