すごい立地戦略

街は、ビジネスヒントの宝庫だった
未読
日本語
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すごい立地戦略
ジャンル
出版社
定価
957円(税込)
出版日
2017年03月31日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

立地戦略――それはビジネスモデルと緊密に関わり合い、ビジネスの成否を分けるほど重要な要素だ。成功すれば売上倍増だが、失敗すれば経営破たんという事態にもなりかねない。ところが、ビジネススクールですら、立地戦略にスポットライトが当たることはほとんどない。大手チェーンの店舗開発担当でもなければ、「立地」という側面から経営を考える機会などまずないはずだ。

だが、立地戦略はいたるところで行なわれている。たとえばオフィス街の近くにある、飲食店の立ち並ぶエリアに注目してみてほしい。そこに、店が頻繁に入れ替わり、定着しない区画はないだろうか。一方で、狭い階段を地下に降りた場所にある、狭くてお世辞にもきれいとは言えない店内のステーキハウスが、意外と長く続いていたりする。こうした違いは、ビジネスモデルに適した立地で商売をしているかどうかによって決まっているのである。

最近では、証券会社や保険会社などの金融業界までもが、真剣に立地を考えるようになっているようだ。「お客様に来てもらう」商売をするうえでは、やはり立地が重要な要素になるということなのだろう。昨今ではサービスの質が全般的に向上し、昔ほど差別化が容易ではなくなった。「立地戦略のセオリーを知っているかどうかが経営の明暗を分ける」という著者の主張には大いに納得させられる。

読み物としても大変興味深い内容だが、すでにビジネスをしている人やこれから起業する人に、ぜひ読んでみていただきたい一冊だ。

ライター画像
金井美穂

著者

榎本 篤史 (えのもと あつし)
株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長。
2004年ディー・アイ・コンサルタンツ入社。小売業、外食、サービス業、生活関連サービス・娯楽業など、流通全般の成長支援プロジェクトに参画。クライアント企業との協働作業により、戦略の立案および実行を支援。
相互尊敬とチームワーク、多様な個性や知見、専門性の融合から生まれる相乗効果を大切にすると共に、クライアント企業との長期的な信頼関係の構築を重視している。

本書の要点

  • 要点
    1
    ロードサイドの店舗では、車で来店するお客様の人間心理までもが立地の決め手となる。
  • 要点
    2
    どこにでもあるコンビニや飲食チェーン店は、わざわざその店舗に行くというより、利便性の高い場所にたまたまあったという理由で行くことが多い。このような業態では立地の良し悪しが集客力に直結する。
  • 要点
    3
    ユニクロやドン・キホーテなどの「顧客誘導施設」や固定客を持った美容院は、そこに行くことが目的となるため、立地にこだわらなくても経営は成り立つ。
  • 要点
    4
    東京は一都三県から人が集まる特殊な街なので、東京と地方ではセオリーがまったく異なる。

要約

ロードサイド店舗の立地戦略と人間心理

「右折」という心理的障壁
Masaru123/iStock/Thinkstock

普段私たちが何気なく利用しているお店の中には、近くて便利なのでよく利用するお店もあれば、ちょっと遠いけどわざわざ出かけていくお店もある。そこには何らかの人間心理が働いているはずだ。これを無視しては出店戦略を立てることはできない。

丸亀製麺やサイゼリヤなど、ファミリー層向けのロードサイド店を例に考えてみよう。このような大手飲食チェーン店では、お母さんが車に子どもを乗せて来店することが多い。そこで、車を運転して来店するお母さんの心理的障壁を考慮する必要性が生じる。それはいったい何だろうか。

一般的に、女性ドライバーには右折を苦手とする人が少なくない。対向車線をまたいで店舗に入らなければならないからだ。すると、右折したくないがために、「もう少し先の左側にある別のお店に行こう」と思う人が出てくるかもしれない。そうなると、大事なお客様を逃してしまうことになる。

このようなケースでは「導流帯」をうまく活用するといい。導流帯とは、センターラインに沿ったスペースで、右折が苦手な人でも落ち着いて曲がれる地帯だ。立地のセオリーを押さえた丸亀製麺やサイゼリヤは、この導流帯がある場所にきちんと出店している。

「錯覚」を利用した駐車場

お客様が来店時に感じる心理的障壁は駐車場にも存在する。

たとえば、Aの駐車場では駐車スペースを区切るラインが一本線だとする。一方、Bの駐車場では、ラインがU字形の二重線になっているとする。さて、どちらが駐車しやすいと感じるだろうか。

実際には、ラインが1本でも2本でも、隣の車との間隔はたいして変わらない。しかし二重に線があると、間隔が広く見えるという錯覚が生じる。たかがライン1本あるかないかの違いだが、特に運転が得意ではない女性に対しては、駐車時の心理的障壁を取り除くのに有効となる。

「右折」や「駐車スペース」は店内に入る以前のちょっとしたことであり、一見売上に直接影響を与えるとは思えない。しかし、このようなドライバー目線の「入りやすさ」を考慮した立地の確保や店舗づくりをすることが、「次の来店」につながるかどうかを左右するのだ。

立地の良し悪しが命取りになる業態

コンビニの王者、セブン‐イレブン
Prasit Rodphan/iStock/Thinkstock

一昔前にはそこにあるだけで重宝されたコンビニだが、いまやコンビニは全国に約6万店舗もある。そうなると、より利便性の高い店舗にお客様は流れてしまう。ゆえに、コンビニ業界にとっては、立地戦略に沿った出店こそが生命線という時代になっている。

そんなコンビニ業界にあって、確固たる信念を持って店舗開発にあたっているのが、王者セブン‐イレブンだ。彼らは「ここにセブン‐イレブンがあるべきだ。今そこに、何が建っていようと」とでも言わんばかりの出店をするという。

これは競合であるローソンやファミリーマートとは正反対のやり方だ。ローソンやファミリーマートは、まず不動産屋を通じて空きテナント物件を探し、そこから選んで出店する。

ところが、セブン‐イレブンは出店先エリアの分析をおこない、「この角地に出店すべきだ!」となった場所に出店する。

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