これ、いったいどうやったら売れるんですか?
身近な疑問からはじめるマーケティング

未 読
これ、いったいどうやったら売れるんですか?
ジャンル
著者
永井孝尚
出版社
SBクリエイティブ 出版社ページへ
定価
864円
出版日
2016年10月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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身近な疑問からはじめるマーケティング
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永井孝尚
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864円
出版日
2016年10月15日
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3.7
明瞭性
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革新性
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レビュー

「マーケティングの名著は?」と聞かれて思い浮かぶのはどんな本だろうか?コトラーの『マーケティング・マネジメント』、ジェフリー・ムーアの『キャズム』など名高い名著の数々が挙がるかもしれない。しかしながら、仕事に忙しいビジネスパーソンにとって、実践に活かせるよう腑に落ちるまでそれらの本を読み込むのは決して簡単ではない。紹介されるケーススタディも海外の事例が中心となることから、読者当人にとっては遠く離れた出来事のような印象を持つ人も多いだろう。購入した後、数ページ読んで積読になっていることもあるのではないだろうか。

その点、本書は積読になることなく、興味を持って最後まで一気に読むことができる本だ。読者にとって身近なケーススタディがさまざまなマーケティング理論を交えて解説されており、サクサク読める。たとえば、はなまるうどんの他店の期限切れのクーポンを活用した、女性を対象としたプロモーション戦略など、興味深いケーススタディが数多く紹介されている。

これからマーケティングを勉強していきたいという人であれば、本書は楽しく読み進めることができるだろう。また、もし本書で紹介されるマーケティング理論をもっと深く知りたくなった場合は、巻末で紹介されている本で理解を深めることもできる。これまですでに多くのマーケティング本を通じて学んできた人も、マーケティング理論を頭の中で整理し定着させる一助として本書を活用できるだろう。

森本 進也

著者

永井孝尚(ながい たかひさ)
マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本
IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトフェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、製造業・サービス業・流通業・金融業・公共団体など、幅広い企業や団体を対象に、年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!」』『そうだ、星を売ろう』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    スマホや携帯が普及した現在、時間を知るためだけに腕時計をする人は少なくなった。時計メーカーは生き残りをかけ、いろいろな用途に使える腕時計を開発し新市場を創り出すブルーオーシャン戦略を採用している。
  • 要点
    2
    顧客ロイヤルティが高い顧客は生涯にわたって企業に莫大な利益をもたらす。ベンツは購入後のサービスを充実させることで顧客生涯価値を高めている。
  • 要点
    3
    はなまるうどんは健康意識の高い女性を集客するため、女性の財布の中にたまっている他店の期限切れクーポンを活用したプロモーション戦略を実施した。この施策により、2億円の広告と同じ効果が生まれた。

要約

【必読ポイント!】 腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?

売れる商品を作るためにバリュープロポジションという考え方を知る
jacoblund/iStock/Thinkstock

スマホや携帯が普及した現在、腕時計の「正確な時間を知ること」という価値は失われてしまい腕時計をする人は少なくなった。しかし、以前よりも腕時計のCMや広告が増えている気がする。これはなぜなのか。実は、これまでになかったようないろいろな用途に利用できる腕時計が販売されるようになっているからだ。

たとえば、心拍数を計測し無理なく体力アップできる「心拍トレーニング」が可能なジョギング専用ウォッチや高度計・気圧計・温度計・コンパスなどの機能がついた登山専用の腕時計。これらの時計はスマホなどの他の時計にはない価値を顧客に提供している。

この「顧客がほしいと望み、自社だけが提供できる価値」をバリュープロポジションという。バリュープロポジションを考えるには顧客を絞り込むターゲティングが必要だ。たとえば、ジョギング専用ウォッチは「ジョギングで体力を強化したい」顧客にターゲティングし、「時計で体力強化が図れる」というバリュープロポジションを提供している。売れる商品を作るためには顧客を絞り、その顧客が商品を購入する理由となるバリュープロポジションを考えぬく必要がある。

新市場を創り出すブルーオーシャン戦略

競合他社が増えて商品がコモディティ化し、過当競争が起きている市場を「レッドオーシャン」と呼ぶ。レッドオーシャンでは会社の体力が消耗し最悪の場合、倒産する可能性もある。これを防ぐためには、競合他社がいない市場「ブルーオーシャン」を見つける必要がある。

そのブルーオーシャンを生み出す戦略をブルーオーシャン戦略という。ブルーオーシャン戦略では新しい市場を創り出すために、まずターゲットを絞り、今やっていることから何を取り除いて、何を減らすかを考える。そして、代わりに何をつけ加え、何を増やすかを考えることで自社だけが提供できるモノを作り新しい市場をつくる。

たとえば、前述のジョギング専用ウォッチであれば、まずはマラソン好きにターゲットを絞った。心拍トレーニングのための心拍数モニターを搭載したり、走りながらでも心拍数が確認しやすいように文字盤に数字を大きく表示した。その分バッテリーの減りも早い。しかし、ジョギングに必要な機能を搭載したことでジョギング専用ウォッチという商品が生まれ、「腕時計で体力を強化する」という新市場を創り出すことに成功したのだ。

人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうのか

認知的不協和の解消で自社のファンを育成
Igor Lubnevskiy/Hemera/Thinkstock

著者の友人がベンツを購入した後、雑誌のベンツの広告を何度も読んでいることに著者は気づいた。ベンツのような高い買い物をした後、「高い買い物だったけど、いい買い物だった」という思いと、「でも実は間違いだったんじゃないか?」という不安がある。ベンツの広告を読むのは「やはり自分はいい買い物をした。よかった」と自分を納得させるためなのだ。これを認知的不協和の解消と呼ぶ。

「やっぱり買ってよかった」と認知的不協和が解消された顧客はその後も継続的に「顧客」になってくれる。その点、メルセデス・ベンツ社は販売してからのフォローがうまい。ベンツオーナーになるとその直後から、オーナーだけが観ることができる会員専用サイトが使えるようになったり、オーナーだけが集まるコミュニティに入ることができる。他にも走行距離が10万キロ以上、または保有期間が10年を超えたお客さんを表彰し、特別エンブレムを贈呈する「オーナー表彰制度」があり、購入後3年間は24時間365日のサポートサービスが無料で顧客に提供される。顧客に「やっぱり買ってよかった」と思わせ、継続的なファンになる「顧客」を育成しているのだ。

莫大な利益を企業にもたらすブランド信者

企業にとって顧客は1種類ではない。顧客のブランドへの思い入れ度=顧客ロイヤルティで分類できる。「潜在客→見込客→新規顧客→リピーター→贔屓客→ブランド信者」となる。この顧客ロイヤルティが高い顧客は企業に莫大な利益をもたらす。ベンツのリピーターや贔屓客は他社の車に乗り換えず、最新のベンツに買い替えてくれる。ブランド信者になると知り合いにもベンツを勧める。1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値(顧客生涯価値)は莫大だ。

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