お茶の科学
「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ

未 読
お茶の科学
ジャンル
著者
大森正司
出版社
定価
1,080円
出版日
2017年05月20日
評点(5点満点)
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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レビュー

日本で、お茶は、日常の中に当たり前のように溶け込んでいる。しかし、緑茶・紅茶・ウーロン茶がどれも同じ茶樹の葉からできていることや、その歴史が5000年以上もあることなどを、知らない方も多いのではないだろうか。

本書には、お茶に関するありとあらゆることが書かれてある。なぜ同じ茶葉から異なる色・香り・味のお茶になるのか。製造過程にはどんな秘密が隠されているのか。お茶はどうやったらおいしく淹れられるのか。次々に、知っているとお茶をもっと楽しめる話題が登場する。そして、どれについても、なぜそうなるのか、という科学的バックグラウンドが詳しく解説されているのが本書の特長である。

たとえば、お茶を毎日飲むと健康に良いと、昔から言い伝えられているが、本書を読むと次のようなことが整理されている。実際に、茶葉にはビタミンやミネラル類を初め、様々な成分が含まれていることがわかっており、緑茶は「栄養の宝庫」といわれている。代表的なお茶の成分であるカテキンは、摂取後3~4時間で体から出ていってしまうため、カテキン由来の効果を持続的に得るには、こまめにお茶を飲むことが大切なのだ。

お茶を50年以上にわたって研究している著者は、本書の冒頭で、とっておきの緑茶の楽しみ方である、「お茶のフルコース」を紹介している。普通の煎茶が玉露のような味わいとなり、しかも茶葉を最後まで味わえるという驚きの楽しみ方だ。この方法を知るためだけでも、本書は読むべき価値があるといえるだろう。

谷田部 卓

著者

大森 正司(おおもりまさし)
1942年生まれ。1970年、東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻博士課程修了。その後、大妻女子大学講師、助教授、教授を経て、現在は大妻女子大学名誉教授。 専門は食品科学、食品微生物学。お茶の科学的な薬効、ルーツ、伝統食品と健康に関する科学的・文化的な背景などについて50年以上にわたり多方面から調査・研究をおこなっている。そのほか、NPO法人日本茶普及協会理事長、NPO法人日本食行動科学研究所所長、お茶料理研究会事務局長、大妻女子大学「お茶大学」校長、茶需要拡大技術確立推進協議会会長も務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    お茶には緑茶・紅茶・ウーロン茶と様々な種類があるが、どれも同じ茶樹の葉からできたものだ。製造過程の違いで、茶葉がそれぞれに変化し、異なるお茶となる。
  • 要点
    2
    お茶の歴史は古く、中国ではおよそ5400年前には飲まれていたという。西暦1600年頃にはヨーロッパで紅茶文化が花開き、やがて紅茶が世界中に普及していく。
  • 要点
    3
    お茶の味の決め手となっているのが、カテキン、アミノ酸、カフェインだ。これらは、健康にも良い作用をもたらす。
  • 要点
    4
    お茶には、それぞれ正しい淹れ方がある。それを守ることで、お茶を格段に美味しく飲むことができる。

要約

【必読ポイント!】 お茶の種類と歴史

お茶とはなにか
szefei/iStock/Thinkstock

お茶は、世界中でもっとも多く飲まれている嗜好飲料のひとつだ。お茶には、緑茶、紅茶、ウーロン茶などがあるが、もとは同じ茶の葉からできている。茶の樹はツバキに似た植物で、植物としての表記は「チャ」、学名は「カメリア・シネンシス」という。原料は同じだが、作り方の違いで、色も味も香りもまったく異なるお茶ができあがるのだ。

日本でお茶といえば緑茶だが、世界においては紅茶を意味している。世界での茶の生産量の7割を紅茶が占めており、日常的に緑茶を飲む国は、主に日本・中国・ベトナム・ミャンマーに限られている。ウーロン茶は中国本土ではなく、台湾で主に飲まれている。

お茶を製造法により分類すると、「非発酵茶」の緑茶、「半発酵茶」のウーロン茶、「発酵茶」の紅茶、「後発酵茶」の黒茶など、というふうに4つに分けることができる。ここでの「発酵」とは、一般的な微生物による発酵とは異なり、茶葉に水や酸素が加わることで化学反応が起こることである。

非発酵茶である緑茶には、玉露・煎茶・番茶・ほうじ茶・抹茶・釜炒り茶と様々な種類があるが、これらは製法の違いによるものだ。たとえば玉露は、最初に収穫される一番茶を、栽培するときに一定期間太陽光を遮って育てる。そうすることで、茶葉の中で、うま味成分のアミノ酸が増え、渋味のもととなるカテキンが少なくなるのだ。

半発酵茶であるウーロン茶にも、品種や発酵度の違いで様々な種類がある。ウーロン茶のシェアの半分を占めるのが「水仙」、台湾茶の代表が「凍頂烏龍」、中国の福建省で作られる「鉄観音」などだ。

発酵茶である紅茶は、その香りに魅力がある。発酵時間を長くすると濃い色になるが香りが弱まり、発酵時間が短いと香り高くなるが薄い色になる関係にある。インドのダージリンとアッサム、中国のキームン、スリランカのウバで生産されるものが、世界四大紅茶といわれている。

お茶の歴史

お茶は中国の史書によると、およそ5400年前から存在していたようだ。当初は薬として重用されていたが、三国時代には飲料として飲むようになった。その後、隋の時代には広く庶民にも浸透し、栽培技術や製造法も発展していく。

1600年代になって、お茶はヨーロッパに渡り、紅茶が注目されるようになる。清の時代にお茶がヨーロッパへ大量に輸出されるようになると、イギリスを中心に紅茶文化が花開く。支払いに用いていた銀が底をついたイギリスは、アヘンを輸出して銀を取り戻すが、このことが発端となりアヘン戦争が勃発した。その後、戦勝国のイギリスとドイツは中国茶貿易の実権を握り、紅茶以外の中国茶は次第に衰退していった。19世紀初頭には、イギリスの支配下にあったインドのアッサム地方でも茶樹が発見され、紅茶は大量に生産されるようになった。

中国茶の生産は、中華人民共和国の設立以降、再び活況を呈し、台湾ではウーロン茶の生産が盛んになっていった。

茶樹の植物学的なルーツをたどると、チャの原木ではないかという樹が今でも中国に生息している。

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お茶の科学
未 読
お茶の科学
ジャンル
産業・業界 サイエンス
著者
大森正司
出版社
定価
1,080円
出版日
2017年05月20日
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