ダイエットの科学
「これを食べれば健康になる」のウソを暴く

未 読
ダイエットの科学
ジャンル
著者
ティム・スペクター 熊谷玲美(訳)
出版社
定価
2,500円 (税抜)
出版日
2017年04月23日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
5.0
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ダイエットの科学
「これを食べれば健康になる」のウソを暴く
著者
ティム・スペクター 熊谷玲美(訳)
未 読
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ジャンル
出版社
定価
2,500円 (税抜)
出版日
2017年04月23日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
5.0
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レビュー

これはきわめてすばらしい一冊だ。ダイエットに関心がある人にはもちろんのこと、「食べる」ということに関わる、ありとあらゆる人におすすめできる。すなわち、ほぼすべての人に。

本書の原題はThe Diet Myth(ダイエットの神話)である。その言葉通り、本書が暴くのはダイエット業界にはびこる神話だ。ダイエットや健康に関する本のほとんどは、「この栄養素は体に良い(悪い)から、この食品は食べるべきだ(避けるべきだ)」と主張する。だが、同じダイエット法をやっているのに、成果が出る人と出ない人がいるのはなぜなのだろう。

こういった疑問を、本書は丁寧に解き明かしていく。そこに説得力が感じられるのは、著者がロンドン大学キングス・カレッジの遺伝疫学教授として、1万3000人の双子を対象とした研究「UKツイン・レジストリ」を指揮してきた実績があるからだろう。著者は長年の研究を通じ、体型には遺伝の要素が大きいとしつつも、もうひとつ別の要因を特定した。それが本書の中心的なトピックである腸内細菌である。

今後、ダイエットや健康的な生活に取り組むうえで、腸内細菌というファクターを無視することはできなくなっていくと予想される。それはすなわち、「万人に適用できるダイエット」という神話がなくなり、オーダーメイドの時代に移っていくということだ。

「あれもダメ」「これもダメ」と指示するダイエット本に右往左往しているのなら、どうか本書を手にとってみていただきたい。これは、自分に合った食生活(ダイエット)を探すための道標なのだから。

石渡 翔

著者

ティム・スペクター (Tim Spector)
ロンドン大学キングス・カレッジ遺伝疫学教授、英国医科学アカデミーフェロー。双子研究の世界的な権威であり、近年はとくにマイクロバイオームを中心に研究を続けている。これまでに発表した論文数は800本以上、論文の被引用数は世界でもトップ1パーセントに入る。邦訳書に『双子の遺伝子』(ダイヤモンド社)、『99%は遺伝子でわかる』(大和書房)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    腸内細菌の多様性が減ってきていることが、肥満をはじめとする現代病の主原因である。
  • 要点
    2
    特定のダイエットが効く人と効かない人がいるのは、腸内細菌の個人差で説明できる。
  • 要点
    3
    カロリーの摂取量を消費量より少なくすれば痩せるというわけではない。摂取するものの質にこだわることが重要だ。
  • 要点
    4
    運動だけで痩せるということはほとんどない。しかし健康になるうえで、運動は非常に有益な手段である。
  • 要点
    5
    栄養面に配慮しつつ、継続可能な方法によって体重を少しずつ減らしつづけることが、ダイエットにおいては重要である。

要約

ダイエットという神話

ダイエット法と肥満の爆発的な増加
Delpixart/iStock/Thinkstock

どのダイエット法が良いのかを判断することはむずかしい。それは専門家にとっても同じことだ。ダイエットに関する書籍の数は数多くあるが、現実として食事の質は世界全体で低下しつづけている。

2014年の時点で、アメリカでは2000万人の子どもが肥満とみなされ、人口に占める割合は30年間で3倍になった。イギリスでも成人の3分の2が過体重か肥満だし、メキシコでは肥満率がアメリカを上回っている。中国とインドの肥満率も、この30年間で3倍になった。さらに驚くべきことに、痩せている人が多いと言われている日本、韓国、フランスのような国でも、子どもの1割以上が肥満だとされている。

この流れが続けば、イギリスとアメリカでは、2030年までに新たに7600万人、合計すると人口の半分近くが肥満になってしまう計算になる。すなわち、糖尿病などの患者がさらに数百万人増えるということだ。当然、そこには天文学的な医療費が発生することになる。

世間のダイエット法は問題だらけ

世の中に出回っているたいていのダイエット法は、科学的な素養のない人によって考案されている。さらに、評判の高い医師ですら、自説の正当性にこだわるあまり、矛盾する新たなデータを無視してしまうことが少なくない。ダイエットという分野は、科学というよりは宗教に似ているのである。

これはそもそも、栄養学という分野が抱える問題でもある。栄養学では、大規模な共同研究やプロジェクトがほとんど見られない。専門家が常に互いに敵対しあっているからだ。その結果、栄養学の研究水準はほかの研究分野と比べるとかなり遅れており、ほとんどの研究は、ある一時点の状況だけを調べる横断的かつ観察的な研究にとどまっている。被験者に対してひとつの食品、あるいはひとつの食事法を無作為に割り当てて長期にわたり追跡するような、信頼性の高い無作為化比較試験はわずかしかないのが現状だ。

遺伝がすべてではない
Steve Margala/iStock/Thinkstock

同じ量の食事をとっていても、太る人と痩せる人がいる。こうした違いが生まれる原因のひとつは「遺伝子」だと考えられる。遺伝子は、食欲と最終的な体重の両方に影響する。実際、個人差の60~70%は遺伝的要因で説明できるという。

とはいえ、ある形質が60~70%「遺伝によるもの」だからといって、それが運命として決まっているわけではない。たとえば、遺伝子がまったく同じ一卵性双生児なのに、ウエストサイズがかなり違うこともある。また、1980年代のイギリスだと肥満は人口全体のわずか7%だったのに、今では24%にまで増加している。こうした年代的な変化も、体型が遺伝的要因だけで決まるわけでないことを示している。

そもそも、遺伝子が自然選択による適応を起こすには、最短でも約100世代かかる。したがって、ここに遺伝以外の要因が絡んでいるのは明らかである。その要因とは、私たちの腸内にすむ小さな微生物(腸内細菌)である。

【必読ポイント!】カギは微生物にあり

人間は微生物とともに生きてきた

現代の食生活を理解するうえで、微生物はきわめて重要である。微生物はまだまだ新しい研究分野だが、体と食べ物の関係についての理解を根本から変えつつある。これまでのダイエット法では、栄養や体重を、エネルギーの摂取と消費という観点からしか考えてこなかった。しかし、それこそがダイエットの失敗を招いていたのだ。

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サイエンス 健康・フィットネス
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ティム・スペクター 熊谷玲美(訳)
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2017年04月23日
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