インターネットは自由を奪う
〈無料〉という落とし穴

未 読
インターネットは自由を奪う
ジャンル
著者
アンドリュー・キーン 中島由華(訳)
出版社
定価
2,530円(税込)
出版日
2017年08月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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インターネットは自由を奪う
インターネットは自由を奪う
〈無料〉という落とし穴
著者
アンドリュー・キーン 中島由華(訳)
未 読
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ジャンル
出版社
定価
2,530円(税込)
出版日
2017年08月24日
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総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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おすすめポイント

「インターネットは、解決しなければならない重要課題である」という言葉が、端的に著者のスタンスを表している。著者は、ウェブビジネスが盛り上がりを見せた初期のころに、インターネットの可能性を感じて起業した。が、現在は一転して、インターネットがもたらすものに警鐘を鳴らしている。

著者は、ネットワークテクノロジーの発展に伴って生まれた雇用の大量破壊、勝者総取り型の社会の実態をつぶさに報告する。そして、業界内部を知り尽くした者として、舌鋒鋭くシリコンヴァレーを批判する。グーグル、アマゾン、フェイスブックなどの巨大テクノロジー企業の欺瞞を次々とぶった斬るさまは圧巻だ。この先インターネットはどうあるべきなのかを論考しつつ、著者は、暴利をむさぼる企業に対する、官民両面からの規制という解決策を提示している。

みなさまの記憶にも新しいことと思われるが、2017年6月、欧州委員会はグーグルに対し、EU競争法(独占禁止法)違反を理由として、およそ3000億円もの支払いを命じた。本書の原書は2015年に刊行されており、まさに著者は時代の流れを見据えていたといえるだろう。本書は、世の中の動きをかたちづくる、ひとつの重要な論調の源流である。この先のビジネスの在り方、インターネットを利用する市民としての在り方を考えるために、必ず役に立つ一冊である。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

アンドリュー・キーン Andrew Keen
起業家・作家。17言語で出版された代表作『グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?』をはじめ、デジタル革命に関して鋭く説得力ある論説を発表する論客として国際的に知られる。90年代にシリコンヴァレーでAudiocafeを起業し、音楽とウェブをつなぐ最初期の企業のひとつに成長させた。現在、輸送・人工知能・VRなどのテクノロジーの未来をめぐり、起業家や官僚、投資家らが議論を行なうサロンFutureCast執行役員を務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    国防と公益を目的として開発されたインターネットは、1990年代初めから商用利用されはじめ、あっという間に新しい経済格差を生んだ。独占的なネットワークを築いたIT企業は、既存の産業を破壊し、雇用を消失させている。
  • 要点
    2
    少ない従業員で大きな富を得るIT企業の陰の労働者として、消費者のわれわれがいる。「無料」でサービスを利用しているという認識のもと、われわれは投稿やツイートなどで企業のためにコンテンツをつくり、企業の広告収入のために個人情報を渡しているのだ。
  • 要点
    3
    規制のないネットワーク社会で生まれた格差を解消するためには、独占企業に規制をかけ、インターネット自体の成熟を促すことが必要だ。

要約

インターネットの歴史

国防と公益のための発明
javarman3/iStock/Thinkstock

インターネットの始まりは、第二次世界大戦のころにまでさかのぼる。当時、ドイツ空軍の戦闘機の追跡システムを開発しようとしていたのが、アメリカのトップクラスの科学技術者が集まっていたマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちだ。彼らの研究のなかで生まれたのが、「サイバネティックス」という通信理論や、「考える機械」という発想である。これらがコンピュータ科学の発展を下支えすることになった。

その後、大戦後の平和も束の間、東西冷戦が激化していった。ソ連による核攻撃に耐える通信ネットワークを考えるべく、「センター・ツー・センター」でなく「ユーザー・ツー・ユーザー」の分散型ネットワークを構想したのが、ポール・バランだ。バランは、情報を小分けにして送信することも思いついた。

さらに、ネットワーク間をつなぐTCP/IPプロトコルが開発され、インターネットは急速に発展していった。あらゆる情報をつなげるワールドワイドウェブ(WWW)が構築されたのは、1990年のことである。

収益化の時代

インターネットの歴史の第二幕は、1990年代初めからスタートする。アメリカ政府がインターネットバックボーンであるNSFNET(全米科学財団ネットワーク)を閉鎖し、民間のインターネットプロバイダーがその役割を担うことになった。国防と公益を目的として開発されてきたインターネットは、以降「収益化」されていった。

WWWを、高度なプログラミングスキルがなくても使えるようにしたのが、ネットスケープコミュニケーションズが配布したウェブブラウザだ。1994年、ネットスケープ社は、ベンチャーキャピタル企業から500万ドルの投資を受けた。ウェブ事業へこれだけの金額が投機されたのは初めてのことだった。そこから約1年後、ネットスケープ社は株式公開され、7億6500万ドルもの配当がベンチャーキャピタル企業に転がり込んだ。このIPOの大成功は「ネットスケープ・モーメント」として知られ、インターネットの商用利用を加速させ、若いIT長者たちを続々と生み出すこととなった。

経済の中心地はウォール街から西部へ移り、ベンチャーキャピタル企業から、アマゾン、フェイスブック、グーグルのようなIT企業にどっと資本が流れ込んだ。新しいインターネット経済は、「勝者総取り経済」の様相を呈し、新しい格差を創出した。オンライン市場では、ファーストムーバー・アドバンテージを得た一握りの企業が、独占的なネットワークを構築した。

オンライン商取引において絶大な支配力をもつアマゾンは、書籍産業から利益を搾り取っており、あらゆる小売りセクターから雇用を消失させている。

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