SHOE DOG (シュードッグ)
靴にすべてを。

未 読
無 料
SHOE DOG (シュードッグ)
ジャンル
著者
フィル・ナイト 大田黒奉之(訳)
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
1,944円
出版日
2017年11月09日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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靴にすべてを。
著者
フィル・ナイト 大田黒奉之(訳)
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出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
1,944円
出版日
2017年11月09日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

本書のタイトルである「SHOE DOG(シュードッグ)」ということばは、靴の製造や販売、購入、デザインなどに身を捧げる人間のことを指している。靴の商売に長く関わり続け、靴以外のことは考えていないという人たちが、互いのことをそう呼び合うのだという。

当然、ナイキの創業者である著者もそんなシュードッグの1人だ。いまや世界一のスポーツ用品メーカーとなったナイキだが、著者はもともと日本のオニツカを絶賛し、アメリカで売りさばいてきた人物である。そんな彼が、なぜナイキという独自ブランドを立ち上げることになったのか。

著者の歩んできた道のりは、けっして舗装されたトラックではなかった。むしろいたるところに岩肌が見える、道なき道だったといえる。だが多くの失敗に直面し、何度も挫けそうになりながらも、著者は走り続けるのを止めなかった。

「競争のコツは忘れることだと、私は陸上から学んだ」と、かつて中距離ランナーだった著者は綴っている。自分の限界、苦痛、過去、「もう一歩も動けない」という甘え。勝利の女神ニケ(Nike)に由来した社名には、そういったネガティブなものにとらわれず、愚直に勝利をめざすことの大切さが示唆されているように思える。

500ページ以上の大著だが、おもしろすぎてあっという間に読み終えること間違いなしだ。シュードッグの世界を、どうぞご覧あれ。

石渡 翔

著者

フィル・ナイト (Phil Knight)
ナイキ創業者。1938年生まれ。
オレゴン州ポートランド出身。オレゴン大学卒業。大学時代は陸上チームに所属。中距離ランナーとして、伝説のコーチ、ビル・バウワーマンの指導を受ける(バウワーマンは後にナイキの共同創業者となる)。1年間のアメリカ陸軍勤務を経て、スタンフォード大学大学院に進学。MBA(経営学修士号)取得。
1962年、オレゴンの「ブルーリボン・スポーツ」社の代表として日本のシューズ・メーカーであるオニツカを訪れ、同社の靴をアメリカで売るビジネスを始める。その後独自ブランドの「ナイキ」を立ち上げ、社名もナイキと変更。創業メンバーたちとともに、スポーツ用品界の巨人、アディダスとプーマをしのぐ企業へと同社を育て上げる。1964年から2004年まで同社のCEO、その後2016年まで会長を務める。妻ペニーとオレゴンに暮らす。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本のランニングシューズに大きな可能性を見出していた著者は単身日本へ渡り、神戸にあるオニツカと交渉。見事アメリカでの代理店になることができた。
  • 要点
    2
    ビル・バウワーマンという伝説の陸上コーチにオニツカのシューズを送ったところ、大絶賛を受けた。こうしてバウワーマンが共同経営者に加わった。
  • 要点
    3
    著者はさまざまな陸上競技会に出席し、参加者にシューズを紹介した。この手法は非常に効果的で、最初の在庫は見事完売した。
  • 要点
    4
    別の業者から訴訟を起こされそうになるものの、著者は最終的にアメリカの西部13州での独占販売を勝ち取った。

要約

大いなるハッタリ

走り続けなければならない
kieferpix/iStock/Thinkstock

1962年、著者は自分の道を歩みはじめようとしていた。人生は朝のランニングのように束の間だ。だからこそ自分の時間を意義のあるものにしたかった。世界に足跡を残したかったし、勝ちたかった。とにかく負けたくなかったのだ。そして閃いた。スポーツのような人生を送りたいと。

著者はもともと偉大な陸上選手になりたいと考えていた。しかし残念ながら大成することはできなかった。24歳になった著者はその事実をようやく受けいれたが、だからこそ残りの人生は自分に見合った夢を見つけて、アスリートのように一心不乱にそれを追い求めたいと考えた。人生はゲームだ。プレーすることを拒めば取り残されてしまう。

日本のランニングシューズをアメリカで売り込むという、以前から温めておいたアイディアを実行するべく、著者は自分にこう言い聞かせた。「それが馬鹿げたアイディアだと言いたい連中には、そう言わせておけ……走り続けろ。立ち止まるな。目標に到達するまで、止まることなど考えるな。”そこ”がどこにあるのかも考えるな。何が起ころうと立ち止まるな」。

著者はこの言葉を胸に秘めながら、今後の人生を走り続けようと決意した。

世界に足跡を残すために

著者のアイディアは、もともとスタンフォード大学時代に考えついたものだ。起業についてのセミナーで靴に関するレポートを書くことにしたところ、すっかりその内容に夢中になってしまった。レポートの中で、著者は日本のランニングシューズのもつ大きな可能性について力説した。数週間かけて輸出入や起業に関するあらゆる文献をむさぼり読み、頼まれもしないのにクラスメートの前でプレゼンテーションもおこなった。その結果、見事Aの評価を得ることができた。

だがこの情熱は授業だけで終わらなかった。日本に行って靴会社を見つけ、自分の馬鹿げたアイディアを売り込む。さらに日本へ行き帰りする途中で、さまざまな国を見て回る。アメリカから飛び出して世界を見ないことには、世界に足跡を残せるはずもない。人生という旅を始める前にさまざまな神聖な場所に出向き、人類が歩んできた偉大な旅をまず理解しなければならない。著者はそう考えていた。

当時のアメリカでは、日本へ行くというのはかなり抵抗のある話だった。なにせ少し前までアメリカと戦争をしていた国である。しかし家族から無事に合意と金銭的な補助を取りつけることができた著者は、ハワイを経由して単身日本へと渡ったのだった。

そしてビジネスがはじまった
Jupiterimages/PHOTOS.com>>/Thinkstock

飛行機から見渡す東京は驚くほどきらびやかだった。しかし日本に到着後、ホテルへ向かう車から見えたのは暗闇だけだ。アメリカが落とした爆弾によって、多くの建物が失われていた。著者は複雑な気持ちを抱きながら、日本の街を見てまわった。

幸いなことに、東京には父親の知り合いが何人かいた。彼らの導きで『インポーター』という月刊誌の編集部を訪ねた著者は、そこで日本でビジネスをする時の心得を教わることになる。「コツは、ゴリ押ししないことだ。典型的なアメリカ人つまり典型的な外国人みたいに、不作法に大声で攻撃的に振る舞わず、ノーと言わないことだ。日本人は押しの強さに反応してくれない」

日米のルールの違いに戸惑いながらも、著者はすぐさま行動に移しはじめた。著者が気に入っていたのはタイガーというブランドで、神戸にあるオニツカという会社が製作している。ならば行くべきは神戸だ。

神戸に到着した著者はオニツカの重役たちに対して、アメリカでの代理店契約を取ろうと必死になって自分を売り込んだ。だが著者は肝心なことを忘れていた。自分の会社名も考えていなかったのである。

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