サピエンス全史(上)
文明の構造と人類の幸福

未 読
無 料
サピエンス全史(上)
ジャンル
著者
ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之(訳)
出版社
河出書房新社 出版社ページへ
定価
2,052円
出版日
2016年09月30日
評点(5点満点)
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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レビュー

私たちホモ・サピエンスがどのようにして食物連鎖の頂点に立ち、そして文明を築いたのかを歴史的に解明するというきわめて野心的な試み――それが本書である。

本書を手にとってまず驚かされるのが、その読みやすさ・わかりやすさであろう。人類発展の歴史という大きなテーマを扱っているにもかかわらず、本書の要点は「歴史の道筋は、3つの重要な革命が決めた」と書きあらわすことができる。だがそれは、本書の中身が薄いことをけっして意味しない。むしろ、歴史という大海に飛びこむための、たしかな「軸」となる視点を私たちに与えてくれている。

またこれは重要なことだが、ひとつの読み物として単純におもしろい。現生人類とよく似た動物がはじめて地上にあらわれたのは、およそ250万年前のことだった。そして10万年前の地球には、少なくとも6つの異なるヒトの種が存在していた。しかし、現代まで唯一生き延びた人類種はホモ・サピエンス、すなわち私たちだけだ。つい最近までサバンナの負け組だった私たちの種が、なぜ生態系に大惨事をおよぼすほどの影響力を持つようになったのか。本書に描かれているのは、スリルに満ちあふれた、とある「物語」でもある。

上巻にあたる本書では、歴史の道筋を変えた3つの革命のうち、主に2つが紹介されている。あなたも本書を船頭として、歴史という冒険の海を渡ってみてはいかがだろうか。

石渡 翔

著者

ユヴァル・ノア・ハラリ (Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。軍事史や中世騎士文化についての3冊の著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。

本書の要点

  • 要点
    1
    「虚構」、すなわち架空の事物について語る能力を身につけたことで、人間は大規模な協力体制を築き、急速に変化する環境に対応できるようになった。これが「認知革命」である。
  • 要点
    2
    これまで「農業革命」は人類にとって肯定的なものとして捉えられてきたが、一般的な農耕民はむしろ狩猟採集民よりも苦労することとなった。だがこれによって爆発的な人口増加がもたらされたのも事実である。
  • 要点
    3
    人類の文化はたえず変化している。そのなかでも人類にとって普遍的な秩序となりうるのが、「貨幣」「帝国」「宗教」の3つだ。

要約

【必読ポイント!】 認知革命

「虚構」という発明品
SergeyNivens/iStock/Thinkstock

現生人類、すなわちホモ・サピエンスは、15万年前には東アフリカで暮らしはじめていた。しかし、それ以外の場所に進出して他の人類種を絶滅に追いやったのは、今から7万年ほど前になってからのことだった。

その理由について、ほとんどの研究者は、ホモ・サピエンスの認知的能力に大きな変化が起こったからだと考えている。これを「認知革命」と呼ぶ。その原因は定かではないものの、これにより私たちは言語という、他のどんな動物ももっていない能力を獲得した。「虚構」、すなわち架空の事物について語れるようになったのである。そしてそれがホモ・サピエンスを特別な存在に押しあげることとなった。

私たちには、天地創造の物語や、近代国家の民主主義のような、共通の神話を紡ぎだす力がある。この能力が、無数の赤の他人と柔軟なかたちで協力することを可能にさせた。

事実、近代国家にせよ、中世の教会組織にせよ、古代の都市にせよ、太古の部族にせよ、人間の大規模な協力体制は何であれ、人々の集合的想像に根ざしている。虚構を発明したことにより、私たちはたんに個人で物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになったのである。

虚構はすべてを変える、しかも迅速に

物語を語ることそれ自体はむずかしいことではない。しかし、あらゆる人に納得してもらうことは簡単ではない。それゆえに歴史の大半は、どうやって厖大(ぼうだい)な数の人々を納得させる物語をつくれるかを軸に展開してきたといっていい。

とはいえ、いちど共通の物語さえ獲得してしまえば、ホモ・サピエンスは途方もない力を発揮する。誰もがその存在を信じている物語は、共有信念が崩れないかぎり、社会のなかで力を振るいつづけるからだ。たとえば、呪術師のほとんどは神や魔物の存在を本気で信じているし、人権擁護運動家の大多数も「人権」という存在を心から信じている。どれもこれも、本当は私たちの豊かな想像力の産物にすぎないというのに。

また、人間どうしの大規模な協力は神話にもとづいているため、別の神話にすげ替えることによって、人々の協力の仕方を変更することも可能だ。うまく条件が整えば、神話はあっという間に現実を変えてしまう。1789年、フランスの人々はほぼ一夜にして王権神授説という神話を信じることをやめ、国民主権の神話を信じはじめた。そしてそれに合わせて、社会体制という現実も大きくその姿を変えたのがその実例だ。

このように、認知革命以降、ホモ・サピエンスは求められる行動の変化に応じて、素早く振る舞いをあらためることができるようになった。これにより、遺伝子や環境の変化をまったく必要とせずに、新しい行動を後世に伝えてきた。

これぞホモ・サピエンス成功のカギといえる。もしホモ・サピエンスとネアンデルタール人が一対一で戦ったら、ホモ・サピエンスはネアンデルタール人に勝つことはできなかっただろう。だが大規模の争いになったら話は別である。勝つのは確実にホモ・サピエンスだったはずだ。なぜならネアンデルタール人は虚構をつくる力をもっていなかったため、大人数が効果的に協力できず、急速に変化していく問題に社会的行動を適応させることもできなかったからである。

こうして人類は史上最も危険な種となった
marcogarrincha/iStock/Thinkstock

認知革命の後、ホモ・サピエンスはアフロ・ユーラシア大陸から抜け出して、「外界」に移住するのに必要な技術や組織力を獲得していった。なかでも最初の偉業は約4万5000年前に起きた、オーストラリア大陸への移住である。これは歴史上屈指の重要な出来事で、少なくともコロンブスによるアメリカへの航海や、アポロ11号による月面着陸に匹敵する。というのも、ホモ・サピエンスが特定の大陸ではじめて食物連鎖の頂点に立った瞬間だからだ。

それまでの人類は、革新的な適応や行動を見せたことはあったものの、環境に与えた影響は微々たるものだった。ところが、オーストラリアへ行ったホモ・サピエンスは、ただ適応しただけでなく、この大陸の生態系をまるっきり変えてしまった。

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著者
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2,052円
出版日
2016年09月30日
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