ポスト平成のキャリア戦略

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ポスト平成のキャリア戦略
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2017年12月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、今をときめく二人の対談本である。一人は、NewsPicks編集長を務める佐々木紀彦氏だ。そしてもう一人は、堀江貴文氏や冨山和彦氏といった傑物とともに事業を創ってきた、株式会社経営共創基盤(IGPI)取締役マネージングディレクター・パートナーの塩野誠氏である。

二人の切り込みはとにかく鋭い。これからの時代を「ポスト平成」という新時代とみなし、「できる人」の定義が根本から変わると強調する。オペレーションばかり上手くて、リスクを負って挑戦する人が少ない。そうした人たちを「チャレンジ童貞」と揶揄するなど、耳が痛い発言も多い。

しかし、そうした厳しいキャリア論が展開されているにもかかわらず、逆に背中を押されるような、ワクワクした感覚が湧き上がってくるのも確かだ。現状に満足できず、漠然とした不安を感じている人。リーダーとして新たな挑戦を希望する人にとっては、本書は強力なサポーターとなってくれるだろう。

また、AIとロボットの融合領域における「ロボットフレンドリー」という発想は、大変興味深い。コンビニを一つの大きな自販機とみなすなど、すでにあるものを、これまでとまったく違う角度から眺めてみることは、自社の既存事業の今後を考える上でも役立つに違いない。

VUCAの時代に、真剣に自らのキャリアと向き合いたいなら、本書のほかに最適なものは思い浮かばない。キャリア戦略の決定版が今ここに。

ライター画像
金井美穂

著者

塩野 誠 (しおの まこと)
経営共創基盤(IGPI)取締役マネージングディレクター・パートナー、JBIC IG Partners(国際協力銀行とIGPIの合弁会社)代表取締役CIO。
1975年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、ワシントン大学ロースクール法学修士。ゴールドマン・サックス、起業、ベイン&カンパニー、ライブドア等を経て現職。戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー、各国政府ファンドとの協調投資に従事。政府委員、人工知能学会倫理委員会委員、MBAでの講師等を務める。著書多数。

佐々木 紀彦 (ささき のりひこ)
1979年福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2012年11月、「東洋経済オンライン」編集長に就任。2014年7月から「NewsPicks」編集長。最新著書は『日本3.0』。他著に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ベンチャー魂あふれる昭和の時代、そして守りのニーズが高まった平成へと時代は移り変わり、今また「ポスト平成」の時代へ移行しようとしている。
  • 要点
    2
    ポスト平成の時代では、複数のキャリアや専門性の掛け算によって自分のユニークネスを発揮できる人材が強い。そして「ハングリー&ノーブル」の姿勢が重要となる。
  • 要点
    3
    事業サイクルが「まったり期」に入った日本で求められるのは、新規事業開発ができる人材だ。しかし、オペレーション確立期が長く続いたため、事業の立ち上げ経験をした人材が少ないのが現状だ。

要約

【必読ポイント!】 これからのキャリアのつくり方

昭和と平成の働き方
RomoloTavani/iStock/Thinkstock

本書のテーマは、「ポスト平成のキャリア戦略」である。佐々木氏によると、「平成モデル」は「昭和モデル」の劣化版に近く、その平成モデルですら陳腐化しているという。ポスト平成のキャリア戦略について語る前に、簡単に平成モデルと昭和モデルをそれぞれ振り返っておこう。

昭和モデルは、右肩上がりの経済の中で築かれた。年功序列で、「男は家庭より仕事優先」といった、時代遅れな面もあった。また、敗戦という悲劇を経験したのもこの時代だった。しかし、国民が一致団結して努力した結果が目に見えた、攻めの時代だった。

一方、平成モデルはというと、長期停滞、男女ほどほど分業、ほどほど年功序列というように、何かにつけて中途半端である。また、バブルが崩壊して経済は低迷し、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大災害が起こった。会社というコミュニティの力は弱まり、コスト削減やコンプライアンスなど、守り重視の人が増えた。

こうしてハングリーな昭和から、守りのニーズが高まった平成を経て、今また「攻め」のニーズが高まってきている。

ポスト平成の働き方

では、ポスト平成の時代においては、どんな人材が「仕事ができる人」とされるのだろうか。スタートアップメディアのNewsPicks編集長を務める佐々木氏は、最低でも3つは得意分野が必要だという。

これまでのメディア業界は分業体制だった。しかし、個人によるメディア運営が可能になった現在では、それが逆に非効率になり得る。得意分野は自動車やIT、金融などの産業領域、動画や写真、デザインといった表現手法、地域の専門性でもいい。3つ以上の専門性を掛け合わせて付加価値を生み出せる人は強い。

これを受けて塩野氏は、「キャリアの掛け算」によりユニークネスを発揮できることの重要性を強調する。例えば、ウェブメディアの経験と自動車業界の人脈を持ち、東南アジアに詳しくて取材もできたら、100人に一人の人材になれる。

また、塩野氏はキャリアについて考える際、「組織固有スキル」と「汎用的スキル」を見誤らないことが重要だと注意をうながす。これまでのキャリアで培ったスキルが、どこでも通用する「汎用的スキル」なら問題ない。しかし、特定の組織内でしか通用しないスキルだった場合、つぶしがきかないからだ。転職を考えるなら、この視点を大事にしたい。

キーワードは「ハングリー&ノーブル」
istocksdaily/iStock/Thinkstock

ポスト平成へ移行するに伴い、リーダーとしての評価軸も変化していくと塩野氏はいう。AIやロボットが進化していく世の中では、ヒューマンタッチ(人間味)やハイタッチ(感性)が、より重視されるようになる。そして、言語感覚や言語操作能力が高い人の評価が高くなる。このときに重要なのが「ハングリー&ノーブル」の姿勢だ。ノーブルとは「高潔な気概」を指す。

昭和の時代には、盛田昭夫や本田宗一郎、松下幸之助といったハングリー&ノーブルの手本となる本物のリーダーがいた。だが、現代のビジネスの現場では、ハングリーさに欠けた人が多く、ハングリーな悪人に騙されることも少なくない。また、ノーブルが欠けていると、日本企業の不祥事に見られるような、「会社のためを思って罪の意識なく悪事に手を染める人」になってしまう恐れがある。

次に、リーダーの評価についてはどうか。日米のスタートアップを比較すると、経営者の能力に明らかな差があると佐々木氏は指摘する。中でも著しく差があるのは「ミッションを創る力」である。

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