アフター・ビットコイン

仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者
未読
日本語
アフター・ビットコイン
アフター・ビットコイン
仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者
未読
日本語
アフター・ビットコイン
出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2017年10月25日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

最近では「ビットコイン」という単語を見聞きしない日はないといってよい。投機目的でビットコインの取引を始める人も増え、メディアでもビットコインの話題で持ちきりだ。しかし、果たして私たちはビットコインの本質を冷静に認識できているだろうか。

本書の著者である中島氏は、日本銀行に勤務後、決済分野を代表する有識者として、金融庁の審議会等にも数多く参加してきた。まさしく金融のプロだ。そんな中島氏は、「通貨の未来を変える」仮想通貨として、ビットコインの明るい部分にばかりスポットライトが当てられていることに、警鐘を鳴らす。ビットコインには課題も少なくない。現状はビットコインの保有が一部に偏っていること、そしてバブル的な兆候が見受けられることなどだ。

中島氏が注目しているのは、ビットコインの中核技術ブロックチェーンである。ブロックチェーンは国際送金、証券決済分野への応用が有望視されている。ブロックチェーンの金融への応用事例については、金融界への知見豊かな中島氏だからこそできる明快な解説で、読む者の知的好奇心に火をつける。また、その応用可能性の広さに驚かざるを得ない。

金融のプロから見たビットコインはどのような存在なのか。そしてその中核技術であるブロックチェーンが金融界や私たちの生活にどのような影響を及ぼしていくのか。こうした点について理解を深めたい方にとって、本書は一つの頼れる指針になってくれるだろう。

著者

中島 真志(なかじま まさし)
1958年生まれ。1981年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、2017年10月現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。単著に『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』、『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。

本書の要点

  • 要点
    1
    金融の専門家の間ではビットコインに対する期待が低下している。著者は、ビットコインが、通貨のあり方を根本から変える「次世代の通貨」にはならないと考えている。
  • 要点
    2
    一方で、ビットコインの中核技術であるブロックチェーンに関しては、金融やビジネスの仕組みに大きな影響を与える可能性が高い。
  • 要点
    3
    ブロックチェーンによって、金融取引にかかるコストを10分の1程度にまで削減できるという見方もある。そして、国際送金や証券決済分野への応用が有望視されている。

要約

生き残る次世代通貨は何か

過大評価されているビットコイン

ビットコイン登場当初、「中央銀行が存在しない通貨」として金融界に衝撃が走った。暗号技術とブロックチェーンの仕組みにより、高い安全性のもと、ほとんどコストをかけずに世界中に送金できる。すると、銀行を通じた送金や決済が不要となり、銀行のビジネスモデルに大きな影響を及ぼすことになると考えられたからだ。

しかし、2015年頃になると、国際会議のテーマとしてビットコインが取り上げられることはなくなった。欧米の銀行関係者は、ビットコインを、「一部の人たちが使うマイナーなサービス」として位置づけるようになったためだ。実のところ、金融のメインストリームには影響しない存在とみなされているという。

しかし、現在の日本では、ビットコインのような仮想通貨が普及すると、銀行が消える、中央銀行が不要になる、といった話題が大々的に取り上げられている。海外の主要行の反応に比べて、世間では仮想通貨が過大評価されているというのが著者の見解だ。

期待が高まるブロックチェーン
Zapp2Photo/iStock/Thinkstock

金融の専門家の間ではビットコインに対する期待が低下している。一方、ビットコインの仕組みを支える技術、ブロックチェーンに対する期待は高まっている。

ブロックチェーンは、取引記録を入れた「ブロック」を、時系列に鎖のようにつなげて管理する仕組みである。これにより、不正取引や二重使用を防止できる。また、金融取引にかかるコストを、10分の1程度にまで削減できるという見方もある。

ブロックチェーンに関する実証実験は、土地登記や医療情報など多方面で行われている。特に有望視されているのが、国際送金や証券決済分野への応用だ。

著者は、ビットコインはそれなりの存在として存続しても、通貨のあり方を根本から変える「次世代の通貨」にはならないと考えている。一方で、ビットコインの中核技術であるブロックチェーンに関しては、金融やビジネスの仕組みに大きな影響を与える「本物の技術」だと、高く評価している。

ビットコインはバブルか?

すべての始まりはビットコイン
peshkov/iStock/Thinkstock

ビットコインとは、「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が、2008年に発表した論文をもとに作成された「仮想通貨」である。2009年1月3日に、最初のブロックが作られ、ビットコインの運用が始まった。

ドルや円などの通常の「法定通貨」には、中央銀行などの公的な発行主体が存在する。そして、こうした主体が、通貨の流通を管理し、供給量を調整しており、強制通用力を発揮する。

これに対し、ビットコインの場合は、中央で通貨を管理する主体は存在せず、プログラムが管理している。世界中のビットコイン・ネットワークの参加者が協力して、お互いのビットコインの取引を確認し、取引処理を行う。前者の法定通貨は、印刷技術によって偽造を防止している。これに対し、後者のビットコインは暗号技術により不正な複製や二重使用を防ぎ、安全性を確保している。

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