STARTUP STUDIO
連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団

未 読
STARTUP STUDIO
ジャンル
著者
アッティラ・シゲティ 露久保由美子(訳) QUANTUM Inc.(監修)
出版社
定価
1,944円
出版日
2017年10月23日
評点(5点満点)
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

スタートアップと失敗は切っても切り離せない関係だ。そして失敗はときとして、起業を躊躇させる心理的なハードルになる。だが本書のタイトルにもある「スタートアップスタジオ」なら、そのハードルを取り除けるかもしれない。

スタートアップスタジオとは、ハリウッドの映画スタジオが映画を量産するかのように、スタートアップの量産を試みる組織のことだ。スタートアップスタジオはいま、欧米、中南米、アジアと着実に増えていっているという。

アイデアはあるがどのように商品開発すればよいかわからない、マーケティング経験のある人材がいない、資金調達がうまくいかないなど、スタートアップは数多くの課題に直面するものだ。しかしスタートアップスタジオに所属している起業家なら、スタジオのサポートを受け、少ない労力で課題を解決できる。いままで起業において躓きがちだった部分をサポートしてくれる仕組みが、スタートアップスタジオにはあるのだ。

著者アッティラ・シゲティ氏もスタートアップスタジオ創業者のひとりである。そんな彼が世界中の成功を収めているスタートアップスタジオに、何十回とインタビューを重ねて書き上げたのが本書だ。

大企業に所属しながらも新規事業を立ち上げたい人、純粋にスタートアップを立ち上げたい人、あるいは最新ビジネストレンドに興味がある人であれば、本書を読まない理由はない。

森本 進也

著者

アッティラ・シゲティ (Attila Szigeti)
IBM、シティグループを経て起業。現在はハンガリー・ブタペストにあるドルッカ・スタートアップスタジオのCOOを務め、世界中で勃興しているスタートアップスタジオの調査を目的とした「ビッグ・スタートアップスタジオ・スタディ(Big Startup Studio Study)」というプロジェクトの発起人でもある。これまでに世界各地で50を超えるスタートアップスタジオを調査している。

本書の要点

  • 要点
    1
    インキュベータやアクセラレーターは、スタートアップチームへの指導や投資、または有償でのインフラ提供に重きを置く。一方でスタートアップスタジオは、スタートアップそのものをつくる。
  • 要点
    2
    スタートアップスタジオは、所属スタートアップの株式比率の50%前後を得るのが普通だ。アイデアやインフラ、人材、資金面の提供を踏まえると、この数値は妥当だといえる。
  • 要点
    3
    日本の豊富な技術、人的リソースを活かしたコーポレート型のスタートアップスタジオには、大いに可能性がある。この仕組みを使えば、日本のもつモノづくりや製造のノウハウが、ふたたび活性化するかもしれない。

要約

【必読ポイント!】 スタートアップスタジオの基本

スタートアップそのものを生み出す
scyther5/iStock/Thinkstock

同時多発的に複数のスタートアップを立ち上げる組織「スタートアップスタジオ」が、世界中で増加傾向だ。有名なのはロケット・インターネット、ベータワークス、サイエンス、イーファウンダーズなどだが、それ以外にも多数存在する。著者が2015年に調査したとき、世界各地で51のスタジオが確認された。だがその翌年には150以上ものスタジオが見つかった。

スタートアップはいままでにないアイデアを商品として作り、売っていくことで成長する。しかし10回のうち、9回以上は失敗する。失敗の原因は資金繰りの失敗、チーム・コンピテンシーの不足、トレンドの不一致、不十分な流通網などさまざまだ。

だがスタートアップスタジオならどうだろうか。起業家はスタジオの人材、資金などのリソースを利用し、そうした課題を解決できるようになる。スタートアップスタジオは起業家がアイデアを実現するうえで、まさに理想的な場なのだ。

従来のインキュベータやアクセラレーターの場合、スタートアップチームへの指導、投資、有償でのインフラ提供に重きを置いていた。一方でスタートアップスタジオはスタートアップそのものだ。みずから商品とチームと企業をつくるからである。

起業家がスタートアップスタジオに参加して起業するメリットは、資金面の支援を受けられること、経験豊富な共同創業者や各職種のスペシャリストをスタジオ内で見つけられることなど、さまざまである。

チームはどのように組織されるか

スタートアップスタジオは、複数のスタートアップを立ち上げることが前提となる。よってスタートアップスタジオの創業チーム作りは、ひとつのビジネスに集中するスタートアップ作りよりも難しい。各プロジェクトの優先順位やリソース配分、プロジェクトのスピンオフと中止を決定する「リーダーシップチーム」が必要になるからだ。ちなみにチーム全体を引っ張るのは、スタジオの創業者であることがほとんどである。

スタートアップのプロジェクトを運営する人材(共同創業者)には、起業経験があるなど、起業家としての資質をもった人材が適している。スタートアップスタジオではその他にも、開発、デザイン、マーケティング、営業、法務、総務などの機能を提供している。

報酬の扱いに関してはどうなっているのか。著者が行なった調査によると、スタジオ側が平均して所属スタートアップの株式比率の50%前後を獲得しているという。スタジオがアイデア、インフラ、人材、お金を出しているケースが多いため、この数値は妥当と考えられる。

スタジオのプラス面とは
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

スタートアップスタジオのメリットは多岐にわたる。

1つ目のメリットは「多角化と失敗に対する耐性」だ。スタジオは複数のスタートアップを運営する。そのためひとつのスタートアップで失敗しても、チームを配置転換し、優秀な人材とノウハウを残すことができる。

2つ目のメリットは「投資家にとってはよりハイリターン」であることだ。スタジオはスタートアップの株式資本の大きな割合を占める。よってイグジットした際、大きな利益が得られる。

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ジャンル
起業・イノベーション グローバル テクノロジー・IT
著者
アッティラ・シゲティ 露久保由美子(訳) QUANTUM Inc.(監修)
出版社
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定価
1,944円
出版日
2017年10月23日
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