会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

未読
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会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2018年03月13日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「ブラック企業」という言葉はすっかり市民権を得た。「うちの会社、ブラックだから」「そんなに残業時間が長いなんて、ブラック企業だね」などという会話がそこここで交わされている。ここで まず考えておきたいのは、「ブラック」なのは本当に会社なのだろうか、ということである。会社とはそもそも何なのだろう。 ブラック企業をブラック企業たらしめているのは、いったい誰なのだろうか。私たちは、「会社のため」と言いつつ、誰のために働いているのだろうか。本文を読み始める前に、立ち止まって考えてみてほしい。

本書は、「働き方改革」に成功し、ユニークな働き方を認めていることで知られるサイボウズ株式会社の代表取締役社長・青野慶久氏による啓蒙書だ。本書の中で著者は、会社は「実体がないモンスター 」であると看破し、 会社のために働くという考え方へ疑問を投げかけている。さらに、楽しく働くための方法を提言するとともに、そのため のサイボウズでの取り組みも紹介している。「社長とは、独裁者である?」「社員を飼い殺しにしてきた日本のカイシャ」「年功序列の『我慢レース』」など、日本のサラリーマンに大きな衝撃を与える名言が次々と飛び出すが、目をそらさずに、ぜひ最後まで読み通してほしい。著者は、決して夢物語でない、現実的な「自分の楽しい人生を取り戻すためのヒント」を提案してくれているからだ。きっと本書は、自分らしく楽しい働き方を発見するための指針となってくれるだろう。

著者

青野 慶久(あおの よしひさ)
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年、愛媛県松山市でサイボウズ株式会社を設立。2005年、代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を7分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進め、2017年にクラウド事業の売上が全体の60%を超えるまで成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーや一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    楽しく働くためには、代表のビジョンと自分の夢を重ね合わせること、仕事における「やりたい」「やれる」「やるべき」の3つの「円」を重ねること、自分の強みを複数掛け合わせてユニークな人材になることなどが大切だ 。
  • 要点
    2
    年功序列 の給与体系だったり、フルタイムで働ける人材しか雇用しなかったりと、多様な個性を尊重しない会社は 、だんだん弱くなっていく。
  • 要点
    3
    社内外問わず、人材の多様な個性を引き出して化学反応を起こせば、クリエイティブなアイデアが生まれ、会社の競争力が高まる。

要約

カイシャはモンスターだ

カイシャには実体がない
ismagilov/iStock/Thinkstock

本書で著者は、会社に対するこれまでの偏見から自由になるため、会社のことをあえてカタカナで「カイシャ」と書く。カイシャという言葉が指すものは、オフィスのビルではなく、また社員でもない。カイシャには、「これだ」と指させるような実体がないのだ。しかし、「会社法」に沿って運用されているカイシャは「法人」として認められ、法律の上では「人」として扱われる。つまりカイシャは、「妖怪」のように、人間が作り出した想像上の生き物なのだ。

カイシャは、口座を持つことができたり、社員が稼ぎ出したお金を保有して大金持ちになっていたり、人間より有名だったり、尊敬されていたり、「カイシャのために頑張ります!」と言われたりする。事業が成功するにつれ、カイシャの資産やカイシャが雇用する社員はどんどん増えていき、モンスターのように巨大化していく。

カイシャは代表取締役のもの

実体がなく意思もないカイシャは、誰によって操られているのだろうか。

カイシャのお金を動かす権利を持っているのは、カイシャの代理人である取締役たちと、取締役の代表である代表取締役だ。彼らは、自分の給料を倍に増やすといったこともできてしまうし、自分にとって都合のよい人を入社させることも可能だ。特に代表取締役の持つ権限は強く、非常に「美味しい」ポジションだと言える。

「カイシャのために働く」と言う人がいるが、実際には、実体のないカイシャのためではなく、そのトップにいる代表たちのために働いているのだ。だからこそ、カイシャのブランドやイメージよりも、代表取締役が信頼できる人なのかどうかをよく見ておかなければならない。それによって、仕事の楽しさが左右されるからだ。

「今の代表がイケてなくても、次はイケてる代表になる可能性もあるのでは?」と思うかもしれない。しかし、ここで忘れてはいけないのは、「次の代表を選ぶのは、今のイケてない代表」だということだ。人事権を持つ代表は、次の代表として、自分にとって都合のいい人を選ぶものだ。もしあなたが「このカイシャを何とかして変えたい」と思っても、カイシャを変える権力を手にするには、「イケてない人に選ばれ続ける」という我慢レースを耐え抜かなければならない。

【必読ポイント!】 どうしたら楽しく働けるのか?

代表のビジョンと自分の夢を重ねる
fizkes/iStock/Thinkstock

意思を持たないカイシャは、生身の人間である代表の意思に従って進む。だから、楽しく働くためには、代表のビジョンと自分の夢が重なっているのが理想だ。100パーセント重なっているというのはありえないにしても、部分的にでも重ね合わせることができ、カイシャに入った後も自分の夢を探求していくことができればよい。

仕事を楽しめている人は、ビジョンの重ね合わせができているかどうかの確認作業を怠ることがない。

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