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会社をつくれば自由になれる

中年起業という提案


本書の要点

  • 「雇用」という制度は、市場が拡大している時代には合っていたが、市場が縮小する時代には合わないものだ。正規雇用が減っているのは当然で、その状況から脱却するには起業しかない。

  • 中年は「負けない」起業をしなければならない。そのためにはある程度の貯蓄、確実な仕事の確保、健康などが大切だ。

  • 中年起業においては「ヒト・モノ・カネ」よりも、「人間関係・経験・健康」の無形資産のほうが重要である。専門性も武器になるが、ある限られた領域で通用する程度でかまわない。

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【必読ポイント!】 いつ起業し、なぜ起業するべきか?

「雇用」というシステムの制度疲労

James Woodson/DigitalVision/Thinkstock

「雇用」とは身分の保障と引き換えに、低賃金で働くことを指している。企業の種類や経営者の人格にかかわらず、「雇用」というシステム自体が低賃金とセットになっているのだ。経営者の仕事は、従業員を独占的かつ徹底的に使いたおし、賃金を与えながら、辞めたくなる瀬戸際を見きわめることである。

労働の基本は自給自足だ。雇用は分業による効率化を図るため、そして「自給自足できない人の救済策」として機能してきた。高度成長期の市場が拡大していた時代は、このシステムで問題なかった。だがいまは制度疲労を起こしている。非正規雇用の拡大などは、起こるべくして起こった問題なのだ。

この「雇用」という制度を何とかして維持しようとするのが、最近よく耳にする「働き方改革」である。しかし「雇用」というシステム自体が矛盾をはらんでいるため、根本的な解決になっていない。

人口減少や少子高齢化社会を迎える日本の状況は、今後厳しくなる一方だろう。給与所得控除の廃止・縮小、公的年金控除引き下げ、住民税・消費税増税などが目前に迫っている。この状況を生き抜くための自衛手段として必要なのが、起業なのである。

「次長」「担当部長」になったらチャンス

起業に関わるコストのなかで、もっとも大きいのが「教育」だ。教育は長期にわたる、回収の見込みが立たない投資活動である。中小企業では、教育に大きなコストがかけられないため、能力の高いフリーエージェントに委託している。一方で大企業は、人材をしっかりと育てている。大企業で働くということは、すなわち学ぶことなのだ。起業するにあたり、自分が働いている企業を学校に見立て、何が学べるかを考えるべきである。

また会社内での肩書きのほとんどは、ただのローカル・ルールにすぎない。しかしサラリーマンにとって、「部長」に昇格できるかどうかは大きな関心事だ。部長はポストが少なく、競争率が高い。仕事ができ、有能であったとしても、部長になれない人が多く出現する。その「部長になれなかった人たち」に与えられるポストが、「次長」や「担当部長」だ。こうした肩書きは、出世競争のゲームオーバーを示唆しており、定年まで「飼い殺し」の状態が続くことを意味している。

ゆえに起業するならば、「次長」や「担当部長」になったばかりのタイミングがベストだ。さほど責任はないが、課長よりは立場が上で、管理職のようだが実際の管理業務はない。こういう状態が、起業準備にはもってこいなのである。

最大の教育機関である「大企業」で学び、経験知と体力の総和が最大化するタイミングが起業のチャンスだと心得よう。

「自分がいた会社の名前」は利用すべき

AlexandrBognat/iStock/Thinkstock

起業すると、それまで在籍していた会社での実績がリセットされてしまうと考えがちだ。しかし実際はその逆である。顧客は経営者の経歴を、必要以上に重視する。自分が過去の名前を使いたくないと考えていても、顧客はそれにこだわるものだ。ならば積極的に活用するべきである。在籍していた企業のブランド力をタダで借りられることは、大きなアドバンテージなのだ。

顧客は経験知に投資する。むしろ起業直後の売り上げの源泉は、経験知にしか存在しない。「自分がいた会社の名前を利用している」などと揶揄されることもあるが、利用するのは当たり前のことだ。雑音は気にしなくていい。

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起業したほうがいい人、しないほうがいい人

変わるのはストレスの「量」ではなく「色」

転職は単なる人事異動の一形態のようなものだ。働く場所が別の会社になっても、働き方の構造自体が変わるわけではない。転職しても、しばらくすればまた以前と同じ不平不満を口にすることになるだろう。

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要約公開日 2018.06.21
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