入社1年目からの数字の使い方の表紙

入社1年目からの数字の使い方


本書の要点

  • 「なるべく早く」「ちょっと」など、数字でない言葉を数字に変換することは、ビジネスパーソンに必須のスキルだ。「2時間以内に」「最大10%」など、数字を使って表現しよう。

  • 報告を求められたときには、訊かれていることにまず答え(情報)、それを数字で具体的に説明し(数字)、最後に自分の考えや意見を伝える(情報)という順で話すと、相手に伝わりやすい。

  • 数字を使って「報告・連絡・相談」する際には、一桁レベルまで正確な数字を伝える局面なのか、それとも、ざっくり伝えれば十分な局面なのかを正しくつかむことが重要だ。

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社会人のための数字の基本

仕事で使う数字はたった2種類しかない

Monkey Business Images/Monkey Business/Thinkstock

ビジネスパーソンが仕事で使う数字は、「実数」と「割合(%)」の2種類しかない。実数とは、ヒト・モノ・カネといったものの「量」を表現する「リアルな数字」のことである。割合とは、2つの実数を比較することで作られるもので、その実数の「よい・悪い」を表現する数字のことだ。

割合(%)という数字の裏には、必ず2つの実数がある。たとえば、「顧客満足度80%」という数字があったとき、これだけで「すごいね」と解釈するのは危険である。たとえば、「5名のうち4名が満足」と「1000人の超優良顧客のうち800人が満足」、どちらも同じ80%の満足度だ。しかし、中身は全く違う。だから、割合(%)だけで「よい・悪い」を判断するのではなく、必ず「もとの数字」が何なのかを把握し、「よい・悪い」「すごい・すごくない」の判断をすることが重要になる。このようなケースにおいては、「その割合(%)の分母(もとの数字)はなんですか?」と指摘してみよう。そうすれば、数字の落とし穴にはまらずに済むはずだ。

「数字でないもの」を「数字」に変換する

ビジネスシーンにおいては、「なるべく早く対処します」や「ちょっと値段を下げてガンガン売っていきましょう」などのように、数字で表現されていない言葉もたくさんある。しかし、「なるべく早く」とはいつまでなのか、「ちょっと」とはいくらまでのことを指すのだろうか。数字になっていない言葉を数字に変換することは、ビジネスパーソンに必須のビジネススキルだ。

その方法とは、相手から聞かれる前に「どれくらい?」を自分自身に問いかけ、具体的に考えることをサボらず、ざっくりと数字に置き換えることだ。たとえば、「いまから2時間以内に対処します」「最大10%まで値下げし、1日あたり50個のペースで売ります」などと会話に落とし込めばよい。

ビジネスシーンでは、相手に「どれくらい?」と尋ねられたらアウトだと心得よう。「どれくらい?」と聞かれてしまうということは、数字に変換するべきだった言葉を、変換せずに使ってしまった証拠だからだ。

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論理的に考える

「なぜなら」と「したがって」で考える

Martin Poole/DigitalVision/Thinkstock

論理的に考えるコツは、「数学コトバ」を使うことだ。数学コトバとは著者の造語であり、数学で用いられる論理表現のこと。わかりやすくいえば「要するに」「一方で」「または」などの接続詞のことである。

数学コトバは、前後にある2つの文の関係を表現し、それらを整理して1つの表現にする機能を果たしている。つまり、物事を考えるにあたり、頭の中で整理したり要約したりするために役立つのだ。意識的に数学コトバを使うことで、論理的に考えることができるようになっていくはずだ。

数学コトバの中で特に重要なのは、「なぜなら」と「したがって」だ。この「なぜなら」と「したがって」は、物事を判断する際や、失敗してしまった原因を分析する際にも役立つ。論理的に考えたいとき、まずは「なぜなら」という言葉で、ここでも自分に問いかけてみる。

「なぜなら」という問いを経て、理由がはっきりしたら、それをふまえてどうするかを考える。そのときに使うのは、「したがって」という言葉だ。

「1分で要約」「1行で要約」を習慣にする

誰かの発した「要するに○○」の○○が、少しも要約されていないケースは、多くの人の〝あるある〟だ。では、どうしたら的確な「要するに○○」がつくれるかというと、もし1分しか時間がなかったら、もし1行しかスペースがなかったら、という制限を自分の中で持って要約するとよい。

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要約公開日 2018.07.11
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