OKR

シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
未読
OKR
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シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
未読
OKR
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2018年03月19日
評点
総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

これからはKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)ではなく、OKRの時代になるかもしれない――それが読了後まっさきに出てきた感想だった。

もちろんKPIとOKRは用いられる場面が異なる。KPIがまったく使われなくなるということはないだろう。だがOKRのほうがより本質的なところをついているし、組織や個人の成長に寄与する指標だと感じる。

ここでいうOKRとはObjectives and Key Results(目標と主な結果)の略称だ。インテルが開発したこの手法は、グーグルなど名だたるIT企業にも取り入れられ、大きな成果を出している。KPIのように「パフォーマンスを評価する」だけでなく、「人を鼓舞し、能力を高める」ことにも重きを置いており、会社におけるゴールのモデルや存在そのものをつくり替えるポテンシャルがある。まさに変化の激しい現代社会だからこそ生まれたしくみといえよう。

本書は2部構成となっており、前半では物語(小説)形式でOKRの難しさと有用性が、後半ではOKR運用のコツが、それぞれ詳細に語られる。OKRはかなり柔軟性に富んだ手法だが、一方でかならず守らなければならないルールもある。逆にいうとそれさえしっかり守っていれば、さまざまな規模や業態の企業で効果を発揮してくれるはずだ。

しくみを通して、企業や個人を成長させる。まさにかくあるべしだ。目標達成のための新たなバイブルとしてご活用いただきたい。

著者

クリスティーナ・ウォドキー (Christina Wodtke)
ウォドキー・コンサルティングのプリンシパルとして、企業を洞察段階から実行段階に移行するためのトレーニングを行っている。また、カルフォルニア美術大学とスタンフォード大学夜間講座で、次世代のアントレプレナーを対象に教鞭をとっている。
これまで、リンクトイン、マイスペース、ジンガ、ヤフー、ホットスタジオ、イー・グリーティングスなどの企業の再設計と初期製品の販売を主導。さらに、コンサルティングスタートアップを2社、製品スタートアップを1社設立し、デザインを扱うオンラインマガジン、ボックシズ・アンド・アローズを創刊した。インフォメーション・アーキテクチャ・インスティチュートの共同創業者でもある。
カンファレンスから大学、理事会まであらゆる場所で発言し、インターネット上の多くのサイト、特にeleganthack.comで持論を展開している。

本書の要点

  • 要点
    1
    OKRを導入する前に、まずミッションを定めるべきだ。誰もが覚えられるぐらい短く、それでいて人を鼓舞させ、向かうべき道を指し示す言葉を選ぼう。
  • 要点
    2
    OKRとはO(目標)とKR(主な結果)からなる。Oはミッションに似ているが、より短期的なものだ。KRはOを達成するための定量的な行動指標である。
  • 要点
    3
    OKRをうまく導入するうえでは、(1)最初のうちは会社のOKRを1つだけ定める、(2)全社で導入する前に1つのチーム内で導入する、(3)プロジェクト単位で適用するところから始める、という3つの方法が考えられる。

要約

なぜ、やり遂げることができないのか

目標が実現しない5つの理由
phaustov/iStock/Thinkstock

誰にでもやりたいことはある。だがそれがどれだけ重要なものであっても、実現しないことは多い。なぜ目標は実現しないのだろうか。そこには5つの要因があると著者は見ている。

1つ目の要因は、ゴールに優先順位をつけていないことだ。「なにもかも重要というのは、どれも重要でないのと同じ」というわけである。たとえ同じぐらい重要に見えたとしても、優先順位はつけなければならない。それらを1つずつ処理していけば、成功する可能性は当然高くなる。

2つ目の要因は、熱意をこめて周りにゴールを伝えていないことである。ゴールを定めるだけでは不十分だ。ゴールは毎日チームに繰り返し伝えなければならない。しかも口頭だけでなく、あらゆる場面でリマインダーを送る必要がある。

3つ目の要因は、やり遂げるためのプランがないことだ。個人の意志の力に頼るのは非生産的である。意志の力は有限であり、使っていると摩耗してしまう。疲れていても脱線しないようにするプロセスが求められる。

4つ目の要因は、重要事項のための時間を設けていないことである。「重要でも緊急でもないこと」をやめるのは、それほど難しくない。しかし「重要だが緊急ではないこと」を真剣に考え、そのためのスケジュールを立てる人は少ない。重要事項をやり遂げるためには、時間をあらかじめ空けておくべきだ。

5つ目の要因は、繰り返さずにやめてしまうことである。OKRを導入しても、最初は失敗するものだ。だが成功する会社は、かならず再挑戦している。成功への唯一の望みは繰り返すことだ。ただしその際は、なにが機能してなにが機能していないのかを念入りに観察し、適切なフィードバックを加えていかなければならない。

成功への道:ミッションを定めよ
molchanovdmitry/iStock/Thinkstock

成功への道は複雑ではないが、とても険しいものである。夢をもつことからすべては始まるが、夢に到達するためには、重要事項にフォーカスし、いかなるときでも前へ進めるように計画し、失敗から多くを学ばなければならない。

OKRを導入する前にやるべきことがある。それはミッションの確認だ。ほとんどのスタートアップは、会社のミッションを掲げることに抵抗感をもつが、そもそも起業家は意識してるかどうかを問わず、創業時からミッションを抱えているものである。

ミッションはシンプルで覚えやすく、時間の使い方を占める指針となるように書かなければならない。よいミッションとは、全メンバーが覚えていられるぐらい短いものだ。人を鼓舞させる言葉で書かれ、それでいて方向性がはっきりしている。

ミッションをつくる際は、次のシンプルな公式に当てはめるといい。「わたしたちは、『価値提案』によって、『市場』における『問題点を取り除きます/生活を向上させます』」。そして推敲を重ねる。価値提案を書くだけで十分な場合もあるだろう。

ミッションはOKRにおけるO(目標)と多くの面で似ている。だがミッションはずっと長持ちするものであるべきだ。ミッションは会社がレールから外れるのを防ぎ、OKRがフォーカスを定める際のマイルストーンとなる。ミッションなしでOKRを使っても意味はない。

OKRの基本

Oの条件

OKRとはObjectives and Key Results(目標と主な結果)の略語だ。Oには定性的なものを1つだけ、KRには定量的なものを3つ程度定める。そして大胆なゴールに向けて集中するのである。

Oは次の条件を満たすものでなければならない。

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要約公開日 2018.07.17
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