チームの生産性を最大化するエマジェネティックス®の表紙

チームの生産性を最大化するエマジェネティックス®


本書の要点

  • エマジェネティックス®(EG)では、「4つの思考特性」と「3つの行動特性」によってその人の特性を把握することができる。著者は、EGを活用して、部下の指導、人材育成、新卒採用、業務分担の見直し、適材適所の実現などに取り組んでいる。

  • 社員同士がお互いのプロファイルを知ることで、自身と異なる考え方や行動を「特性が違うからしかたがない」と割り切ることができる。

  • 中小企業では、チーム内に4つの思考特性を揃え、相互補完的な関係の「WEチーム」をつくることが重要だ。そうすることで、幅広い角度からビジネスにアプローチできる。

1 / 3

エマジェネティックス®とは

4つの思考特性

adempercem/iStock/Thinkstock

エマジェネティックス®(以下、EG)とは、診断テストによって、その人の特性を「4つの思考特性」と「3つの行動特性」で分析するものだ。EGによって、「その人がどのような考え方をする傾向があるか」「その人がどのような行動を取ることが多いのか」「何を得意とし、何を不得意としているのか」などが明らかになる。「4つの思考特性」は、「青」「緑」「赤」「黄」の4色であらわされる。思考特性を見ると、その人の「得意、不得意」「好き、嫌い」などの傾向が分かる仕組みだ。青色(分析型)は、論理的、合理的、客観的に物事を考えるタイプで、専門家の研究結果やデータを信頼する傾向にある。会議では「その根拠は?」「どこに原因があるの?」などの発言が多い。緑色(構造型)は、過去の体験を重視し、順序立てて考えるタイプで、ルールに従って確実に実行することを好む。会議では「どうやってやるのですか?」「いつまでに?」などの発言が多い。赤色(社交型)は、誰に相談、依頼すれば問題解決できるかを直感的に判断するタイプで、相手との関係性を重視する傾向にある。会議では、「みんなはどう思う?」「みんなで協力して……」などの発言が多い。黄色(コンセプト型)は、直感で思いつくタイプで、新しいことや変わっていることに挑戦するのが好きだ。会議では、「とりあえずやってみよう」「こんな感じで」などの発言が多い。思考特性は4種類あるが、「ひとり、ひとつ」ではない。誰もが4つの思考特性を備えている。ただし、普段どの色をどれだけ使うかという割合は、人によって異なっている。診断テストで23%以上の数値を占める思考特性は「顕性である」とよばれ、その色の思考が顕著に表れる。人によっては、2つ以上の思考特性が23%以上になることもある。

3つの行動特性

DAJ/Thinkstock

EGでは、人の行動の傾向を3つの特性に分類する。「自己表現性」「自己主張性」「柔軟性」だ。それらの強弱は、棒グラフによって示され、「左寄り」「真ん中」「右寄り」の3つに分かれる。「真ん中」は場合により、左寄りにも、右寄りにもなるということだ。それぞれの特性の詳細をみていこう。「自己表現性」とは、自分の感情を「他人に発信したい」というエネルギーの強さのことだ。左寄りの人は、会議のでは聞き役になることが多い。感情をあまり表に出さず、人の注目を浴びることを好まない。一方、右寄りの人は、会議ではよく話し、人前に出ることに抵抗がないタイプだ。「自己主張性」とは、自分の考えや意見を「他人に受け入れてほしい」と感じる頻度と、エネルギーの強さのことである。左寄りの人は、自分の意見よりも集団の和を大切にし、慎重に物事を進める。一方、右寄りの人は、自分と異なる意見が出ても、気持ちよく議論ができる。競争心も強い。「柔軟性」とは、自分と異なる考えや状況、行動を受け入れようとするエネルギーの強さのことだ。左寄りの人は、首尾一貫していて、ブレない。一方、右寄りの人は、他人の意見を受け入れるタイプで、変化に応じて対応することを好む。

経営に活かす4つのポイント

著者は、EGのプロファイルを、部下の指導、人材育成、新卒採用、業務分担の見直し、適材適所の実現などに活用している。「強い組織」をつくるために意識しているのは、4つのポイントだ。1つ目は、EGは、その人の「特性」を知るものであって、「能力」を測定するものではないということだ。EGのプロファイルはその人の好みや傾向を分析するツールであって、能力を分析することはできない。そこで著者は、社員の能力を測定するために「エナジャイザー」というツールを併用している。2つ目は、

もっと見る
この続きを見るには...
残り2904/4425文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2018.07.18
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

競争と協調のレッスン
競争と協調のレッスン
アダム・ガリンスキーモーリス・シュヴァイツァー石崎比呂美(訳)
OKR
OKR
クリスティーナ・ウォドキー二木夢子(訳)及川卓也(解説)
コトラーの「予測不能時代」のマネジメント
コトラーの「予測不能時代」のマネジメント
フィリップ・コトラージョン・A・キャスリオーネ齋藤慎子(訳)高岡浩三(解説)
人事こそ最強の経営戦略
人事こそ最強の経営戦略
南和気
入社1年目からの数字の使い方
入社1年目からの数字の使い方
深沢真太郎
勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全
勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全
大前研一
常勝キャプテンの法則
常勝キャプテンの法則
サム・ウォーカー近藤隆文(訳)
日本の中小企業
日本の中小企業
関満博

同じカテゴリーの要約

「就職氷河期世代論」のウソ
「就職氷河期世代論」のウソ
海老原嗣生
増補改訂版 フィードバック入門
増補改訂版 フィードバック入門
中原淳
トリニティ組織
トリニティ組織
矢野和男平岡さつき(協力)
「仕事ができるやつ」になる最短の道
「仕事ができるやつ」になる最短の道
安達裕哉
採用の新基準
採用の新基準
秋山真
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性のつくりかた
石井遼介
なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか
なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか
古屋星斗
他者と働く
他者と働く
宇田川元一
幸せなチームが結果を出す
幸せなチームが結果を出す
及川美紀前野マドカ
だから僕たちは、組織を変えていける
だから僕たちは、組織を変えていける
斉藤徹