ハウスワイフ2.0

未 読
ハウスワイフ2.0
ジャンル
著者
エミリーマッチャー 森嶋マリ(訳)
出版社
文藝春秋
定価
1,728円
出版日
2014年02月25日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.0
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レビュー

近年、女性の社会進出の促進が活発になり、著名な女性リーダーによる自己啓発本が社会的ブームになっている。フェイスブックのCOOを務めるシェリル・サンドバーグによる『LEAN IN』(日本経済新聞出版社)は、日本でも大きな反響を生んだ。

本書『ハウスワイフ2.0』はそんな時代の流れの中で発売され、アメリカでも大きな話題を呼んだ一冊だ。大学を出て一流企業に就職してもあっさり退職し、あえて主婦の道を選び、その暮らしを楽しんでいる女性たち。最近アメリカではこのような若い専業主婦が多く見られるようになってきているのだという。母親の世代で念願の社会進出を果たしたはずの女性は、今再び自らの意志で家庭に戻ってきているのだ。

日本においても多くの女性が男性社会・企業の中で生き抜こうと努力し、家庭との両立に悩み、もがいている。仕事も家事もこなさなくてはいけないと自分を追いつめていた主婦がこの本を読めば、肩の荷が下りるような気持ちになるかもしれない。会社人生から離れ、家族との時間を大切にするといった選択肢は今や「クール」な事で、そういった選択をしても良いのだと目を見開かされることだろう。

また一方で著者は、このハウスワイフ2.0現象が男性中心の社会を変える可能性があることに注目しながらも、単なる流行に終わらせてはならないと、冷静な分析と社会への提言を行っている。そのなかには私たち日本人にとっても参考にすべき点も挙げられている。是非多くの方に手に取っていただき、これからの女性の生き方と社会の在り方について考えて欲しいと思う一冊だ。

著者

エミリー・マッチャー
ノースカロライナ州チャペルヒル出身。ハーバード大学卒業。不況で就職が厳しかったため、地元へ戻りノースカロライナ大学の疫学研究室へ就職するが、やがて離職。同世代の若い女性たちがエリート職を捨てて、次々と主婦になる現象に注目して、『ハウスワイフ2・0』を発表。ニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーカー誌が絶賛すると全米のメディアで議論が起こる。著者自身も、ノースカロライナの田舎で夫とともに手作りライフを楽しむ「ハウスワイフ2・0」である。

本書の要点

  • 要点
    1
    ハウスワイフ2.0現象とは、高学歴で一流企業に勤めているにもかかわらず敢えてその職を捨て、手作り品や料理、子育てに没頭する若い主婦が増えていることを指す。
  • 要点
    2
    男性と同じように一生懸命働けば出世できるという期待が裏切られ、会社に幻滅した女性が、育児や家庭菜園、編み物などに生き甲斐を見出した結果、ハウスワイフ2.0が誕生した。
  • 要点
    3
    ハウスワイフ2.0は旧来の男性や会社中心の働き方からの大胆なシフトになる可能性を秘めているが、彼女たちが「社会に無関心な、優雅なひきこもり」にならないように気を付ける必要がある。

要約

キャリアを捨てる訳

母親を反面教師にする
Baton72/iStock/Thinkstock

映画『ブリジット・ジョーンズの日記』や『セックス・アンド・ザ・シティ』等で見られるような、仕事をバリバリこなして都会の生活を楽しむような女性は、実は一昔前の定番だと著者は語っている。今の若い女性のなかでは、クラブやバーで飲み騒ぐよりも、週末の夜に家でカップケーキを焼いて料理ブログに写真を載せたり、自宅でのミニ園芸を楽しんだりする事が新たな定番になってきているのだ。

このように若い世代が専業主婦を目指し、昔ながらの暮らしに憧れを持つようになっていることを本書では「ハウスワイフ2・0」と呼んでいる。なぜ、若い人の人生観はこんなにも大きく変化してしまったのだろうか。

それは、今の若い女性にとって、親の世代が幸せな人生を送ったとはとうてい思えないからだろう。1960年代の男女平等を叫ぶフェミニズム運動のなかで仕事と家庭を両立しようと悪戦苦闘した結果、ストレスだらけで離婚を経験したベビーブーマーたち。そんな母親を見て育った若い世代は、意義のある幸せな人生のヒントを、遠い昔の古き良き時代に求めているのである。

選択的離脱革命

ハウスワイフ2・0現象の根本には職場のへの不満がある。フェミニズム運動は、女性も男性と同じように一生懸命働けば、会社で出世できるという期待をつのらせた。だが、現実は全く異なり、産休もろくに取れず、頑張っても出世できない職場に女性たちは失望することになる。会社に幻滅した女性たちは、会社を辞め、手間をかけた育児、家庭菜園、編み物などに生き甲斐を見出すようになった。著者はこのことを「選択的離脱革命」だと述べている。

現に農業や裁縫、手作り保存食に関連する本が続々とアメリカで多く発行されているそうだ。家事を嫌々行っていた1960年代の無気力な専業主婦とは異なり、「ハウスワイフ2・0」は退屈でなければ欲求不満でもない。彼女たちは目的意識を持って家事をこなしている。すなわち、「手作り」に熱中し、子育てに力を入れ主婦業を楽しんでいるのである。

一方で著者は、主婦転向化賞賛の流れについての疑問も提示している。女性は家庭におさまるほうが幸せだという話に、科学的な根拠はひとつもない。専業主婦の母親より、働く母親のほうがはるかに幸せで、充実していると示した調査もあるほどだ。「選択的離脱革命」は、マスコミが専業主婦の母親のほうが幸せだと喧伝してきたことが影響している点も無視してはならない。

ただの主婦ではない

ネットを駆使する
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

「ハウスワイフ2・0」と一昔前の専業主婦との大きな違いは、インターネットを駆使し、ブログで人々と繋がり、サイドビジネスを行っているという点だ。

現在アメリカの多くの専業主婦がブログにはまっている。母乳育児の心得や笑える失敗談が満載の子育てブログ、よだれが出そうなスコーンや伝統料理を載せたブログ、そのほかにもおしゃれなインテリアや手作りの小物について書いたものなど、主婦ブログにはファッションカタログのような「素敵な家庭生活」が公開されている。

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ハウスワイフ2.0
未 読
ハウスワイフ2.0
ジャンル
スキルアップ・キャリア
著者
エミリーマッチャー 森嶋マリ(訳)
出版社
文藝春秋
定価
1,728円
出版日
2014年02月25日
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