グーグル秘録

未読
日本語
グーグル秘録
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グーグル秘録
出版社
文藝春秋
定価
1,232円(税込)
出版日
2010年05月14日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は日本語版単行本発売から既に3年以上が経過しており、その間にも、業界の最先端に位置する企業であるグーグルの姿は変わらない。このようなグーグルがいったいどのようにして生まれたのかを改めて知る意味で本書は一読の価値がある。「最も恐れている挑戦者は?」という著者の問いに対し、ビル・ゲイツが「怖いのは、どこかのガレージで、まったく新しい何かを生み出している連中だ」と述べたまさにその年に、文字通りのガレージの中で誕生したグーグルがどのように成長を遂げていったかは起業を目指す人でなくても非常に刺激的であろう。

ただし、著者の本領が発揮されているのはグーグル本体ではなくむしろ、グーグルによって大きな打撃を受けたオールドメディア、すなわち新聞、テレビ、広告業界についての記述である。グーグルがオールドメディアにいかに影響を与え、オールドメディア側がいかに応戦したか(あるいはしていないのか)について、発刊から3年を過ぎてもなお知るべきポイントは多い。その点では、オールドメディアに関連する業界で働く人々、あるいは一般に「古い業界」と評される場所で働く/働こうとする人々にもお勧めの一冊である。

ライター画像
猪野美里

著者

ケン・オーレッタ
「ケン・オーレッタほど、今起こりつつあるメディア革命を完全にカバーしている貴社はいない」と評されるベテラン・ジャーナリスト。1974年、政治記者としてキャリアを開始し、その後雑誌コラムニストに転じる。名門総合情報誌「ニューヨーカー」には1977年から執筆を開始し1992年より「コミュニケーション年代記」を同誌で連載、テレビ出演も多数。ジャーナリストの選ぶ『20世紀最高のビジネス・ジャーナリスト100人』のひとり。ピュリッツァー賞の審査員も務めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    グーグルは、創業当初からユーザー視点を徹底しており、あらゆるグーグルの製品やプロジェクトがユーザーの利便性を高めるために考えられたものだ。正確な検索結果や、「アドワーズ」「アドセンス」という広告方式はその顕著な例である。
  • 要点
    2
    グーグルは「邪悪になるな」を企業テーマとして掲げ、創業者をはじめ社員の誰もがグーグルに邪悪な意図があるとはまったく考えていない。しかし、中国政府との一件からも明らかなように、時にグーグルが「邪悪な意図」を疑われるような行動をとってきたのも事実である。
  • 要点
    3
    グーグルは多くの業界に影響を与えたが、最も大きな打撃を受けたのは雑誌や新聞、テレビなどのメディア業界である。中でも新聞や雑誌の凋落は著しい。ウェブでニュースが即時配信されるようになったため、印刷された報道記事に対する広告需要が著しく下がっていることが原因である。

要約

【必読ポイント!】ユーザー主義による成功

mocoo/iStock/Thinkstock
グーグルの提供するサービスは徹底したユーザー主義に基づくものだ

検索エンジンをはじめとするグーグルの提供するサービスの基本思想は、顧客やユーザーは常に正しいと考え、彼らの効率性や利便性を高めようというものだ。

グーグル検索は、キーワードのみに頼るそれまでの検索エンジンと異なり、ペイジランク(創業者のラリー・ペイジにちなんだ名称)というアルゴリズムを用いている。ペイジランクはリンクを分析してユーザーが最も頻繁に訪問するサイトを調べ、それを検索結果の上位に表示させる。創業者たちはユーザーたちによる「群衆の叡智」こそ、どのウェブページが最も重要かを測る客観的な指標だと考えたのだ。

グーグル検索のトップページをシンプルで機能的なものとするというのもユーザー視点ゆえのものである。AOLやヤフーのようなポータルサイトがユーザーを自社サイトに囲い込もうとしたり、広告主のサイトを検索結果の上位に表示していたのとは異なり、グーグルの創業者ペイジとブリンは、ユーザーがなるべく速く目当てのサイトを見つけてグーグルのホームページから離れられるようにしようと考えた。

創業者2人は、グーグルのこれまでの成功はユーザー本位の姿勢を貫いてきたためであると語っているが、一方で、グーグルの「ユーザー視点」への疑義を挟まざるを得ない事態も生じてきている。たとえば、かつて創業者たちは「最高のユーザー・エクスペリエンスに逆行する」としてバナー広告を忌避していたが、2007年にはバナー広告を展開する事業者ダブルクリックを買収している。こうしたグーグルの行為に対しては、当然、次のような疑問も生じてくるだろう。グーグルの顧客は広告主なのか、それともユーザーなのか?グーグルは広告主からの収入を確保するために、ユーザー主義の姿勢を崩すのではないか?とはいえ、現在のところはまだ、グーグルは広告主からのプレッシャーに耐え、ユーザー視点を失っていないように思われる。

最強の収益源

robuart/iStock/Thinkstock
グーグルの収益の98%は「アドワーズ」「アドセンス」からもたらされる

グーグルは1998年に設立され、創業から4年間は利益を出していなかった。2000年6月にヤフーの公式検索エンジンに採用されたのを機に、世界で40%近い市場シェアを占めるようになったものの、検索から利益を生み出す方法は当初は確立されていなかった。創業者のペイジとブリンは検索結果に広告を表示させることに創業当初から否定的だったからだ。

2002年にリリースされた「アドワーズ」により、グーグルは黒字化の足がかりを掴んだ。創業者の二人による大幅な修正を経てリリースされた広告モデル「アドワーズ」は、CPC(コスト・パー・クリック;クリック数に応じて広告主に課金する)方式を導入し、ユーザーと広告主の利点を大きく高める広告モデルであった。アドワーズは予算に合わせ広告の量を変えられるため、小規模な広告主の参入も可能になるという大きな変革を広告業界にもたらした。

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