未来の年表2

人口減少日本であなたに起きること
未読
日本語
未来の年表2
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人口減少日本であなたに起きること
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未来の年表2
出版社
定価
924円(税込)
出版日
2018年05月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、2017年に発売されてベストセラーとなった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の続編である。著者によれば、前著では少子高齢化や人口減少を、大きく社会の課題として、いわばマクロに捉え警鐘を鳴らしたが、今回は一人ひとりの生活や共同体の変化、つまりミクロの変化に焦点を当てたという。

前著は大きな反響を呼んだものの、政治家や企業経営者の危機意識に届いていないというもどかしさがあったそうだ。こうした状況を変えるためには、今後何が起こるのかをより多くの人に知らせ、その恐ろしさを知ってもらい、政府や企業を動かしていかなければならない。そうでもなければ社会は変わらないという危機感が本書を書かせたという。

本書は、前半の「人口減少カタログ」と後半の「今からあなたにできること」の2部構成になっている。「人口減少カタログ」では、これから起こる変化として18項目が挙げられている。要約では、その中から4つの「未来」を取り上げる。あわせて、第2部の「今からあなたにできること」から、5つのアイデアを紹介する。

「失われた20年」において日本の社会と企業は、国として最も大切な若者の育成を放棄した。その手引きをしたのは誰だっただろうか。当時の大人の一人として、本書を読んだ要約者は、忸怩たる思いを禁じ得なかった。

ライター画像
しいたに

著者

河合 雅司(かわい まさし)
1963年、名古屋市生まれのジャーナリスト。産経新聞社論説委員、高知大学客員教授、大正大学客員教授のほか、内閣府、厚労省、農水省の各有識者会議委員も務める。専門は人口政策、社会保障政策。中央大学卒業。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)、『地方消滅と東京老化』(共著、ビジネス社)、『医療百論』(共著、東京法規出版)、『未来の呪縛』(中公新書ラクレ)、『未来の年表』(講談社現代新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ますます高齢者が増える中で起こることのひとつに、電車のダイヤ乱れと、窓口や売り場の人員不足がある。テキパキ動けない高齢の利用者が増えると、今のような過密ダイヤには無理が出てくるはずだ。また、商品を受けても1回では理解できなかったり、支払いに手間取ったりする高齢者が増えれば、窓口や売り場での対応のためにより多くのスタッフを用意しなければならなくなるだろう。
  • 要点
    2
    勤労世代が急速に減っていく中で、人手不足が課題となる。社会を機能させるためには、1人で2つ以上の仕事をすることが有効だ。

要約

人口減少によって起こること

自宅が凶器と化す
Huntstock/Thinkstock

高齢者になると事故死が増える。踏切を渡りきれなかったり、車の接近に気がつかなかったりして亡くなる高齢者は多い。高速道路を逆走するなど、高齢者が加害者になる交通事故も目立つ。

しかし、高齢者の死亡場所としては、一般道路は約7%に過ぎない。実際のところ、交通事故死よりも家庭内における「不慮の事故」で亡くなる高齢者のほうがはるかに多いのだ。65歳以上の事故発生場所は「住宅」が約80%と、断トツである。

どうして高齢者が住宅で事故死しているのか。その背景に、高齢者の独り暮らし世帯の増加がある。子どもたちが独立し、配偶者に先立たれた高齢女性が広い自宅に独りで暮らしているという状況だ。こうした状況においては、安全だったはずの自宅が凶器と化す。

家庭における事故死の要因でとくに多いのは、「不慮の溺死及び溺水」「その他の不慮の窒息」「転倒・転落」だ。高齢者は、つまずいた拍子に湯船に倒れ込んだり、階段の段差でつまずいたり、庭木を剪定しているときにはしごから足を踏み外したりして亡くなっている。

窓口・売り場が大混乱する

高齢社会において、移動販売や宅配といったサービスが期待を集めている。しかし、こうしたサービスの経営状況は決して芳しくない。総務省によれば、2016年時点で継続中だった193事業のうち、106は赤字経営だったという。利用者数や売り上げが伸び悩めば、事業継続を断念するサービスもあるだろう。

移動販売の拡充が難しければ、高齢者であってもやむにやまれず外出するほかない。そうすると、何が起こるか。たとえば、各駅のエレベーターの数と稼働能力を考えてみよう。エレベーターが設置されている駅でも、上下線のホームに1基ずつがせいぜいだろう。そのエレベーターが車いすに対応していたとしても、1基には1台の車いすしか乗り込めない。車いすの高齢者がエレベーターの前に列をなすことになろう。

さらに、電車のダイヤ乱れも免れないだろう。現在、大都市では、時間帯によっては数分に1本の間隔で電車が走っている。それを可能にしているのは、テキパキ動く乗客だ。高齢の利用者が増え、乗降に駅員の手助けを要するようになると、過密ダイヤでの運行は不可能になる。

高齢者の外出機会が増えると、デパートやスーパーマーケットといった売り場の光景も変わる。若い世代の顧客は、自分の欲しい商品を自分で確認し、購入することができる。一方、判断力が衰えた高齢者では、そうはいかない。店員から商品説明を受けても1回では理解できず、支払いにも戸惑ってしまう。何を買いに来たのか忘れてしまい、何も買わずに帰ってしまう人もいるだろう。

結果、売り場の人員が不足し、人員コストがかさんでしまう。売り場や窓口が混雑すれば、業務の合間を縫って訪れたビジネスパーソンの労働生産性が落ちることにもなる。多くの高齢者が街に出ることを前提に、社会やビジネスの有り様を変えていかねばならないのだ。

若手の労働意欲が下がる
Digital Vision/Photodisc/Thinkstock

今後、勤労世代は激減する。2015年に約7000万人だった20~64歳は、2065年には約4000万人へと、40%も減ってしまう。勤労世代の絶対数が減るのはもちろんのこと、勤労世代のなかで高年齢化が進むことも看過できない。

仕事は、若手からベテランまでの多様な年代がそろっていてこそ、斬新な発想やアイデアを実用的な商品やサービスに結びつけられるものだ。ベテランばかりでは、発想が古く、新たなアイデアが出てこないこともあるだろう。

大きなトラブルも懸念される。

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