組織にいながら、自由に働く。

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組織にいながら、自由に働く。
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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定価
1,650円(税込)
出版日
2018年06月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書の著者の肩書きは、きわめて珍しいものだ。楽天の正社員でありながら、兼業自由、勤怠自由の立場にある。そのうえ、自分の会社を経営しているだけでなく、横浜F・マリノスとプロ契約までしていたという。「ふつうの働き方」をしている人にとっては、どこの世界の話なのかと面食らうこと必至だ。

いったいどんな働き方をしているのか――そう思って本書を読むと、やはり常識外れとも思えるような働き方をしている。しかし読み進めるうちに、著者のような働き方など夢物語にすぎないのではないかという思い込みは、見事に崩れることとなった。そして本書はきっと「自由な働き方」を求める読者にとってのすばらしいガイドになるだろうと確信した。なぜなら、著者のような自由な働き方を実現するための道のりやノウハウが明瞭に語られていたからだ。

著者は、自由に働くための方法論を「加減乗除の法則」と名付けている。その方法とは、働き方を4つのステージに分類し、「加」のステージからはじまって「除」のステージをめざすというものだ。本書では、それぞれのステージにおいてやるべきことは何か、そしてどうすれば次のステージへとステップアップできるのかが、著者の実体験を交えて詳細に説明されている。

おそらく「除」のステージにたどり着くには相当の時間がかかるだろう。しかし、心配無用だ。本書が「自由な働き方」を求めるすべての読者にとって、「除」のステージにたどり着くための灯台のような存在となってくれるに違いない。

ライター画像
金井美穂

著者

仲山 進也 (なかやま しんや)
楽天株式会社楽天大学学長/仲山考材株式会社代表取締役

1973年北海道生まれ。
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、シャープを経て、1999年に社員約20名の楽天へ。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。
2000年に楽天市場出店者が互いに学び合える場として、「楽天大学」を設立。Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く支援している。
2004年にヴィッセル神戸の経営に参画。
2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由)となり、2008年には自らの会社である仲山考材を設立。
2016〜2017年にかけて横浜F・マリノスとスタッフとしてプロ契約。

主な著書に『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則──『ジャイアントキリング』の流儀』(講談社)、『あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか』、『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか』(宣伝会議)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    働き方には、「加減乗除」の4つのステージがある。最終形態である「除」こそが自由な働き方の理想形だ。
  • 要点
    2
    「加」のステージでは、仕事の難易度をチューニングしながらできることを増やしていく。
  • 要点
    3
    「減」のステージでは、「やりたくて、得意で、喜んでもらえる仕事」だけを選び、強みを磨く。
  • 要点
    4
    「乗」のステージでは、メインの強みで突き抜けるとともに、自分の強みと他者の強みを掛け合わせる。
  • 要点
    5
    「除」のステージでは、メインの強みを軸として複数のプロジェクトを同時進行させる。

要約

働き方の4つのステージ

理想型は「除」

働き方には、「加減乗除」の4つの形態がある。「加」からはじまり、「減」「乗」とすすんでいく。最終形態である「除」は自由な働き方の理想形だ。

4つのステージの概要は、次のとおりだ。

「加」:ニガテなこともやりつつ、量をこなしてできることを増やすステージ。仕事の報酬は「仕事」。

「減」:好みでない作業を減らして、強みに集中するステージ。仕事の報酬は「強み」。

「乗」:磨き上げた強みに、別の強みを掛け合わせるステージ。仕事の報酬は「仲間」。

「除」:ひとつの作業をしていると複数の仕事が同時に進むようにするステージ。仕事の報酬は「自由」。

要約では、それぞれのステージにおける働き方について紹介していく。

ステージ(1)「加」

「夢中」になれるようにチューニングする
BrianAJackson/iStock/Thinkstock

仕事のモヤモヤには、「不安」と「退屈」の2種類がある。能力を超えた挑戦をしているときは「不安」になり、能力が高いのに挑戦しないと「退屈」になってしまう。一方、挑戦と能力のバランスが取れていると、人は「夢中」になる。

不安であったり、退屈であったりする状態に慣れてしまってはいけない。「仕事なんてそんなものだ」と思うかもしれないが、そんな割り切り意識はいっそうモヤモヤを濃くする。どこかで燃え尽き症候群になってしまいかねない。

では、どうすれば夢中になることができるか。「挑戦」の重圧がネックになってパフォーマンスが下がってしまっているなら、一時的に目標を下げてみるのがいいかもしれない。ただ、挑戦を避けてしまうと、やっていることに飽きてしまい、やがて退屈してしまう。

だから、基本的には「能力」を高める方向性で考えてみよう。本を読んだり、繰り返しチャレンジしたりすれば、「能力」を高めて「夢中」に近づくことができるだろう。

また、高すぎる目標を下げるまではいかずとも、自分で小さな目標を設定し、それを達成するのもよいだろう。これを「難易度のチューニング」という。

このようにして、自分が常に「夢中」の状態でいられるように挑戦と能力をチューニングし続けよう。

仕事を因数分解する
peshkov/iStock/Thinkstock

ひとつの仕事は、さまざまな作業が合わさってできている。好みの作業もあれば、好みでない作業もあるだろう。仕事を楽しくするためには、仕事のうちの「好みでない作業を減らすこと」と「好みの作業を増やすこと」がキモとなる。

たとえば著者の「好みでない作業」としては、人前で話すことや、知らない人と話すこと、電話することなどが挙げられる。あるとき、そんな著者が講座をつくり、参加者を募集し、開催することになった。人前で話す作業は好みでないが、人前に出ること自体は避けようがない。そこで著者は、「参加者が話しやすいお題をつくる」という選択をすることで、人前に出るものの、話すことを極力避けることに成功した。お題を考える作業は、むしろ好みの作業であるという。

このように、好みでない作業を減らし、好みの作業に置き換えていくようにチューニングしよう。そして、好みでない作業からは全力で逃げることだ。まずは自分の好みを把握するため、好みの作業を好みでない作業をそれぞれ書き出してみるとよい。

「ポジティブ動機3点セット」を揃える

働く動機として、(1)楽しさ、(2)社会的意義、(3)成長可能性の3つが揃うと、仕事が楽しくてしかたがなくなる。

たとえば著者は以前、

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要約公開日 2018.08.27
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