最高の結果を出すKPIマネジメント

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最高の結果を出すKPIマネジメント
出版社
フォレスト出版

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出版日
2018年07月02日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

事業成功の鍵(Key Performance)」を「数値目標(Indicator)」で表したKPI。ビジネスを数字によって精緻に可視化することの重要性が増す現在、KPIを駆使したマネジメントの成否が、ビジネスの命運を左右するといっても過言ではない。ではKPIを、事業を成功に導くためのツールとしてフル活用するにはどうしたらいいのか? そもそもKPIとKGIの関係性とは? KPIをどう設定すればいいのか? こうした疑問を一気に解決できるよう、「正しいKPIマネジメント」の真髄を語り尽くすのが本書だ。

著者の中尾隆一郎氏は、11年間にわたりリクルートグループ内の勉強会で「KPI」「数字の読み方」という看板講座を受けもってきたという。著者自身が新規事業を立ち上げ、KPIマネジメントを実践して軌道に乗せた経験のもち主。その効果はお墨付きといえる。

KPIマネジメントの事例集や、直感的な理解を促す図解が満載なのも、本書の魅力の1つだ。さらには、KPIマネジメントを営業やマーケティングにどう活かせばいいのかといった点まで紹介されており、その応用範囲の広さに驚かされるに違いない。まさに徹底した現場主義の「使えるKPIマネジメント」であり、「実践のための書」とは本書のことだ、と思わされる。

KPIは、組織やチームの「めざすゴール」に到達するための信号だ。KPIマネジメントを制する者こそ、ビジネスを制す。そんな最強ツールKPIの威力を、ぜひ本書の「実践」によって実感していただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

中尾 隆一郎(なかお りゅういちろう)
株式会社FIXER取締役副社長
1964年5月15日生まれ。大阪府出身。1987年大阪大学工学部卒業。89年同大学大学院修士課程修了。同年株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)入社。主に住宅、人材、IT領域を歩み、住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室室長時代に同事業を6年間で売り上げを30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした立役者。
リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルートホールディングスHR研究機構企画統括室長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、2018年4月から現職。2017年6月より株式会社旅工房社外取締役を務める。専門は事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、管理会計など。良い組織づくりの勉強会(TTPS勉強会)主催。
29年勤めたリクルート時代は、約11年間にわたってリクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。著書『転職できる営業マンには理由がある!(共著)』(東洋経済新報社)、『リクルート流仕事ができる人の原理原則』『リクルートが教える営業マン進化術(共著)』(全日出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    KPIとは、「事業成功の鍵(Key Performance)」を「数値目標(Indicator)」で表したものである。
  • 要点
    2
    KPIはKGIの先行指標であり、CSFの数値目標である。KPIを達成すると、KGIも達成できるという関係性だ。KPIマネジメントとは、この3点をステークホルダー全員で共有・実行・改善し続けることである。
  • 要点
    3
    KPIは「1つ」に絞られ、事前にわかる「先行指標」でなければならない。
  • 要点
    4
    KPIマネジメントの理想は、全従業員がKPIに興味をもっており、それが悪化した場合に、各現場で打ち手を打てるという状況だ。

要約

KPIの基礎知識

KPIとは何か?
restart/iStock/Thinkstock

KPIとは「Key Performance Indicator」の略であり、「事業成功の鍵(Key Performance)」を「数値目標(Indicator)」で表したものである。つまり、この「事業成功」が何なのかを理解していることが、KPIマネジメントの起点となる。

まずは、KPIマネジメントにおける主要登場人物を紹介する。1つ目はKGI(Key Goal Indicator)。期末に到達したい最も重要な数値目標、いわば「最終的な目標数値」を指す。企業全体ならば利益目標が、営業組織ならば売上目標数値が、事業開発ならばユーザー目標数などが、それにあたる。このゴールの中身と数値について、ステークホルダー間で認識がずれないように、事前の確認が必要だ。

KGIについて合意を得られたら、次に確認すべきは2つ目の主要登場人物、CSF(Critical Success Factor)だ。これはKGI達成のためにやるべきプロセスのうち、「最も重要なプロセス」であり、事業成功のポイントといってもいい。たとえば、営業組織ならば、ゴールとなる売上を上げるために行う顧客訪問や提案活動などのプロセスを指す。大事なのは、このCSFが現場でコントロールできるプロセスでなければいけないという点だ。

いよいよ3つ目がKPIである。CSFをどの程度実施すれば、期末にKGIが達成できるのかを示す数値といえる。要は、KPIはKGIの先行指標であり、CSFの数値目標である。KPIを達成すると、KGIも達成できるという関係性だ。

KPIマネジメントとは、このKGI、CSF、KPIの3点をステークホルダー全員で共有・実行・改善し続けることである。

ダメダメKPIの作り方でありがちなこと

組織でKPIマネジメントを導入したものの、設定が間違っているせいで、うまくいかずに挫折してしまう例が後を絶たない。KPI設定でありがちな間違いを挙げてみよう。1つ目は、たくさんの数値目標を設定しているケースだ。これでは単なる数値マネジメントにすぎない。

2つ目は、現場でコントロールできない指標をKPIとして掲げているケースである。たとえば、GDPや有効求人倍率をKPIに設定しても、その数値改善に対し、民間企業に打てる手はない。

3つ目は、先行指標ではなく遅行指標を選んでいるケースである。KPIの設定で重要なのは、できるだけ旬で、可能ならリアルタイムで把握できる数値を選ぶことだ。

4つ目は、定期的にモニタリングする指標のなかに、CSF候補がないケースだ。そもそも誤った指標や数値を見て管理していては、事業運営がうまくいくはずがない。まるで、スピードメーターが間違った自動車で運転しているようなものだ。

【必読ポイント!】 KPIマネジメントの正しいステップ

KGIと現状とのギャップを確認し、プロセスをモデル化する
Tijana87/iStock/Thinkstock

ではどうやってイケてるKPIを設定し、運用、改善していけばいいのか。正しいKPIマネジメントのステップを順に紹介する。

ステップ1は組織の目的地となる「KGIの確認」、ステップ2は「現状とのギャップの確認」である。現状の延長で行くと期末にはどうなるかを予測し、KGIとのギャップを把握するのだ。

ステップ3は「プロセスの確認・モデル化」である。自社のビジネスを数式にしてモデル化するのだ。営業活動で、「このままでは利益目標が達成できない」という状況を例にとろう。利益を上げるには、売上を上げるか、費用を削減するしかない。前者の場合、売上は「アプローチ量×歩留まり率(コンバージョンレート)×価格(平均単価)」という掛け算の数式で表せる。売上アップの選択肢として考えられるのは、「アプローチ量を増やす」「歩留まり率を向上させる」「価格を上昇させる」の3つだ。

CSFを絞り込み、KPIを設定する

次は、これらの変数の中で、最も重要なプロセスを絞り込むことになる。これがステップ4「CSFの設定」だ。まずは、先述した数式に登場した要素を、定数と変数とに分ける。変化が実質少ないものや、自分たちでコントロールがきかないものは定数と扱えばよい。

事業開発担当だった著者は、「アプローチ量×歩留まり率×価格」の各要素の中で、コントロールがきかない価格を定数としていた。すると残りはアプローチ量と歩留まり率。この変数からCSFを選択する。

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要約公開日 2018.09.06
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