ホモ・デウス(上)
テクノロジーとサピエンスの未来

未 読
ホモ・デウス(上)
ジャンル
著者
ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之(訳)
出版社
河出書房新社 出版社ページへ
定価
990円(税込)
出版日
2022年09月14日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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テクノロジーとサピエンスの未来
著者
ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之(訳)
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出版社
河出書房新社 出版社ページへ
定価
990円(税込)
出版日
2022年09月14日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
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おすすめポイント

『ヨハネの黙示録』に登場する四騎士をご存知だろうか。キリストが解く7つの封印のうち、はじめの4つの封印が解かれたときに現れるとされている。解釈は時代や教派によってさまざまだが、第一の騎士が支配を、第二の騎士が戦争を、第三の騎士が飢饉を、第四の騎士が(疫病や獣による)死を表すというのが一般的な見方だろう。いずれにせよ人類が直面する災厄の象徴というわけだ。

だが現代を生きる私たちは、この四騎士を徐々にではあるが撃退しつつある。しかも撃退するだけでは飽き足らず、みずからが神のような存在になること、すなわちホモ・サピエンスからホモ・デウス(神のヒト)へのアップグレードを目論んでいる――これが本書の根幹となる主張だ。

まるでSF映画で使い古されたテーマのようじゃないか、と侮るなかれ。上巻を読むだけでも、これがけっして荒唐無稽な主張でないことがわかる。著者の予測は相当なリアリティをもっており、読み終えた後は別の未来を想像することすら難しく感じてしまうだろう。

世界中でベストセラーとなった『サピエンス全史』が人類の「これまで」を綴ったものなら、本書は人類の「これから」を描いたものだ。かつて自然を崇拝し、神を信仰していた私たちはいま、人間そのものを絶対視している。だがその先に何が待ち受けているのかを知るのは、自然でも神でも、あるいは人間でもないのかもしれない。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

ライター画像
石渡翔

著者

ユヴァル・ノア・ハラリ (Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。オンライン上の無料講義を行ない、多くの受講者を獲得している。著書『サピエンス全史』(河出書房新社)は世界的ベストセラーとなった。

本書の要点

  • 要点
    1
    人類は飢饉、疾病、戦争という問題を解決しつつある。人類の新たな目標はホモ・サピエンスをホモ・デウス(神のヒト)へアップグレードすることであり、不死、幸福、そして神性の獲得が追求されていくだろう。
  • 要点
    2
    農業革命が有神論の宗教を生み出したのに対して、科学革命が生み出したのは人間至上主義という宗教だ。いまのところ科学と人間至上主義は両輪となって、現代社会を構築している。しかし今後、ポスト人間至上主義が生まれるかもしれない。

要約

【必読ポイント!】人類の新たなプロジェクト

飢饉、疫病、戦争の克服
johnnorth/gettyimages

天寿を全うすることなく命を落とす人は、近年になるまでとても多かった。その主な原因は飢饉、疫病、そして戦争だ。だがいまや私たちはこうした“問題”を解決しつつある。

飢饉は何千年も前から人類最悪の敵だった。どの歴史書を見ても、飢えで大勢の人が死んだと記録されている。だがここ100年で、自然災害による飢饉はほとんど見られなくなった。いま起きている飢饉の原因の多くは政治であり、むしろ飢饉よりも過食のほうがはるかに深刻という国のほうが多い。2010年に飢饉と栄養不良で亡くなった人は合わせて約100万人だったが、肥満が原因で亡くなった人はその3倍以上にもなる。

疫病や感染症も、人類が克服しつつある大敵のひとつだ。かつて世界的に流行した黒死病、天然痘、スペイン風邪は、厖大(ぼうだい)な数の人命を奪った。とくに免疫力のない子供は餌食になりやすい。20世紀初頭までは3分の1の子供が、成人する前に栄養不良や疾病で亡くなっていたという。だが過去数十年で、疾病の発生数は劇的に減った。2000年代に入ってからも、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、エボラ出血熱といった深刻な疫病が発生しているものの、犠牲者は比較的少数にとどまっている。

さらに戦争もなくなりつつある。歴史的にみれば戦争とは起こって当然のものだ。ところがいまではほとんどの地域で、戦争は稀なものとなった。また「戦争は断じて許されないもの」と考える人も増えている。この背景には核兵器による抑止力がはたらいていること、そして経済資源が金鉱や油田といった有形資産から、知識のような無形資産に変わったことが挙げられるだろう。物資は暴力で奪えるが、知識の場合はそうもいかないからだ。

もちろん飢饉や疫病や戦争が、今後も相当な数の犠牲者を出しつづけるのはまちがいない。だがそれはもはや不可避の悲劇ではなく、対処可能な課題だと私たちは捉えはじめている。

不死、幸福、神性の探求
FotoMaximum/gettyimages

飢饉や疫病、戦争が減ってきたことで、人類はあらたな目標に目を向けはじめた。それは不死、幸福、そして神性の獲得だ。

死との戦いは今後の最重要プロジェクトになるだろう。これまでの宗教やイデオロギーは、生命そのものを神聖視せず、むしろ死を神聖なものと見なす傾向があった。だが現代の科学と文化は、死を超自然的な神秘ではなく、むしろ解決するべき技術的課題と見なす。そして不死(非死)に対する需要はとてつもなく大きい。この分野の研究が今後大きく発展するのは確実といえる。

加えて幸福の探求も大きなテーマになると予想される。かつてブッダは快楽と幸福を峻別し、快楽を追い求めないことが幸福につながると説いた。快楽というのは一時的な現象であり、追い求めれば求めるほどに、幸福は遠ざかってしまうというわけだ。だが現代科学は生化学的なアプローチで、この問題に対処しようとしている。向精神薬や興奮剤の使用はすでに一般的だし、究極的には永続的な快楽を楽しめるように、今後はホモ・サピエンスそのものを作りなおす方向へ舵を切るかもしれない。

そして不死や幸福の探求は、最終的に神性の獲得へとつながっていく。生物工学、サイボーグ工学、もしくは非有機的生命工学が、いずれそれを可能にさせるはずだ。生物工学は意図的に遺伝子コードを書き換え、脳の回路を配線しなおし、生化学的バランスを変える。サイボーグ工学はそこから一歩進み、有機的な体を人工の手や目、無数のナノロボットと一体化させる。そして非有機的生命工学は、脳も含めた有機的な部分をすべてなくし、仮想世界と現実世界の両方を動き回るような未来を描く。非有機的な人工知能(AI)であれば、地球外への離脱もずっと容易だ。

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