失敗しない銀行員の転職

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出版社
日本実業出版社

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出版日
2018年07月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

銀行員は安定した職業だ――日本国民の大多数はそう信じている。メガバンクが常に就職人気ランキングの上位に位置しているのは、その意識を反映しているのだろう。

ところが本書を読むと、「銀行員=安定」という考えは思い込みに過ぎないことがわかる。銀行では、ごく一部のトップ層を除いて、定年前に銀行を去ることが通例になっているのだ。

本書のターゲットは銀行員。著者は日本長期信用銀行(現・新生銀行)で人事を経験した人物だ。その後セブン‐イレブン・ジャパンと楽天グループに転じて人事としてのキャリアを積み、今では人材紹介会社の代表を務める、キャリアのプロフェッショナルである。銀行員経験を有するコンサルタントという立場から、本書では、銀行員が転職を成功させるためのノウハウが詳細に語られる。

著者によれば、銀行員は転職に有利だという。もともとポテンシャルが高い人材であることに加え、銀行員という職業には一般的に良いイメージがあるからだ。お金に詳しいという強みもあるし、一般の事業会社とは違って退職勧告を受けることはないため、時間的余裕を持って納得いくまで転職活動に邁進できる点も大きい。

銀行員の方が本書の前半を読むと、今すぐにでも転職しなければならないという気持ちになり、焦りを覚えるだろう。でも安心していただきたい。後半では銀行員のための転職ノウハウがふんだんに紹介される。本書を熟読すれば、新しい道への第一歩がひらけるに違いない。

著者

渡部 昭彦(わたなべ あきひこ)
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社及びAIMSインターナショナルジャパン株式会社代表取締役社長。1956年生まれ。1979年東京大学経済学部卒業。同年、日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行。首都圏支店、地方支店、中央官庁出向、国際金融部、本店営業部を経て、1994年から2000年まで人事部に勤務。その後、4度転職をするが、セブン‐イレブン・ジャパンでは、人事セクションの部長として、毎年1000人近い採用と5000人の社員の人事制度の構築に従事。楽天グループでは、財務担当の執行役員の他、楽天証券において人事を含む管理部門の担当役員を歴任。2007年より現職。代表取締役としてグループを率いる一方、自身もコンサルタントとして日々、人材紹介に従事している。その豊富な人事経験をもとに、新聞、雑誌、講演会等のメディアにおける露出機会が多い。人事分野のみならず、小売業・金融業という産業ジャンルでも見識を持つ。著書に『銀行員の転職力』(日本実業出版社)、『日本の人事は社風で決まる』(ダイヤモンド社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    銀行員は通常、定年前に転職を経験するものだ。だから常日頃から自分のキャリアを考えておかなければならない。
  • 要点
    2
    安易に転職してはいけない。転職に際しては、(1)銀行における自分の立ち位置、(2)自分を支えてくれる人脈の有無、(3)景気動向などのタイミングの3つをよく考えよう。
  • 要点
    3
    転職成功のカギを握るのは、応募書類と面接だ。職務経歴書には、自分が担当している業務や挙げた成果、担当社数や部下の数などを可能な限り具体的に、数字を用いて記載しよう。

要約

銀行員の人生

銀行員は定年前に転職をする

銀行員は安定した職業だと認識されているが、終身雇用が保障されているわけではない。法律にのっとって定年が定められてはいるものの、入行後25年が経つと、ごく一部のエリートを除いた大半の人が銀行を去る仕組みになっている。

多くの場合は銀行が転職先を紹介してくれる。転職先は取引先や関係会社などが中心で、出向という形を取ることが多い。ただし出向といっても、銀行に戻ってくることはない。

銀行員である以上、定年前に転職をしなければならないとするならば、銀行員は積極的に自分のキャリアを考えていく必要があるだろう。常日頃から自分の進退を考えておかなければならない。

銀行員が退職する4つのステージ
shutter_m/gettyimages

銀行員が定年前に転職するといっても、全員が同じタイミングで銀行を後にするわけではない。転職のタイミングは4つに大別される。

まず、20代だ。入行して数年以内に辞めていく行員である。銀行に憧れて入行したものの、理想と現実のギャップに苦しみ、多くは一般の事業会社に転職していく。

2つ目が、30代だ。何度かの異動を経て、自分自身の位置づけがわかってきたタイミングだ。優秀で自信がある人材ほど、きっかけを見つけて転職してしまう。ポテンシャルが高く組織人としての基礎知識もあり、環境の変化に柔軟に対応する力があるため、一般の事業会社からも人気がある層だ。

3つ目が、40代だ。入行して20年が経って能力差が顕在化した頃、同期との出世レースに敗れた人たちが転職しはじめる。このタイミングで行内に残っているのは、「行き場もないが行動を起こしもしない層」と「さらに昇進する可能性があるトップ層」のいずれかである。

最後に、50代だ。大手銀行では、50歳前後で役員に就任する行員が出てくる。役員になる同期が出る頃、それ以外の行員は銀行から離れるか、能力によっては銀行が用意してくれた外部ポストに就くこととなる。このレースが完了するのは、役員就任後5~6年内に決まるトップ人事によってだ。

【必読ポイント!】 銀行員のための転職プランニング

銀行員が転職に有利な理由
BrianAJackson/gettyimages

銀行員は、他の業種と比較すると圧倒的に転職に有利だ。その理由は4つある。

1つ目に、銀行員のポテンシャルが高いからだ。偏差値的な学力が高いだけでなく、問題関知力にも優れている。

2つ目に、銀行員は善良な市民だというイメージが一般に浸透しているからだ。銀行員という職業は、採用する側に良い印象をもたらす。

3つ目に、

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要約公開日 2018.11.05
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