銀行員はどう生きるか

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銀行員はどう生きるか
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定価
880円(税込)
出版日
2018年04月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

銀行はいま、激変期を迎えている。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、そしてみずほフィナンシャルグループの3メガバンクグループが大量の人員削減を発表したことは、記憶に新しいだろう。これまで安定の代名詞のような存在であったメガバンクがようやく重い腰を上げたのは、変革しなければ生き残れない危機的状況に来ているとの認識を持ったからである。

リーマン・ショック以降、アメリカの銀行は顧客から見放されて信用を失った。そのうえ、フィンテック(financial technology/金融とIT技術の融合)企業の台頭により、変革することを余儀なくされた。こうした流れにより、米国や欧州の銀行は工夫を重ね、銀行店舗を劇的に変化させたのだ。邦銀もまた米銀と同じ道を辿るとするならば、米国や欧州の銀行を見習って、業務効率化と同時に顧客サービスの質的向上を目指していくしか生き残る術はない。それは地方銀行などの金融機関でも同じである。

かつて銀行は、安定企業として学生の就職ランキングのトップに君臨していた。しかしそんな時代はすでに終焉を迎えている。銀行員は、安定を求める人が選択する職業ではなく、自分の可能性にチャレンジするような職業へと変貌を遂げようとしているのだ。やりがいを重視するならば、銀行員は今以上に魅力的な職業となっていくだろう。

ライター画像
藤本江里子

著者

浪川 攻(なみかわ おさむ)
経済ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。「週刊金融財政事情」編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌「Voice」の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本の銀行の経営環境は悪化の一途をたどっている。日銀によるマイナス金利政策やフィンテック・プレーヤーの出現がその一因となっている。
  • 要点
    2
    デジタル技術を活用した業務効率化が実行されると、玉突きで人事異動が起き、大規模な配置転換が起きるだろう。
  • 要点
    3
    米国の銀行では、日本よりも先にビジネスモデルの変革が起きている。邦銀は、業務効率化と顧客サービスの質的向上を目的とした米国の業務改革に学ぶべきである。
  • 要点
    4
    フィンテック・プレーヤーに打ち勝つためには、顧客とのリレーションの構築・強化に力を注ぐべきである。

要約

メガバンクによる「大量人員削減」

悪化の一途をたどる経営環境
peshkov/iStock/Thinkstock

2017年11月中旬、3メガバンクグループが行った発表により、全国の銀行員に激震が走った。それは、三菱UFJ銀行が約6000人、三井住友銀行が約4000人分の業務量を、みずほ銀行が1万9000人を削減するというものであった。銀行業界では、この規模の人員削減は戦後はじめてのことだ。この発表により、「銀行員=安定した仕事」という神話が崩れ落ちたのだった。

これまでメガバンクは、厳しい経営環境でも危機感に乏しく、顧客志向とは程遠い銀行本位のセールスを行ってきた。日銀によるマイナス金利政策は、そんな「変われない銀行」に変革を迫った。銀行の収益構造は一気に悪化し、特有の高コスト(人件費)体質が重たくのしかかる。

メガバンクには、国内業務の不振を穴埋めできる収益の柱として、国際業務があった。しかしトランプ政権が金融規制の緩和を打ち立てたことにより、邦銀が享受してきたビジネスチャンスを喪失することとなったのだ。株式市場においてもメガバンクグループの株価の上げ足は鈍く、「収益先細り」という見方が圧倒的に強くなっている。

フィンテック・プレーヤーの出現

追い打ちをかけるように出現した強敵が、フィンテック・プレーヤーだ。フィンテック・プレーヤーは、スマートフォンなどを通じて送金や支払いなどを行うフィンテック(financial technology/金融とIT技術の融合)を活用した新たな金融サービスを提供する。こうしたサービスは、それまで銀行が人手を使ってきた事務作業をシステム化しているため、便利で、簡単で、しかも料金が安い。加速度的に利用層を広げていくだろう。

とりわけフィンテック・プレーヤーの活躍が期待されるのは、リテール業務分野だ。とくにマスリテールの領域においては、資金決済からローン申し込みまでをスマホ操作によって完了させることができる。メガバンクグループが従来型のリテール業務のスタイルにこだわり続ける限り、競争力は失われ、さらなる採算悪化に陥ることは目に見えている。

経営のモデルチェンジ
marchmeena29/iStock/Thinkstock

銀行のビジネスモデルはもはや時代遅れであり、立て直しのための時間はそう多く残されていない。そんななか、3メガバンクグループのなかで先陣をきったのは、三井住友フィナンシャルグループだった。2015年、リテール業務部門を中心に組成されたキャラバン隊が、欧米諸国の銀行のリテール店舗を視察するための隠密行動を起こした。

米国や欧州では、銀行店舗はIT技術を駆使して劇的に変化していた。経営陣はこの隠密行動をもとに、リテール業務改革に舵を切った。その目玉の一つが中野坂上支店である。中野坂上支店は、大きなビルの11階にあり、窓口もなければ必要事項を記入する用紙もない、支店長室さえもない「次世代店舗」である。三井住友では、2019年度には現在の430店舗すべてを次世代店舗に入れ替える予定だという。

三井住友の実現スピードは速く、スタートダッシュに成功した。だからこそ、三菱UFJ銀行が約6000人の業務量を、みずほ銀行が1万9000人を削減する一方で、三井住友銀行は約4000人分の業務量を減らすにとどまるのである。出遅れた銀行ほど人員削減規模が巨大になるのだ。

激変する銀行員人生

メガバンクよりも厳しい地方銀行

地方銀行は、メガバンクグループよりも厳しい経営環境に晒されている。

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