宇宙が始まる前には何があったのか?

未 読
宇宙が始まる前には何があったのか?
ジャンル
著者
ローレンスクラウス 青木薫(訳)
出版社
文藝春秋
定価
1,728円
出版日
2013年11月30日
評点(5点満点)
総合
3.3
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.0
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レビュー

何も無い空間からどうやって宇宙は生まれ、どのように終わるのか。宇宙という神秘に満ちた空間を理解することは、多くの人の好奇心をかきたてて止まない。

米国アリゾナ州立大学で宇宙の成り立ちを探求する学問「宇宙論」の研究をリードするローレンス・クラウス氏が宇宙の起源とその終焉の探求を通じて、これまでの宇宙論の移り変わりと最新の理論に迫る。宇宙の成り立ちを理解しようとする人類の長い挑戦とその歴史が、物理学的な解説とともに丁寧に記されており、最先端の宇宙論に触れることができる一作だ。

偶然生まれた物理現象が、物質の存在を可能にし、それは宇宙を生み、やがて地球に生命が誕生した。起こるべくして、事が起こっている。本書の中で語られるタイムスケールは大きなもので数兆年、数億年だ。一人の人間の一生など宇宙スケールでは一瞬にも足らない。自らたてた仮説に対しての答えを、生きている内に確認する事ができないとわかっていながら、理論構築と観測に生涯を捧げてきた科学者たち。途方も無く遠い過去と未来に立ち向かうその勇気と想像力は筆舌に尽くし難い。

本書を読みながら、宇宙のタイムスケールで物事を考えてきた無数の科学者達に思いを馳せると、つい目の前のことで精一杯になりがちな日常に、ふと大きな視点を与えてくれそうだ。

著者

ローレンス・クラウス
宇宙物理学者。アリゾナ州立大学にて「起源プロジェクト」を創説し率いる。1995年、「真空のエネルギーは、非常に小さいがゼロではない」という大胆な説をマイケル・ターナーとともに提唱。当時は異端視されたが後に見事、実証される。反神論の立場から、不可知論者のリチャード・ドーキンスとともに、神学者や哲学者と真っ向から対決し、ディベートを重ねる。アメリカの物理学における「顔」でもある彼が、本書の原題と同じ「A UNIVERSE FROM NOTHING」とのタイトルで行った講演はYou Tueで150万pvを超え、全米にセンセーションを巻き起こす。著書に『物理学者はマルがお好き』、『SF 宇宙科学講座——エイリアンの侵略からワープの秘密まで』、『コスモス・オデッセイ--酸素原子が語る宇宙の物語』、『超ひも理論を疑う--「見えない次元」はどこまで物理学か?』、『ファインマンさんの流儀』がある。2012年位は全米科学審議会から「公益賞」を授与された。

本書の要点

  • 要点
    1
    宇宙論で今最も注目を集めている二つの謎は、暗黒の世界にあり観測することができない「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」だ。
  • 要点
    2
    暗黒エネルギーは宇宙の膨張と縮小のバランスをとるのに理論上必要なエネルギーと考えられる。
  • 要点
    3
    これまでの宇宙像によると現代は宇宙観測に適した時代だ。宇宙は膨張を続け、2兆年後にはほとんどの星が離れすぎて見えなくなってしまう。
  • 要点
    4
    宇宙に挑む科学者のあるべき姿勢は「自分の想像に宇宙を合わせるのではなく、宇宙に自分の想像を合わせること」である。

要約

暗黒の世界に隠された質量を求めて

暗黒の空間に「物質」が存在しているかも知れない
photouten/iStock/Thinkstock

宇宙の成り立ちを探求する学問「宇宙論」はここ100年で激動を迎えてきた。かつて永遠に不変とされていた宇宙への認識に大きな変化が起こったのだ。著者の最近の研究によると、宇宙の成り立ちとその性質というのは、理論上は存在するはずであるものの、未だ観測できていない「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」による所が大きいという。この考えに至るまでには、多くの科学者による理論構築と観測・検証、そして仮説の棄却が繰り返えされてきた。本要約では、宇宙研究者を惹きつけてやまない謎の多い二題テーマである「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」を中心に紹介する。

「暗黒物質」とは、観測はできないが、暗黒の空間に存在すると考えられている、質量をもった物質のことである。なぜ観測できないモノの存在がわかったのか?それは「ビッグバン」「宇宙の膨張」「宇宙の空間的性質」、この3つの発見が大きく関係している。

ビッグバンという言葉を聞いたことがあるだろうか。宇宙の全てのはじまりを説明するビッグバンモデルは、カトリックの司祭にして二つの博士号を持つルメートル氏によって提唱された。宇宙のはじまりとは、つまり「無」の空間から、「有」が生まれたということだ。

以前は宗教的な観点から宇宙は変わらないものと考える研究者も多くいたが、星までの距離を観測する技術の進歩により、我々から遠くにある銀河ほど大きな速度で我々から遠ざかっていることがわかった。我々から二倍遠くにある銀河は二倍だけ大きな速度で、三倍遠くにある銀河は三倍だけ大きな速度で遠ざかっているというのだ。つまり、我々の「宇宙は膨張している」のだ。

そして、あらゆる銀河が互いに遠ざかっているということは、過去においては、どの銀河もお互いにもう少し接近していたことになる。二倍の距離にある銀河が二倍の速度で遠ざかるのだから、時間を逆向きにすれば、つまり宇宙のすべてがある一点に集中していたはずだ。そう、これこそが、ビッグバンにほかならない。

そして、第三の重要な発見である「宇宙の空間的性質」も忘れてはならない。過去の研究から、この宇宙は光が延々とまっすぐ進む空間的性質(「平坦な宇宙」タイプと呼ばれている)をもつことが、証明されている。

しかし、宇宙空間に存在する物質の質量に注目すると理論上の計算と観測でその量が合わない。平坦な宇宙を前提とした時に、この宇宙が理論的に持っているはずの質量と、観測された天体の質量との間に大きな差があることがわかった。ここで暗黒の空間に観測できない物質の存在、つまり暗黒物質の存在が示唆される。

宇宙が平坦であるために必要とされる膨大な質量はどこに隠されているのか。私たちが観測できない暗黒の世界にある物質を求めて研究者達の探求は続いており、未だ謎が多い。

ミクロの世界から発見された暗黒のエネルギー

Fuse/Thinkstock
何も観測できない暗黒の空間にエネルギーが存在しているかも知れない

ここでは、もう一つの謎である「暗黒エネルギー」について紹介しよう。

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宇宙が始まる前には何があったのか?
未 読
宇宙が始まる前には何があったのか?
ジャンル
サイエンス
著者
ローレンスクラウス 青木薫(訳)
出版社
文藝春秋
定価
1,728円
出版日
2013年11月30日
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