滅亡へのカウントダウン
人口大爆発とわれわれの未来

未 読
滅亡へのカウントダウン
ジャンル
著者
アランワイズマン 鬼澤忍(訳)
出版社
早川書房
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2013年12月18日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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滅亡へのカウントダウン
滅亡へのカウントダウン
人口大爆発とわれわれの未来
著者
アランワイズマン 鬼澤忍(訳)
未 読
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ジャンル
出版社
早川書房
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2013年12月18日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
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レビュー

少子高齢化と人口減少に悩む日本経済とは反対に、実は世界では人口増加の勢いがますます強まっている。2世紀以上前から経済学者のマルサスが指摘しているように、人口は幾何級数的に増加するため、食糧などの生活資源の増加が追いつかず、重大な貧困問題を引き起こす。

前世紀では人工肥料の登場によって食糧生産が増え、一時的に飢餓を防ぐことができた。しかしもはやイノベーションでは対処しきれないほど世界人口は急増している。増えすぎた人間は地球環境を汚染し、人類はいよいよ滅亡へと舵を切るだろう。世界的なベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』で有名なダン・ブラウンも、2013年に『インフェルノ』という小説で、世界的な人口爆発がもたらす災厄をめぐって巻き起こる事件を描いている。

こうした危機的状況を回避する手段の一つは「避妊」だ。日本ではコンドームやピルが手軽に手に入るため、あまり避妊が困難だという認識はないかもしれないが、世界には避妊したくてもできない女性がたくさん存在する。避妊用具が手に入らなかったり、宗教上の理由で避妊が禁じられていたり、経済成長や軍事力拡大を追い求める政府が人口増加を推奨している国・地域があったりと、問題は一筋縄では解決しない。

本書は各地域における人口増加の原因を探り、人口を適正規模に抑制するために奔走する現場を取材したルポルタージュだ。上下巻合わせて700ページを超える大作だが、これほどまで問題意識を駆り立てられる作品はめったにないのではないだろうか。

私たちは地球を次世代に引き継ぐことができるのかどうかという岐路に立っている。現代を生きる私たちが全うすべき「責任」としてぜひ読んでいただきたい。

苅田 明史

著者

アラン・ワイズマン
アメリカのジャーナリスト。1947年ミネアポリス生まれ。ノースウェスタン大学でジャーナリズムの修士号取得。著書『人類が消えた世界』(2007年、邦訳は早川書房刊)は、『タイム』誌の2007年ベストノンフィクションに選出されたのをはじめ、Amazon.comやiTunesオーディオブックの年間ベスト(ノンフィクション部門)でも第一位を獲得し、34の言語に翻訳される世界的ベストセラーとなった。さらに全米批評家協会賞、レイチェル・カーソン賞など多くの賞の最終候補にもなり、中国国家図書館の文津図書賞を受賞している。

本書の要点

  • 要点
    1
    医学の進歩と食料供給の増加によって世界人口は20世紀に入って急増しており、現在では70億人に到達、今世紀中には100億人にまで増加するとみられている。
  • 要点
    2
    人口が増えれば環境汚染が進み、食料やエネルギーなどが不足する。災厄を未然に防ぐには、人間がみずからの数を管理し、適正な人口に抑制する「家族計画」を推進しなくてはならない。
  • 要点
    3
    避妊の手段を持たない発展途上国の女性は現在2億5000万人おり、彼女らに避妊の手段を提供すれば、人口を抑制することができるほか、妊娠中絶の件数も減らすことができる。
  • 要点
    4
    これまで経済的繁栄は人口増加を前提とした成長を前提としていたが、今後は地球との均衡が可能な人口に抑制していく必要がある。日本は世界で初めて人口が減少する国であることから、量から質への転換が可能かどうかを見極める実験場として注目される。

要約

地球が抱える人口問題

人員総数と食料のパラドックス
Orlando florin Rosu/Hemera/Thinkstock

ホモ・サピエンスが初めて姿を現してから、1815年頃に地球の人口が10億人に届くまで20万年近くかかった。1900年時点でもわれわれの人口は16億人に過ぎない。しかし、2011年には世界人口は70億人に到達しており、そのペースは多少減速したとはいえ、今世紀中には100億人にまで増えるとみられている。

最近まで人口が少なかった理由は単純で、人は生まれるのと同じくらいのペースで死んだからだ。数万年のあいだ人類の大半は1年以上生きることが難しく、1人の女性は7人の子供を産んだが生き残るのは2人というくらいに幼児死亡率も高かった。さらには14世紀半ばに猛威をふるい人類の4分の1を死に追いやったペストのように、伝染病の脅威が存在していたことも影響している。

最近になって人類が増加した原因は二つある。一つは医学の進歩だ。悪魔の病気と恐れられてきた天然痘は1796年にワクチンが発見され、世界で初めて撲滅された感染症だ。19世紀にはパスツールが狂犬病や炭疽病のワクチンを開発し、さらには病原菌による感染を妨げる低温殺菌法などを生み出した。20世紀にも様々な病気に対するワクチンや抗生物質の発明によって死亡率が下がり、1800年にはおよそ40年だった平均寿命は、現在では世界の多くの地域でほぼ倍になっている。今後マラリアやHIVの治療法が発見されれば、人口はますます増加するだろう。

だがここで考慮しなくてはならないのは、医学の進歩が必ずしも人類を救うわけではないということだ。子供を病気から守るための技術革新はさらなる人口増を招き、結果的に人類の絶滅を招きかねない。

人口が増加したもう一つの理由は食糧供給の増加だ。窒素が植物にとって必須の栄養素であることを突き止めた人類は、1913年に考え出されたハーバー・ボッシュ法によって人工肥料を生成し、空気中の窒素を捕らえ植物に与えることに成功する。高収量品種の導入や化学肥料によって穀物生産性を著しく改善させたいわゆる「緑の革命」は、「人口は食糧の供給力をつねに上回る速度で増加する」と主張したイギリスの経済学者マルサスの警告をしばし忘れさせてくれた。

しかしながら、食糧生産の改善は医学の発達と同じパラドックスを抱えている。多くの人が飢餓から救われることは、さらに多くの命を生み出すことに繋がり、人口問題をいっそう逼迫させることになるからだ。結局、「緑の革命」とは避けられない人口爆発を先延ばしたに過ぎないのかもしれない。

人口爆発が引き起こす問題

人口が増えればその分、老廃物や二酸化炭素が排出され、必要となる食料、燃料、生活空間、電気などのエネルギーが増える。こうした事態は飢饉、水不足、異常気象、生態系の崩壊、疾患の流行、減少する資源をめぐる戦争といった災厄を招きかねず、それらを避けるには人間がみずからの数を管理し、適正な人口に抑制する「家族計画」を推進しなくてはならない。

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グローバル 政治・経済
著者
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早川書房
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2013年12月18日
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