日経テクノロジー展望2019 世界をつなぐ 100の技術

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日経テクノロジー展望2019 世界をつなぐ 100の技術
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著者
日経BP社(編集)
出版社
定価
2,400円 (税抜)
出版日
2018年10月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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2018年10月29日
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レビュー

人類の未来は、クロステックが変える。そう実感させてくれるのが、本書に登場する100の技術である。クロステックとは、一見すると無関係な技術、分野、人がつながり合って、新たな化学反応を引き起こすことを指す。たとえば、材料工学の進歩が量子コンピュータの進歩を支え、再生医療の発展を加速させる。また、将棋や囲碁に活用されたAI技術が、自動運転の実用化を後押しする。技術の進歩と普及は、こうして複数の領域がクロスしたうえで成り立っている。とりわけ都市や建築、医療といった、学際的な性質の強い領域では、この傾向はますます顕著になるだろう。

私たちの生活やビジネスをより豊かなものにするにはどうしたらいいのか? それは、一見すると無関係な技術の進歩を、他の分野とどのように掛け合わせるかにかかっている。もちろん個々の企業やビジネスパーソンの競争力も、このクロステックの流れをいかに取り込むかに大いに左右されるといっていい。

本書は、日経BP社が総力を上げて技術の最先端を分かりやすく解説する、「100の技術」シリーズの最新刊である。日経の専門誌編集長30人が徹底的に未来を予測するという、大充実の内容だ。自動車、機械、半導体、コンピュータ、通信、建築住宅、土木、医療製薬バイオなど、カバー範囲は実に広い。

いま、各分野の最先端で起こっている「クロス」の潮流を俯瞰し、これからの社会とビジネスの変化に想像を巡らすにはうってつけの一冊である。

ヨコヤマ ノボル

著者

日経BP社(編集)
日本経済新聞社の100%子会社。日経ビジネスなど経営誌、日経トレンディなど生活情報誌に加え、日経アーキテクチュア、日経エレクトロニクス、日経コンピュータ、日経メディアなど30を超える技術系の専門誌を発行。日経×TECH、日経×TRENDなどの専門サイトも持つ。総勢200人の専門記者が専門情報を専門家に向けて発信している。2019年に設立50周年を迎える。本書では、専門誌編集長30人が今後大きなインパクトを持つテクノロジーを選び、ビジネスパーソンに向けて分かりやすく解説した。

本書の要点

  • 要点
    1
    2019年には、複数のテクノロジーが交わり、世界をつなぐ「クロス」の動きが活発になる。
  • 要点
    2
    ビジネスパーソンに期待するテクノロジーを尋ねると、深層学習や自動運転など、AI関連の技術が上位を占めた。これらの技術が2019年に社会を変え始めるという期待が込められている。
  • 要点
    3
    AIやIoTをはじめ、ICTはさまざまな分野のテクノロジーとクロスし、テクノロジー同士のつながりも促進し、都市や街を大きく変えていくと予測される。

要約

クロスの時代がやってくる

都市と社会を強化し、再生を促すテクノロジー
voyata/gettyimages

複数のテクノロジーが交わり、さらに生活、ビジネス、都市、社会とも交わり、世界をつないでいく。2019年には、そうした「クロス」する動きが活発化する。

日本は、人口急減と超高齢化を他国より早く経験する「課題先進国」である。都市を例にとろう。首都・東京は、国際的な都市間競争で生き残るため、絶えず都市更新を続けるだろう。その一方で財政難の地方都市は、公民連携などにより再生の活路を模索することとなる。

こうした動きを促すのがテクノロジーだ。ICTはさまざまな分野のテクノロジーとクロスし、テクノロジー同士のつながりを加速させ、都市や街を大きく変えていく。

一兆個のセンサーとデータでデジタル化する都市

都市のデータを収集するためには、あらゆる場所にセンサーを埋め込むことが必要となる。これをめざすのが、「トリリオン(一兆)センサー社会」と呼ばれる構想だ。センサーから得られたビッグデータの活用によって都市をモニタリングし、効率的な管理、効果的なアップデートをめざすというものだ。

この構想に役立つ技術のひとつとして、デジタルツインという技術が挙げられる。これは、物理的な世界を3Dのデジタル世界でシミュレートするものである。「バーチャル・シンガポール」のように、都市計画や行政にデジタルツインを活かそうとするプロジェクトも、すでに進んでいる。

また、都市内の移動時間に着目した「時間地図」をグラフィカルに作成することで、活用すべき遊休不動産の見極めに役立てるという取り組みもある。

都市に融合するアート

近年、テクノロジーアートやメディアアートの分野と建築分野が接近し、「インスタレーション」と呼ばれるアートが増えている。インスタレーションとは、場所や空間全体を作品として体験できるようにする芸術を指す。

渋谷のある複合施設では、クリエイター集団ライゾマティクスが、通路に大小18台のディスプレイやサウンドシステムを設置した。これにより、映像や音像が時刻や天候によって移り変わることを可能にし、空間と通行者の間に対話を生み出すという。

こうした取り組みは都市空間にも広がっている。その一例は、デジタルアートを手がけるチームラボだ。チームラボは、中国の都市において公共物をデジタルで制御することで、デジタルアートやインタラクションを手がけることになった。これが人々との新たな関係の創造につながっている。

自動運転が変える技術と社会

世界で進む自動運転の取り組み
metamorworks/gettyimages

世界中の自動車メーカーが、完全自動運転車の実用化をめざし、開発を進めている。各メーカーの発表によると、2020年代後半には、無人の自動運転車両が当たり前に街中を走行することが期待されているという。

ただし、完全な自動運転に必要なのは、車両単体の機能だけではない。高精度な地図情報システムや車両同士の通信システム、専用の情報処理システムなども求められる。地図に関していうと、「ダイナミックマップ」と呼ばれる三次元の地図データが作成されている。また情報処理分野では、自動運転専用の画像認識を行うディープラーニングネットワークの開発も進められている。

特定のエリアやルートで用いる車両は、一般車両よりも早く自動運転を実現できるかもしれない。鹿島は「クワッドアクセル」という実証実験のプロジェクトを始めた。工事現場で、ブルドーザーなどの複数の重機を連携し、自動運転させるというものだ。

物流を救う無人化技術

日本では宅配サービスの急激な普及と荷物の増加に対して、人手の確保が追いついていない。一方で地方では、小売店の減少などにより「買い物難民」が発生している。こうした状況を救う技術として、無人運転やドローンによる荷物配送が期待されている。

すぐにも実現しそうなのが、高速道路におけるトラックの隊列走行だ。数台のトラックが列車のように連なって走行する技術で、先頭車両のみ人が運転する。カギとなるのは車両間の通信システムである。

ドローンも物流を救う技術と目されている。ドローンに搭載されたカメラやセンサーが周囲を認識。ドローンは、プログラムされた航路に沿って自動で飛行できる。そのため、物流センターから遠く離れた地域や、住宅が点在している地域への配送において効果を発揮できる。

インフラ点検も自動化へ

高速道路や橋、トンネル。こうしたインフラの老朽化対策は待ったなしの状況といえる。国土交通省の試算によると、所管する国内インフラのメンテナンス市場が、2023年には年間5兆円にものぼるという。

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