平成最後のアニメ論
教養としての10年代アニメ

未 読
平成最後のアニメ論
ジャンル
著者
町口哲生
出版社
定価
1,100円 (税抜)
出版日
2019年02月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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平成最後のアニメ論
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教養としての10年代アニメ
著者
町口哲生
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定価
1,100円 (税抜)
出版日
2019年02月07日
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4.0
明瞭性
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革新性
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レビュー

「この講義を受講する者は、深夜枠を中心に週に20本以上『アニメ』を視聴しておくこと」――著者は大学で講義する際、そう注意をしたという。

本書はその講義内容をもとに書籍化したものだ。ただ一般向けの新書ということもあり、週に20本以上のアニメを見ていなくても十分に理解できる内容となっている。「教養としての10年代アニメ」という言葉には、アニメに関する知識を現代文化のひとつの「教養」として知ること、アニメを通してさまざまな「教養」(学問的知識)を得ることの2つの意味が込められているようだ。

本書では『君の名は。』『けものフレンズ』など、10年代を代表するアニメが7つ取り上げられている。著者の言うように、こうしてみると10年代アニメは設定を練り込み「世界観」にこだわったものが目立つ。日本古来の文学や芸術作品、文化や風習が取り入れられたり、現実世界の社会情勢が反映されていたり、歴史・哲学・科学的な考察が軸に置かれていたりする。

本書は幅広い読者を想定しており、ひとつひとつの作品をとことん分析するという類のものではない。とはいえ本書で取り上げられているようなアニメ作品に触れ、その背景や思想に親しむことは、あなたの人生をより深く豊かにするためのヒントを与えてくれるに違いない。

大賀 祐樹

著者

町口 哲生 (まちぐち てつお)
文芸評論家。専門は哲学・現代思想。近畿大学では映像・芸術基礎、映像・芸術論、現代の社会論を教えている。著書に『帝国の形而上学――三木清の歴史哲学』(作品社)、『教養としての10年代アニメ 反逆編』(ポプラ新書)。共著に『知識人の宗教観』(三一書房)、『現代文化スタディーズ』(晃洋書房)、『現代文化テクスチュア』(晃洋書房)、『声優論』(河出書房新社)など。翻訳書にヴァネッサ・ベアード『性的マイノリティの基礎知識』(作品社)、ジャウディン・サルダー他『Introducing メディア・スタディーズ』(作品社)。他、論文・書評など多数。愛犬家で、バセンジーと暮らしている。
Twitter : @tetuomachiguchi

本書の要点

  • 要点
    1
    アニメはそれ自体が教養(文化)であり、同時に教養(学問)として分析するに足るものだ。
  • 要点
    2
    「夢」や「地獄」などの彼岸をモチーフとする10年代の代表的な作品は、日本文化を継承しつつも「再境界化」することで、現代人の価値観に揺さぶりをかけている。
  • 要点
    3
    怖い「世界観」を背景にかわいいキャラクターが活躍するのが、10年代アニメの特徴のひとつだ。
  • 要点
    4
    アニメ作品の中には、現実の歴史や社会情勢、遠い未来の予測が詳細に記されているものがある。そうした「世界観」には、現実の私たちの「世界像」を強く揺さぶる力がある。

要約

【必読ポイント!】 「世界観」という切り口によるアニメ論

「教養」としてのアニメとは
metamorworks/gettyimages

アニメはそれ自体が教養(文化)であり、同時に教養(学問)で分析するに足るものである。というのも日本の商業アニメーションは単なる娯楽ではなく、「インフォテインメント」(Infortainment)=情報娯楽だからである。情報娯楽とは「情報」(Information)と「娯楽」(Entertainment)からなる合成語だ。この情報の部分を教養(学問)で分析、解析するのである。

同時にアニメは「エデュテインメント」(Edutainment)=教育娯楽でもある。エデュテインメントという言葉は「教育」(Education)と「娯楽」(Entertainment)の合成語であり、一般的には「遊びながら学ぶ体験型学習」を意味する。これを転用し、アニメはある種の「教育」として機能するという論を展開することもできよう。こうした方針は、著者の前々著『教養としての10年代アニメ』(2017年)および前著『教養としての10年代アニメ 反逆編』(2018年)から基本姿勢として受け継がれている。

本書ではそれに加え、「世界観」という切り口からのアニメ論も試みる。この着想は文化人類学者であり漫画家でもある都留泰作(つるだいさく)が提唱した「世界観エンタメ」という考え方から来ている。

ただし本書では、文化人類学が定義する「世界観」ではなく、ドイツの哲学者ヴィルヘルム・ディルタイの「世界観学」を批判的に継承した方法を用いる。つまり作品の「世界観」を、読者の「世界像」(Weltbild)へと結びつける試みである。とくに10年代後半のアニメでは、「設定」に凝ったタイプのエンタメが増加傾向にある。物語の「世界観」を読者の有する「世界像」につなぐことができれば、それは読者に資することになるはずだ。

あの世とこの世

『君の名は。』と日本古来の「夢」
Cloud-Mine-Amsterdam/gettyimages

フランスの映画研究家ジャン=ルイ・ボードリーによると、映画は「シミュラークル(まがいものという意味だが、ここでは夢)を生み出す装置」だという。であればアニメは、強烈に視聴者の「欲望」を喚起するという意味で、映画よりも強烈な夢の再現装置といえるのではないか。

新海誠監督の第9作目『君の名は。』は、主人公の瀧とヒロインの三葉がみる「夢」を軸に展開するだけでなく、アニメ自体が「夢見の装置」として機能している。一般的に「夢」は、「過去」の経験が形を変えたものとされる。だが『君の名は。』にあらわれる夢は、日本の古代・中世における夢と同じだ。つまり過去よりも「彼方」(未来)に向いているのである。

『古事記』には、神を祀り夢の神告を受けるための寝床「神牀」に関する記載がある。当時は王の夢を見る力が、王権の維持のために必要とされていた。しかしやがて厩戸皇子(聖徳太子)の瞑想の場としての夢殿や、『万葉集』に見られる夢をモチーフとした歌などのように、夢は公的なものから私的、個人的なものになり、「夢の民主化」がなされていく。

平安時代や中世になると、夢は神仏・死者からのメッセージとされた。この時期は夢のメッセージを解読してもらう「夢解き」が、巫女や修験者、陰陽師のような霊能者によって行われていたという。

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