自己啓発をやめて哲学をはじめよう
その絶望をどう扱うのか

未 読
自己啓発をやめて哲学をはじめよう
ジャンル
著者
酒井穣
出版社
フォレスト出版 出版社ページへ
定価
1,404円
出版日
2019年04月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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その絶望をどう扱うのか
著者
酒井穣
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定価
1,404円
出版日
2019年04月10日
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総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
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レビュー

最近、仕事がうまくいってない。自分を向上させるためのヒントを何か得られないか。そんな思いから自己啓発書を購入する方もおられるのではないだろうか。

本書では、この自己啓発の危うさを指摘する。自己啓発のほとんどは、自分にベクトルを向ける内容のものだ。「努力し自分を変えれば成功できる。自分の可能性を信じるべき」。これが自己啓発書に共通したメッセージである。しかし、現実には、自分の内面を変えたからといって、必ずしも成功できるわけではない。成功は職場環境や社会経済状況にも大きく左右されるのだから。にもかかわらず、自分の内面にばかり答えを求めて失敗すれば、自分を必要以上に責め、追い込むことになりかねない。

著者が私たちに呼びかけるのは、自己啓発にはまらず、哲学の可能性に目を向けることである。哲学は世界一般に適用できる真理を対象とし、過去の真理を「疑う」ことを前提とする。自分の外に意識を向けることで、「自分こそは正しい」という態度を克服し、自分への執着を断ち切ることができるというのだ。

要約者がなるほどと思ったのは、「中身のある人物ほど、自分の外側にある世界に対して好奇心がある」という主張だ。自分の内側ではなく、他者や社会など自分の外側の世界に好奇心を持つときにこそ、自分の中心はより豊かになっていく。

哲学には困難の多い時代を生きるためのヒントが隠れている。本書は、そうした事実を私たちに実感させてくれる希望の書ではないだろうか。

森本 進也

著者

酒井 穣(さかい じょう)
株式会社リクシス創業者・取締役 副社長CSO( Chief Strategic Officer)、 新潟薬科大学客員教授、 認定 NPO カタリバ 理事、 介護 メディア KAIGO LAB 編集長。 1972 年 東京都生まれ。 慶應義塾大学理工学部卒。 Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA) 首席( The Best Student Award)取得。 商社にて新事業開発に従事後、オランダの精密機械メーカーに光学系エンジニアとして転職し、オランダに約9年在住する。帰国後はフリービット株式会社(東証1部)の取締役(人事・長期戦略担当)を経て、東日本大震災をきっかけに独立。主な著書に『はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『これからの思考の教科書』(光文社・知恵の森文庫)、『幸せの経営学』(日本能率協会マネジメントセンター)、『曹操』(PHP研究所)、『料理のマネジメント』(CCCメディアハウス)などがある。印税寄付プログラムChabo!参加著者。

本書の要点

  • 要点
    1
    自己啓発は、自分という個別性の高い対象を扱い、自己啓発を「信じる」ことを前提とする。一方で哲学は、世界一般に適用できる真理を対象とし、過去の真理を「疑う」ことを前提とする。
  • 要点
    2
    哲学は「自分こそが正しい」という態度を克服する意味で重要である。
  • 要点
    3
    人間は自分自身にしか興味のない段階から、自分以外のものに興味が向かう哲学的な段階に成長していく。

要約

自己啓発をあきらめる

現代の日本で自己啓発が流行る理由
tadamichi/gettyimages

本書は、「自らの意思で学ぶ」という本来の自己啓発からはずれた、科学に立脚していない自己啓発ブームに警鐘を鳴らすためのものである。

現代の日本では、自己啓発が流行している。自己啓発にはまりやすい人の属性は、大卒の正社員の男性であり、体育会系の背景を持っている。これは大企業のビジネスパーソンの属性に近い。

これからの日本は人口減少、社会福祉の後退とともに衰退していくこととなる。それに伴い、社会不安が増大し、自己啓発ビジネスへの需要も高まっていく。

こうした環境下では、FUDというマーケティング手法が用いられる。FUDとは、「不安(Fear)」「不確かさ(Uncertainty)」「疑念(Doubt)」の頭文字を取ったものだ。

日本というタイタニック号は、沈没間近な様相を呈している。こうした時代では、救命ボートとなる資産の形成を急ぐべきだと説く、自己啓発が流行しやすい。自己啓発ビジネスを仕掛ける人は、社会不安に煽られ、わらにもすがりたい人たちに自己啓発というわらを売る。そして、その儲けによって資産を形成し、自らの救命ボートを確保していく。すなわち自己啓発ビジネスは、人々の「漠然とした不安」を食い物にする貧困ビジネスなのだ。

絶望から逃げるのではなく哲学をする

自己啓発では金銭的な成功を実現できない。本当に効果があるのならば、科学的な検証の対象として世界的な研究テーマになっているはずだ。

ある調査によると、我々の収入の42%は遺伝で決まっているという。くわえて、生まれ育った家庭の影響は8%に及ぶ。これらを足せば収入の50%は、自分ではどうすることもできないことがわかる。また、残りの半分にも、上司や先輩、仕事の内容といった、自分ではコントロールできない要素が含まれている。

もちろん、親が富裕層でなくとも、知力が優れていなくとも、環境に恵まれていなくとも、成功する人はいる。しかし、それは宝くじに当選するようなものなのだ。

この「宝くじに当選する方法」を売るのが、自己啓発ビジネスの王道である。本来なら、金銭的な成功を収められないのは、本人の努力不足ではなく確率の問題だ。その真実を知った人は、絶望に直面する。

とはいえ、自己啓発によってこの絶望から目をそらしていては、何も積み重なることのない人生を送ることになるだろう。著者にとっての哲学とは、この絶望と向き合い、積み上がるわずかな真実とともに生きる道なのである。

自己啓発と哲学の決定的な違い

ところで、自己啓発と哲学の決定的な違いは何なのか。それは、好奇心を示す対象の違いである。自己啓発は、自分という個別性の高い対象を扱い、自己啓発を「信じる」ことを前提とする。一方、哲学は、世界一般に適用できる真理を対象とし、過去の真理を「疑う」ことを前提とする。

中身のある人物として知られる人たちは、往々にして自分の外側にある世界に対して好奇心を抱く。たとえば北野武やタモリなどがそうだ。彼らは役に立たなさそうな知識を大量にもっており、彼らの軸は、そうした知識の体系である哲学によって形成されている。

本来、こうした哲学こそ、自分の中心に何もないことを潜在的に知っている人たちを救ってくれる。そして、外の世界に好奇心を抱くときこそ、自分の中心が豊かになっていく。本当に面白い人は、自分の内面ではなく、世界の真理を探求しているのだ。

東洋思想における決定的な弱点

真理に到達する手段は体験しかないとする東洋思想
David Baileys/gettyimages

哲学を学ぶとき、基本的には西洋の哲学者から学ぶことになる。これは、東洋思想には決定的な弱点があり、それを有効活用することが難しいためだ。その弱点とは何か。

東洋思想は「宇宙の真理を悟った人物の存在を信じる」。これに対して、哲学は「宇宙の真理に向かって、少しでも疑えない事柄を積み上げる」。東洋思想では、真理を悟った人物が、その真理について言葉で説明しようとしない。「真理へは言葉による思考では到達することができず、体験するしかない」と考えるためだ。それゆえ、「できるかぎり疑えない言葉による思考の体系」である哲学にはなりにくいのだ。

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自己啓発・マインド
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酒井穣
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2019年04月10日
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