すべては「好き嫌い」から始まる

仕事を自由にする思考法
未読
日本語
すべては「好き嫌い」から始まる
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仕事を自由にする思考法
著者
未読
日本語
すべては「好き嫌い」から始まる
著者
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2019年03月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

人は何かを決めたり判断したりするとき、「好き嫌い」と「良し悪し」を同時に考えるのではないだろうか。「好きだけど身体に悪いからやめておく」「嫌だけどやらないと」。誰しもが2つの価値観の間で揺れ、バランスを取りながら生きている。しかし面白いのは、好きや嫌いの後には必ず「でも……」と続くことだ。まるで「好き嫌い<良し悪し」という構図が出来上がっているようだ。

しかし、その良し悪しは本当に「良い」のだろうか? 今、あちこちで頻発している「炎上」や「公開処刑」は、人々の思う「良し悪し(正義感・倫理観)」を基準に、そこから逸脱した者を断罪し祭り上げる偏った現象ではないだろうか。人の好み(好き嫌い)の問題と捉えたら、このような過激なことにはならないはずだ。

著者は、あくまで「個人的な好みの話」と前置きをしながら、多様なエピソードをネタに「好き嫌いで判断してもいいんじゃない?」と投げかける。その内容は「ケーキのイチゴはいつ食べるか」というような身近な話題から、企業改革や資本主義まで幅広い。そしてその一見感覚的な「好き嫌い」の中に、筋の通った理屈が潜んでいるのだ。

本書は「文春オンライン」の連載に加筆修正を加えた、23のエピソードによって構成されている。一話完結の人気コラムだから、どこからどう読んでも面白い。自由なはずなのに自由でないような、今の社会にそこはかとない窮屈さを感じているならば、ぜひお読みいただきたい。「好き嫌いで生きてもいいんだ」と心が軽くなること請け合いだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

楠木 建(くすのき けん)
一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻(ICS)教授。1964年、東京生まれ。89年、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学商学部助教授、同大イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専門は競争戦略。『ストーリーとしての競争戦略』が20万部超のベストセラーとなる。他の著書に『「好き嫌い」と才能』『好きなようにしてください』『戦略読書日記』などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世の人々は「良し悪し族」と「好き嫌い族」に分かれる。物事の「良し悪し」は氷山の一角であり、水面下には無数の「好き嫌い」が広がっている。
  • 要点
    2
    努力を続けるためには、それを「努力と思わない」状態に持ちこむのが一番である。努力を「娯楽化」すれば、客観的に見たらものすごい努力でも、本人にとってそれは努力ではなくなる。
  • 要点
    3
    出過ぎた杭も、杭は杭。他と比べることのできない「余人をもって代えがたい」存在こそが本物のプロである。

要約

【必読ポイント!】 「好き嫌い族」と「良し悪し族」

「好き嫌い」とは何か
zakokor/gettyimages

好き嫌いとは「良し悪し」で割り切れないもののことだ。例えば近代社会における「民主主義」や「言論の自由」といった価値観は、個人的な好き嫌いの範疇を超えた、普遍的な場所にある。普遍的な価値観が個別的になっていくと、国や地域や組織の「文化」となる。

文化とは、ある境界の内部で共有された価値観(良し悪し)であり、ローカルなものだ。それをさらに個々に切り分けていくと、個人の好き嫌いとなる。つまり「局所化された良し悪し=個人の好き嫌い」だと言える。

これを氷山に例えると、海の上に出ている目に見える部分は「良し悪し」だ。時間に遅れてはいけない、殺人はいけないなどといった、広い範囲で社会的合意の上に成り立つ価値観である。しかしそれは氷山の一角に過ぎない。饂飩か蕎麦か、蕎麦なら温かいのか冷たいのか、たぬきかきつねか天ぷら蕎麦か、薬味はネギか七味かそれとも両方か。水面下には無数の「好き嫌い」が広がっている。この好き嫌いには個人差があり、人により異なる。

「良し悪し族」が幅をきかせる社会

世の人々は「良し悪し族」と「好き嫌い族」に分かれる。好き嫌い族にとって、良し悪しは「氷山の一角」に過ぎない。彼らにとっての世の中は、個人の好き嫌いの集積だ。だから多少気に入らないことがあっても「ま、それぞれだからいいんじゃない?」とやり過ごす。

しかし最近、良し悪し族が幅をきかせてきているように見える。彼らは個人の好みとしか言えないような問題でも、「ここがおかしい」「こうならなければならない」と、良し悪し基準を持ち出して声高に主張する。

インターネットの時代になり、行動の自由は増した。しかしその一方で、人々は他人の目に映る良し悪しをこれまで以上に気にするようになった。政治家でもない一般人が、大した根拠のない「コレクトネス」に縛られ、自由に考えたり行動できなくなったりしている。

世の中を成り立たせるために、価値観の共有は必要だ。しかし、市場経済や自由主義という「普遍的な価値観」も、水面下では個人の好き嫌いが支えている。そもそも、近代以降の思想・制度は、個人の意思や選択、行動といった好き嫌いが前提にあるものだ。

「好き嫌い」で選べばよい
metamorworks/gettyimages

どんな商売も、最終的には「業績」という良し悪し基準へたどり着く。しかし著者の場合、そこへ至る道、すなわち「戦略」は、好き嫌いで決める場合がほとんどだ。

戦略とは「競合他社との違いをつくる」ということ。他社と同じことをやるだけでは、戦略にはならない。例えば、ZARAとユニクロは同じファッション業界に位置しているが、両社が考える「良い」は違う。ZARAは短いサイクルで多品種少量生産することを「良い」とするが、ユニクロはその戦略をとらない。スポーツと違い、ビジネスでの競争はプレイヤーそれぞれが「違い」をつくり、異なった位置を選ぶ。つまり、同じ業界で同時に複数の「勝者」が存在しうるということだ。ZARAとユニクロは、いずれも勝者である。

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