自分でつくるセーフティネット
生存戦略としてのIT入門

未 読
自分でつくるセーフティネット
ジャンル
著者
佐々木俊尚
出版社
大和書房
定価
1,320円(税込)
出版日
2014年07月26日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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自分でつくるセーフティネット
自分でつくるセーフティネット
生存戦略としてのIT入門
著者
佐々木俊尚
未 読
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ジャンル
出版社
大和書房
定価
1,320円(税込)
出版日
2014年07月26日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

いま、わたしたちの生きる基盤が崩れてきている。これまで人情と道理のバランスが取れていた社会は、道理を重視する傾向が極めて強くなってきた。故郷と呼べるような帰る場所がなくなり、都心部では隣人の名前すら知らないほど地域社会が崩壊してしまっている。会社による終身雇用の時代は終わりを告げ、非正規雇用の若者が増加したことで、将来への不安が一層増してきている。つまり、いつ自分の身に何かが起こっても全く不思議じゃない、なのに、何かあったときに救いの手を差し伸べてくれる人が見当たらなくなってしまっているのである。

先が見えない現代において、自分を守るセーフティネットを築く方法は何なのだろうか。本書の著者である佐々木俊尚氏によれば、そのカギを握るのはSNSだ。本書を読めば、プライバシーや個人情報の保護が叫ばれる現代において、なぜ私たちはfacebookを重宝し、SNSに次々と自分の情報を書き込んでいくのか、インターネットのつながりは本物なのか、といった疑問が明らかになる。さらに、これからの時代を生きていくためのインターネット上、そして現実世界での振る舞い方を知ることができる。

佐々木氏のfacebookやtwitterのアイコンで背景に使われている明るい黄色。その色がカバーに使われた本書は、氏の「こんな世の中になってほしい」という前向きで強い想いが込められている。不安定で先が見えない世の中に、一筋の光を照らすような一冊である。

苅田明史

著者

佐々木 俊尚
作家・ジャーナリスト
1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部政治学科中退。毎日新聞などを経て、フリージャーナリストとしてIT、メディア分野を中心に執筆している。インターネットやコンピュータのテクノロジは、われわれの社会をどのように変容させ、ネットとリアル社会の境界部分ではどのように融合していくのか。そのリアルな局面を描き、その先に待ち受ける未来ビジョンをできうるかぎり事実に基づいて描写することを仕事の基本テーマとしている。
著書は『レイヤー化する世界』(NHK出版)、『「当事者」の時代』(筑摩書房)、『簡単、なのに美味い! 家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    国や会社が守ってくれる時代は終わりを告げ、「情の世界」が薄れ、「理の世界」が押し寄せてきており、わたしたちは自らセーフティネットを築く必要に迫られている。
  • 要点
    2
    インターネットが発達した現代は「総透明社会」と呼ばれ、ネット上と現実世界での人格が一致し、見知らぬ他人でもどのような人なのかが分かってしまう。
  • 要点
    3
    「見知らぬ他人を信頼すること」「多くの人との弱いつながりを持つこと」「善い人であること」「自分の中途半端な立ち位置を知ること」がこれからの時代に求められる生存戦略だ。これらこそが再び「情の世界」を取り戻し、セーフティネットを構築することができる。

要約

セーフティネットは自分でつくる時代

セーフティネットが見えにくくなった
Tsubaki / Imasia???????

佐々木氏は21世紀になって大きく変わったことの一つとして、「セーフティネットが見えにくくなった」ことを挙げている。それまでは「理の世界」と「情の世界」のふたつがあったおかげで社会がうまく動いていた。ところがいま、日本の会社では会社の終身雇用が崩壊してきて、若い人が非正規雇用に追いやられた結果、「情の世界」を維持することができなくなってきている。一方、グローバリゼーションという強力な「理の世界」が日本にも広まってきたことで、日本企業は防戦一方、中には敗退するところまで出てきた。

こうした状況が日本人のセーフティネットを危ない状況に追いやっている。セーフティネットとは「わたしたちがホームレスになったりしないように用意されたさまざまな防御策」という意味だ。国が用意しているセーフティネットには失業保険や生活保護がある。また企業に正社員雇用されるというのも、解雇されにくくなるという意味でひとつのセーフティネット。生活が安定している親や兄弟、自分のパートナーや成人した子どもも、万一というときに助けてくれるセーフティネットと言える。

高度経済成長によって会社が大きくなり、豊かになった結果、終身雇用と年功序列という仕組みが1970年代後半にでき、それから30年近くは会社を中心にしたこの仕組みが維持されてきた。そのため当時は、大過なく残りのサラリーマン人生を過ごし、退職金と年金満額を狙うことが正しい生存戦略だったのである。

しかし2000年ぐらいからグローバリゼーションの波が押し寄せ、経営が悪化した企業は中高年のリストラ、そして新入社員の採用を抑え、非正規雇用を進めるようになった。

そうした中で短期的に保守的になるのはある程度仕方がないことかもしれないが、中長期的にはそれだけでは足りない。いま、自分にとってのセーフティネットとは何か、それをどのようにつくっていけばいいのか、という戦略が求められている。

中身で勝負する総透明社会

もう一つの変化は「総透明社会」である。透明というのは、情報技術が発達したことで、何でも見られてしまう社会になってきたということだ。

フェイスブックが世界に10億人ものユーザーがいる理由は、フェイスブックが行ったレストランや旅行の自慢をするためのものではなく、「人間関係を気軽に維持していくための道具」であると同時に、「じぶんという 人間の信頼を保証してくれる道具」でもあるからである。

これまでは会社の名刺がその人の信頼度の物差しになっていたが、フェイスブックはそれを代替しつつある。毎日の日記やコメント、写真や友人関係が、その人の本当の人間性を表わしているからだ。すなわち、肩書きではなく、中身そのもので勝負する時代になってきているのである。

プライバシーか、情報か
naka / Imasia???????

インターネット上でプライバシーをさらけ出すというと非難されることが多いが、完全なプライバシーはもはやどこにもない。それどころか、わたしたちはプライバシーを明け渡して自分の情報を提供するかわりに、自分にとっても有用な情報を見返りにもらっている。

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