偉大な組織の最小抵抗経路
リーダーのための組織デザイン法則

未 読
偉大な組織の最小抵抗経路
ジャンル
著者
ロバート・フリッツ 田村洋一(訳)
出版社
定価
2,500円 (税抜)
出版日
2019年09月15日
評点
総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.5
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偉大な組織の最小抵抗経路
偉大な組織の最小抵抗経路
リーダーのための組織デザイン法則
著者
ロバート・フリッツ 田村洋一(訳)
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定価
2,500円 (税抜)
出版日
2019年09月15日
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総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
4.5
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レビュー

会社では業務や人事、組織などに対して、大小様々な改革が行われる。しかし、いざ改革を実行しても、思うように上手くいかないと感じる方もいるのではないだろうか。それどころか、効率化や改善のための改革にもかかわらず、かえって業務が滞り、メンバーの力が発揮できていないケースもあるだろう。なぜ、そういった事態が生じるのか。本書ではそれを組織の「構造」がもたらす最小抵抗経路という観点から解き明かしている。

組織は必ずその根底にある構造によって動いている。組織を構成する人々は、好むと好まざるとにかかわらず、構造が生み出す力によって自然と導かれていく。どれだけ高い志や優れた理論をもっていたとしても、組織の構造に問題があれば、成功が持続しないのだ。

一方、ナイキやソニー、ディズニー、グーグル、アップルのような偉大な組織は、構造が生み出す最小抵抗経路によって、自然と成功が長続きするようになっている。高い志を持ち、深い価値を体現している偉大な組織に必要なものとは何か。本書はそれを明確に示している。構造や最小抵抗経路といった言葉は概念的であるが、豊富な具体例とともにわかりやすい説明がなされている。そのため、主体的に読み進められるうえに、まるで自分が所属する組織の問題点をずばり言い当てられたような感覚を抱く方も多いだろう。新しい構造を創り出すためのプロセスは、組織に身を置くあらゆる方々の課題解決に大きく寄与するはずだ。

大賀祐樹

著者

ロバート・フリッツ
ロバート・フリッツ・インク社の創立者。ロバート・フリッツは、30年以上にわたる研究を通じて構造力学を発展させてきた。創り出すプロセスの領域から始まった取り組みは、やがて組織、ビジネス、マネジメントの領域へと広がった。ピーター・センゲ、チャーリー・キーファー、デイヴィッド・ピーター・ストローとともに、イノベーション・アソシエイツ社の共同創立者でもある。1970年代半ばに、創り出すプロセスを個人の生産性向上のために役立てるトレーニングコースを開始。これまでにフリッツのコースを受講した人は、世界中で8万人を超えている。構造がいかに人間の行動に影響を及ぼすのかについて記した最初の著書『The Path of Least Resistance』(未邦訳)は世界的ベストセラーとなった。邦訳書にはウェイン・S・アンダーセンとの共著『自意識(アイデンティティ)と創り出す思考』(Evolving)、ブルース・ボダケンとの共著『最強リーダーシップの法則――正確に原因を知れば、組織は強くなる』(徳間書店)がある。コンサルタントとしても多くの組織が構造思考を実践できるように支援しており、顧客企業はフォーチュン500の企業から多数の中規模企業、政府団体や非営利組織にまで及ぶ。フリッツは映像作家でもある。監督として、また脚本家として、映画やドキュメンタリー、ショートドラマを製作しており、その映像作品は世界各地の映画祭でこれまでに90以上の賞を受けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    エネルギーは最小抵抗経路に沿って進み、構造が最小抵抗経路を決める。根底にある構造を変えれば、最小抵抗経路も変わり、組織を真に変革に導くことが可能となる。
  • 要点
    2
    組織が前進するのは、緊張を解消しようとする緊張構造が生じたときである。だが、多くの組織では葛藤構造にとらわれ、揺り戻しが起きてしまう。
  • 要点
    3
    葛藤構造を緊張構造に変えるためには、組織の高次の目的や共有ビジョンに基づいて、より重要な目標を定義し、組織をリデザインする必要がある。そのためには、経営陣のリーダーシップが欠かせない。

要約

成功への最小抵抗経路を生み出す構造

構造が決める最小抵抗経路

アメリカ西部開拓時代、入植者たちは、すでに道が拓かれていることを発見した。バイソンの群れが、何世紀にもわたって大地に道筋を残していたのだ。バイソンが残したルートは、ロッキー山脈を超えて、夢のカルフォルニアまで続いていた。後年、鉄道を敷設するとき、鉄道設計者たちはバイソンの道を選んだ。バイソンは、広大な大陸を横断する最適な通り道を知っていたのだ。

これこそが、本書のテーマとなる「最も抵抗の少ない道」(最小抵抗経路)である。バイソンが自然の法則に従うのと同じように、人間も自然の法則に従うしかない。自然においては、エネルギーは最も楽な方に向かい、全てはこの原理に従う。

本書は、最小抵抗経路の基本原理となる三つの洞察から成り立っている。それは、「エネルギーは、最小抵抗経路に沿って進む」「根底にある構造が、最小抵抗経路を決める」「私たちは、新しい構造を創り出すことによって、最小抵抗経路を決められる」である。根底にある構造を変えれば最小抵抗経路も変わり、組織を真に変革できるのだ。

成功と失敗の違いは構造が決める
marchmeena29/gettyimages

著者が企業組織の仕事を始めて直面した最大の謎がある。それは、うまくいったことが続かず、成果が消えてしまうことだった。一方で「成功が成功を呼ぶ」企業も存在する。その違いは構造にある。構造の力学によって成功や失敗が決まるのだ。

では、構造とは何か。構造とはそれ一つで全体として一体となっているものであり、相互に関係性を形成して影響を与え合う個々の要素から成り立っているものである。

構造としての組織は、揺り戻すか、あるいは前進するかのどちらかだ。どちらの組織も成功自体は経験するものの、前者はやがて失敗し、後者は長期的成功を収める。ロッキングチェアは前後に揺れ続けるだけだが、クルマは前進する。それぞれ、構造が違うからだ。しかし、私たちはロッキングチェアが前に進んだら必ず元に戻るのが最小抵抗経路だということに気づかない。そして、揺り戻しを起こし、成功を失敗に逆戻りさせてしまう。組織を前進させるためには、組織構造を変えなければならない。次々に改革を実施しても、組織構造が旧態依然のままでは、結局長続きしない。多くの従業員は変革など無駄だと思うようになるだろう。

前進を生み出す緊張構造

では、どのように構造を変えればよいのだろうか。エネルギーが最小抵抗経路で進むように働きかけるのは、構造力学的に緊張が生じることによる。緊張は一つのものと、もう一つのものとの差から生じる。そして、不均衡を解消して差がなくなるように、最小抵抗経路が形成されていく。

ポイントは、「緊張は解消したがる」ということだ。組織をリデザインする上で最も重要な緊張は、私たちの望むものと持っているもの、創り出したい状態と実際の状態の差である。これを緊張構造と呼ぶ。ビジネスや経営をデザインするときは、必ず緊張構造がその計画と実行の基礎となる。創り出したい成果をはっきりさせ、それに対する現在のリアリティを定義する。これにより、緊張が形成され、具体的な行動計画を実行することで解消されていく。緊張構造の原理こそ、組織が持ち得る最強の力である。同時にそれは、どんな成果を創り出したいかを知り、目標に対して今どこにいるのかを知ることである。

組織が、前進する緊張構造を創り出すためには、個別の目標よりも上位の成果目標を定義しなければならない。そのうえで、全ての下位の目標によって上位の成果目標が支えられているようなデザインが求められる。このような目標間のつながりが、組織が前進するための最小抵抗経路を形成する。こうして、組織を緊張構造が支配するとき、組織は前進する。

なぜ揺り戻しが起き、成功による成果は失われるのか

揺り戻しを招く葛藤構造
tadamichi/gettyimages

多くの組織は、無数の揺り戻しを定期的に繰り返している。「リスクをとって動け」と号令がかかったと思えば、しばらくすると「経営陣と歩調を合わせるように」といわれる。あるいは、コスト削減から積極投資へ変革しても、またコスト削減へと戻っていく。このように、揺り戻しパターンを通して、企業は多くを浪費してしまう。どうしてこのパターンを繰り返してしまうのか。それは、根底にある構造が葛藤構造となっているからだ。

緊張解消システムが単純な場合は、緊張構造が生じる。ところが、二つの競合する目標を巡って二つの緊張解消システムが存在すると、事態は複雑化し、葛藤構造が生じる。例えば、空腹が支配的な緊張となれば、それを解消するために食べることになる。すると体重が増えるため、ダイエットのために食べる量を減らしたり、食事を抜いたりする。体重は減るが、今度は身体が栄養を欲する。そのため、食欲が増大し、再び空腹の緊張が支配的になる。このとき、緊張解消のための最小抵抗経路は、食べるという行動とダイエットという行動との間で、「支配のシフト」を繰り返している。これが揺り戻しパターンである。

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リーダーシップ・マネジメント 経営戦略
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