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結果と向き合う勇気


本書の要点

  • 著者は、メジャーにいられなければ引退すると宣言していたものの、その決断を翻した。「メジャーでやりたい」という気持ちよりも「野球がやりたい」という気持ちが勝っていたからだ。

  • 著者は、2019年5月に引退を発表した。悔しかったが、戦い終えたような感覚もあった。

  • 二軍とは経験をする場所、一軍とは結果を出す場所である。一軍は経験する場所ではないので、結果でのみ判断されるべきだ。

  • 自分を知ることができれば、行動指針が見えてくる。そうすれば、目標達成までのロスを削減できる。

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【必読ポイント!】引退までの道のり

2017年12月

「あと1年で引退だな」――2017年のシーズンをシカゴ・カブスで終えたとき、この選択肢が現実味を帯びてきた。その年の成績は、49試合に登板して3勝4敗2セーブ14ホールド、防御率3.95。決して満足できるものではなかった。一方で、43イニングで50奪三振と、「まだできる」という手ごたえも感じていた。42歳にしては立派だという声もあった。やはり、まだメジャーでやっていきたい。日本のプロ野球は選択肢に入れず、あくまでメジャーにこだわっていた。オフに入るとすぐに、数球団からオファーが舞い込んだ。しかし、希望する条件ではない。そのときは、まだまだオファーがあるとみていた。

2018年2月

Candice Estep/gettyimages

シカゴ・カブスを離れることを表明して4ヶ月が経過しても、所属先は決まらなかった。自主トレ中も、代理人からの連絡を期待して、鳴らないスマートフォンを持ち歩いていた。もう、シーズンは目の前だ。この年は、近年まれに見るほど、選手の所属先が決まらない年だった。ダルビッシュ有選手でさえ、2月半ばになるまで未定だったほどだ。

2018年3月

メジャーにいられなければ引退すると宣言していたものの、所属先が決まらない中で、本当にメジャーにこだわるべきかと悩み始めた。自分にとって大切なものは何なのか。メジャーでやりたいのか。それとも野球がやりたいのか。その答えはもちろん「野球がやりたい」だった。日本のチームでも、自分を必要としてくれるチームがあるならばやりたい。実際、いくつかの日本球団からオファーが来ていた。結局、読売ジャイアンツへの入団が決定した。10年ぶりにジャイアンツのユニフォームを着ると、獲得してくれたジャイアンツに対して「結果で恩返しをする」という覚悟が湧いてきた。

2018年10月

manusapon kasosod/gettyimages

ジャイアンツは2018年に3位でシーズンを終えて、クライマックス・シリーズに進出した。まだ日本一のチャンスはある。同級生であり、著者を獲得してくれた高橋由伸監督が、成績不振を理由に監督辞任を発表してもいた。球団のために、できることをしなければならない。初戦の相手は、2位のヤクルトだ。先発だった今村がツーベースヒットを打たれると、コーチから声がかかった。「ウエ、行くぞ!」。期待か不安か、アナウンスに球場がどよめいた。

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要約公開日 2020.01.19
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