最高の集い方

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最高の集い方
出版社
プレジデント社

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出版日
2019年10月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

社会生活において、日々数多くの会合が開かれている。小さなホームパーティーから国際会議まで、その規模はさまざまだが、すべての会合が有意義なものであるとは決して言い切れない。習慣のうちに形骸化された退屈な集まりで無駄な時間を過ごしたことがある人も多いだろう。

本書の著者であるプリヤ・パーカー氏は、対話と紛争の分野で経験を積み、アメリカでプロのファシリテーターとして働く人物だ。「会合に集まった人がそこを自分の居場所だと感じられる集まり」を理想に掲げ、15年間で数々の会合を企画し、アドバイスを行ってきた。

本書は、人々が集まる会合における「目的」の重要性を説くとともに、主催者がいかに振る舞うべきかに重点を置いて、より良い集いをつくるための方法を紹介している。誕生会やキャンプ、葬式、学校のクラブ活動など、日常に即した事例を多く集めているため、どのような会合にも活用することができるだろう。また、人と人がつながるとはどういうことか、人とより深く関わるためにはどのように振る舞うべきなのかなど、根本的な対人スキルについてもより深く考えることができる。

イベントの主催者として「最高の集い」を実現したい人はもちろん、大事な商談を成功させたいビジネスパーソンやこれから社会人として多くの人と関わる学生にとっても、学びの多い一冊だといえるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

プリヤ・パーカー(Priya Parker)
プロフェッショナルファシリテーター。戦略アドバイザー。MITで組織デザイン、ハーバード大学ケネディスクールで公共政策、バージニア大学で政治・社会思想を学ぶ。15年以上、人種問題や紛争解決など複雑な対話のファシリテーションを行ってきた。著書『最高の集い方(The Art of Gathering)』は、2018年にアマゾン、フィナンシャルタイムズなどでベストビジネスブックオブザイヤーに選ばれた。世界経済フォーラムのグローバルアジェンダ委員会のメンバー。TEDメインステージのスピーカーでもあり、TEDxの動画の再生回数は100万回以上。ニューヨーク在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    有意義な集まりを開くために最も必要なのは、目的の設定である。主催者は、目的に深くコミットして招待客を厳選し、会場を選ぶ必要がある。
  • 要点
    2
    主催者は、ゲストを放任してはならない。積極的にゲストに働きかけ、ゲスト全員が安全に有意義な時間を過ごせるように取りはからうべきだ。
  • 要点
    3
    会合では、ゲストが立場や職歴などを取り払い、ありのままの自分として振る舞った方が建設的なつながりが生まれやすい。そのためには、主催者がゲスト同士の垣根を取り払う環境づくりをしなければならない。

要約

【必読ポイント!】目的を掲げる

目的は分類ではない
Orbon Alija/gettyimages

意味のある集まりを開くためには、何よりまず「はっきりとしたゆるぎない目的を掲げること」が欠かせない。そうしないと、惰性もしくは誤解に基づいて会合の形式が決まることになり、意味のない集まりとなってしまう。

人脈づくりのイベント、読書会、ボランティア研修など、イベントにはさまざまな「種類」があるが、それは「目的」とは異なるものである。人脈づくりのイベントにおける「同業者同士を引き合わせること」は、「目的」ではない。「目的」とは、イベントで「何をするか」である。

たとえば、主催者がこう自問してみたらどうだろう。「その集まりの目的は、ゲストに事業パートナーやクライアントを見つけてもらうことなのか? それとも、商品の売り込みをすることなのか? あるいはアドバイスをもらうことなのか? 異業種の人たちを引き合わせ、できるだけたくさん知り合いをつくってもらうことなのか? これからも会いたくなるような仲間をつくることなのか?」と。

目的を定めることとは、集まる理由と、集いがゲストの人生にどのような意味を生むのかを考えることである。目的によって、イベントの種類は大いに変わってくるだろう。

目的の見つけ方

集まりの目的を定めるときは、「何のために集まるのか」ではなく「なぜ集まるのか」を考えてみるといいだろう。ここでは、目的を見つけるときに役立つ3つのコツを紹介しよう。

まず、ズームアウト(俯瞰する)だ。たとえば、化学の教師が「あなたの仕事の目的は何ですか」と聞かれて「化学を教えることです」と答えたとしよう。これは「授業をどうデザインするか」を考えるときには使えない。もし答えが「若い人たちに、一生にわたって化学との関わりを持ってもらうこと」であれば、ワクワクするような授業の第一歩になるだろう。

次に、「掘って、掘って、掘り下げる」だ。「なぜ?」を繰り返して、そこから深く掘り下げて考えてみよう。

最後に、「逆算して考える」だ。その集まりによって、ゲストにどんな変化をもたらしたいか。結果に目を向ければ、集まる目的が明確になるはずだ。

もし、どんなに考えても目的が定められないなら、ただ気楽に集まればいい。もしくは、ゲストの貴重な時間をわざわざ使ってまで集まる必要はないのかもしれない。

あえて門戸を閉ざす

招待者を厳選しよう

定めた目的にぶれがないかどうかが最初に試されるのは、招待者のリストを作るときだ。大胆で斬新な目的を掲げていても、この段階になるとプレッシャーに負けてしまう人は多い。なぜなら、人を招くことよりも、誰を招かないかを決める方が難しいからだ。

それでも、理想の集まりを実現するためには、深く考えて「招かない人」を選ばなければならない。「どなたでも歓迎」という態度は、招く側が会合の目的を自覚していないことのあらわれなのだ。

会場が行動を変える
alvarez/gettyimages

会場を決める際、値段や利便性、規模などについては検討するのに、目的に合うかどうかを考えない人は多い。だが、それは大きな間違いだ。

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要約公開日 2020.01.30
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