意味のある集まりを開くためには、何よりまず「はっきりとしたゆるぎない目的を掲げること」が欠かせない。そうしないと、惰性もしくは誤解に基づいて会合の形式が決まることになり、意味のない集まりとなってしまう。
人脈づくりのイベント、読書会、ボランティア研修など、イベントにはさまざまな「種類」があるが、それは「目的」とは異なるものである。人脈づくりのイベントにおける「同業者同士を引き合わせること」は、「目的」ではない。「目的」とは、イベントで「何をするか」である。
たとえば、主催者がこう自問してみたらどうだろう。「その集まりの目的は、ゲストに事業パートナーやクライアントを見つけてもらうことなのか? それとも、商品の売り込みをすることなのか? あるいはアドバイスをもらうことなのか? 異業種の人たちを引き合わせ、できるだけたくさん知り合いをつくってもらうことなのか? これからも会いたくなるような仲間をつくることなのか?」と。
目的を定めることとは、集まる理由と、集いがゲストの人生にどのような意味を生むのかを考えることである。目的によって、イベントの種類は大いに変わってくるだろう。
集まりの目的を定めるときは、「何のために集まるのか」ではなく「なぜ集まるのか」を考えてみるといいだろう。ここでは、目的を見つけるときに役立つ3つのコツを紹介しよう。
まず、ズームアウト(俯瞰する)だ。たとえば、化学の教師が「あなたの仕事の目的は何ですか」と聞かれて「化学を教えることです」と答えたとしよう。これは「授業をどうデザインするか」を考えるときには使えない。もし答えが「若い人たちに、一生にわたって化学との関わりを持ってもらうこと」であれば、ワクワクするような授業の第一歩になるだろう。
次に、「掘って、掘って、掘り下げる」だ。「なぜ?」を繰り返して、そこから深く掘り下げて考えてみよう。
最後に、「逆算して考える」だ。その集まりによって、ゲストにどんな変化をもたらしたいか。結果に目を向ければ、集まる目的が明確になるはずだ。
もし、どんなに考えても目的が定められないなら、ただ気楽に集まればいい。もしくは、ゲストの貴重な時間をわざわざ使ってまで集まる必要はないのかもしれない。
定めた目的にぶれがないかどうかが最初に試されるのは、招待者のリストを作るときだ。大胆で斬新な目的を掲げていても、この段階になるとプレッシャーに負けてしまう人は多い。なぜなら、人を招くことよりも、誰を招かないかを決める方が難しいからだ。
それでも、理想の集まりを実現するためには、深く考えて「招かない人」を選ばなければならない。「どなたでも歓迎」という態度は、招く側が会合の目的を自覚していないことのあらわれなのだ。
会場を決める際、値段や利便性、規模などについては検討するのに、目的に合うかどうかを考えない人は多い。だが、それは大きな間違いだ。
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