空の上で本当にあった心温まる物語2

未読
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空の上で本当にあった心温まる物語2
出版社
定価
1,430円(税込)
出版日
2014年10月16日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

3万9000フィートの上空を飛ぶ航空機の中は、現実から切り離された特別な空間だ。さまざまなバックグラウンドを持った人びとが、ひと区切りの時間を機内で過ごし、目的地に着くと、またそれぞれの人生に戻っていく。旅行やビジネスだけでなく、人生の転機や節目、出会いや別れを前に、窓の外に広がる空を眺めて心の準備をする人も多いだろう。

そんな飛行機の中では、さまざまなドラマが生まれる。本書は、ANA社内で語り継がれてきた心に残るストーリーを、元CAがまとめた短編集である。家族の物語、プロポーズのエピソード、幼い日の思い出・・・。それぞれのストーリーは5ページ程度と短く、移動中や気分転換に読むにも適している。それでいて、乗客それぞれの人生を想像させる広がりがあり、意外な結末に目頭が熱くなることもたびたびだ。

本書はまた、きめ細やかな接客に定評のあるANAの、サービスに対する姿勢を垣間見ることができる書でもある。空の上という特殊な環境では、マニュアルに載っていない、イレギュラーな事態が次々に起こる。地上から切り離された空間で、できることが限られている中、CAたちは知恵を絞り、考えうる最善の対処をする。時にはマニュアルを超えて、ひとりの人間として乗客と向き合おうとする。「誰かのために働く」ことの根源的な喜びを、あらためて思い出させてくれる一冊だ。

ライター画像
髙橋三保子

著者

三枝理枝子
ANA元CA/ANAラーニング株式会社講師/作法家。
青山学院大学文学部英米文学科卒業。ANA(全日本空輸株式会社)入社後、国内線、国際線チーフパーサーを務める。VIP(皇室、総理、国賓)フライトの乗務ほか、実機の新入客室乗務員訓練のインストラクター、業務要領プロジェクトメンバーに選ばれるなど、幅広く活躍した後、退職。現在は、ANAラーニング株式会社の研修事業部講師として、ANAグループをはじめ、多くの一般企業や学校等で人財育成に関する研修を行っており、リピート率が最も高い講師と評価されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    航空機内や空港で生まれ、ANA社内で語り継がれてきた28の心温まる物語を、元CAが紹介。
  • 要点
    2
    航空機にとって大切なのは、目的地まで安全に、定刻どおり乗客を運ぶこと。そして、様々な想いを抱いて搭乗している乗客に、どれだけ寄り添うことができるか。ANAでは、短いフライトであっても、乗った時と降りる時で、乗客の気持ちに何らかの変化をもたらすようなサービスを目指している。
  • 要点
    3
    イレギュラーな事態が起きた時こそ、サービスを提供する側の真価が問われる。重要なのは、スタッフの迅速、誠実、確実な対応。乗客の不安を取り除くことができるのは、スタッフだけである。声の出し方、トーン、スピード、表情、相手を思うひと言があるかどうかで、相手の気持ちは大きく変わる。

要約

【必読ポイント!】 家族の物語

KOICHI SAITO/a.collectionRF/Thinkstock
小さな大黒柱 羽田→福岡便

風呂敷包みを抱いた女性が、制服を着た中学生くらいの女の子と、小学校低学年くらいの男の子を連れて搭乗した。大事そうに抱えている様子から、包みは遺骨のようだ。隣が空席だったので、「隣の席が空いておりますので、お使いください」と声をかけると、女性は涙ぐみながら、遺骨が子供たちの父親のものであることを明かした。

上空で「お寒くないですか?」と声をかけると、女性は「ご親切に恐れ入ります」と涙ぐみ、女の子も「ありがとうございます」と涙声で答えた。そのとき、「大丈夫だよ」と声が聞こえた。お姉さんの隣の席に座った、野球帽をかぶった小さな男の子だ。「お父さんと約束したんだ。お父さんが病気になったとき、『お父さんがいない時は、お前がお母さんとお姉ちゃんを守るんだぞ』って。僕『うん。わかった』って言ったんだ。だから大丈夫だよ」。

男の子の母親は「ありがとう。よろしくね」と涙を浮かべて微笑んだ。通路を挟んで隣に座っていた老夫婦が「偉いな、坊や」「頑張ってね」と声をかけた。「うん」と元気に答えた男の子をふと見ると、自分のももをつねっている。お父さんとの約束を守るために、人前で泣いてはいけないと思ったのだろう。小さな大黒柱が、たくましく見えた。

息子のつなぎ姿 八丈島→羽田便
Andreas Rodriguez/iStock/Thinkstock

先日、八丈島から羽田に向かうプロペラ機に、乗客として搭乗した。何気なく首にしていたペンダントを外し、汗を拭き取り始めたとたん、機体が大きく揺れ、手に握りしめていたペンダントを座席の間に落としてしまった。CAや周囲の乗客も一緒に探してくれたが、見つからない。焦っていると、「到着してから必ずお探しいたしますのでご安心ください」とCAが声をかけてくれた。

着陸後、全乗客が降りるなり、整備士たちが乗り込んで来て、丹念に座席付近を探してくれた。やはり見つからない。すると整備士たちは、ひとつずつネジを外し、座席を分解し始めた。座席シートを外すと、狭い座席のすき間にペンダントが落ちていた。受け取ったとたん、涙が溢れた。それは昨年の春、交通事故で亡くなった息子の形見だったのだ。息子は、自動車会社に技術職として就職が決まっていた。生きていれば、目の前の整備士たちと同じように、つなぎを着て活躍していたことだろう。「また、ぜひご搭乗ください。一生懸命整備して、お待ちしていますから」。力強く言ってくれた若い整備士の姿に息子の顔が重なって、まるで息子がつなぎを着て働いているように見えた。

兄弟げんか 羽田→釧路便

とても暑い日だった。CAとして乗務する釧路便に、70代の男性と、孫らしき二人の男の子が搭乗してきた。丹頂鶴を見に、釧路湿原へ向かうという。二人の男の子は窓の外を眺めたり、観光ブックを読んだり仲良く過ごしていたが、やがて口げんかを始めた。

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