リーダーとして論語のように生きるには

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リーダーとして論語のように生きるには
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2019年08月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

『論語』を知らない方はいないだろう。「四十にして惑わず」を筆頭に、その教えは日本でも広く浸透しており、ビジネスパーソンだけでなく、老若男女多くの人々の指針となっている。

本書は、『弟子規(ていしき)』という子供向けの教材がベースになっている。『弟子規』は、『論語』のエッセンスを取り出し、平易にまとめたものだ。本書には、その全文と日本語訳、そして簡単な解説が収録されている。

子供向け教材というだけあって、その教えは非常にわかりやすく、実践的だ。また「リーダーとして」とあるように、特に管理職にあたるビジネスパーソンに向けて著者の見解が付されているのもありがたい。多くの読者にとって、『論語』を理解し実践するために重要な役割を果たしてくれるだろう。

詳しい解説は本文に譲るが、『弟子規』の教えは、親孝行や動物愛護など、誰もが納得するものである。しかし著者によると、そうした教えを子供にやって見せなければならないはずの大人こそ、実践できていないという。すべて実践することはできなくても、心がけることから始めてみてほしい。

インターネットの発展により、複雑に進化した現代社会。その弊害として格差社会や閉塞感が問題になっている。そんな社会にあって、『弟子規』が持つ不変の法則は、私たちの大きな指針となると思う。

ライター画像
松田義人

著者

車文宜(しゃ ぶんぎ:CHE Wenyi)
BrandingMe Asia代表
中国武漢市出身。東京理科大学経営学部卒業、2006年京セラ株式会社入社。広報、人事企画部を経て、英国Manchester Metropolitan Universityにて人事におけるブランディング専攻で修士学位取得。中国、英国、シンガポール、タイ等で日系、多国籍企業の経営者層および中間管理職層を対象に人材育成、組織開発に携わる。2015年BrandingMe Asiaを設立し、パーソナルブランディング確立に東洋哲学を用いてコーチング、トレーニングを実践。

手計仁志(てばか ひさし)
東レ経営研究所シニアコンサルタント
埼玉県出身。早稲田大学政治経済学部卒業、1988年東レ株式会社入社。IT機器産業向け素材営業・市場開拓を長く担当。2010年上海に移住、中国企業との取引実績多数。帰国後、コーチングを活用した職場組織開発に携わり、2017年より現職。専門分野は中国経済、コーチングによるリーダー開発。生涯学習開発財団認定コーチ。日本産業訓練協会マネジメントトレーニングプログラムインストラクター。

本書の要点

  • 要点
    1
    『弟子規』は、18世紀ごろに『論語』をもとにして書かれた。論語から「孝弟(こうてい)」「謹信(きんしん)」「汎愛衆(はんあいしゅう)」「親仁(しんじん)」「学文(がくもん)」という規範のエッセンスを抜き出して平易にまとめ直した、子供向けの教材である。
  • 要点
    2
    『弟子規』の中で特に強調されているのは、「孝弟」だ。「孝弟」ができなければ、他のことができてもまっとうな人間とはいえない。
  • 要点
    3
    見栄えに執着すると、心が乱れ、智慧の開花が妨げられる。物を欲する心を無くして清らかで本来の智慧を取り戻した上で、才芸を学ぼう。

要約

論語から生まれた『弟子規』

子供たちのための教材として
Chinnapong/gettyimages

『弟子規(ていしき)』は、18世紀ごろに『論語』をもとにして書かれた。論語から「孝弟(こうてい)」「謹信(きんしん)」「汎愛衆(はんあいしゅう)」「親仁(しんじん)」「学文(がくもん)」という規範のエッセンスを抜き出して、子供たちにも分かりやすく伝わる形にまとめ直されている。その全文はわずか1080字で、音で覚えやすいように3文字ずつの韻文構成となっている。

『弟子規』は子供に与えて終わりではなく、親が実際にやって見せるタイプの教材だ。だから子供が実践できていないとしても、親がそれを責めるのは筋違いである。むしろ親が反省すべきなのだ。

大人は、子供たちに「お友達と仲良くしなさい」と言いながら、会社で同僚の陰口を叩く。「小さい子をいじめちゃダメ」と教えているのに、上司から部下へのハラスメントがメディアを賑わせる。『弟子規』の内容は人間行動の基本でありながら、大人になると不思議なほどできなくなってしまうのだ。『弟子規』の内容が身についていないのに、高尚なビジネス本を読んだり、専門的知識を得たりしても、まったく意味がない。

【必読ポイント!】 『弟子規』の教訓

道徳と『弟子規』

『弟子規』は、「道徳」の実践について、日常生活に落とし込んで具体的に示してくれている。

その冒頭は「先ず父母に孝行をつくし、兄など年長者によくつかえる。次に言動を謹み、信用を得る」「人を泛(ひろ)く愛し、仁徳のある人に親しく学ぶ」「さらに力があれば、文学をすすめる」だ。ここに並べられた「孝弟」「謹信」「愛衆」「親仁」「学文」の5つのキーワードが『弟子規』の根本的な要素である。

その中でも特に強調されているのは、最初に言及されている「孝弟」だ。「孝弟」ができなければ、他のことができてもまっとうな人間とはいえない。だから「孝弟」から始め、「謹信」「愛衆」「親仁」「学文」の順に実践していこう。

本書では、『弟子規』の全文と日本語訳に加え、現代の視点を交えた簡単な解説が掲載されている。加えて「孝弟」「謹信」「汎愛衆」「親仁」「学文」のそれぞれについて、『弟子規』の中から選りすぐりの句を取り上げて、それらを日常生活においていかに実践すべきかが指南される。要約では、5つのパートのエッセンスを紹介する。

『弟子規』孝弟
kohei_hara/gettyimages

『弟子規』では、親孝行には4つの基本形があると説いている。親の身体に気を配ること、親の心を落ち着かせ安心させること、親の向上心や志を支援すること、親に智慧を授けてあげることだ。

本書では、『弟子規』の本文から「親に呼ばれたら、緩慢に応えてはならない」「親に用事を命じられたら、行動を怠ってはならない」「親の教えは敬って聴く」「親に叱られた時は、素直に受け入れる」が引用されている。両親を敬う心を持ち、両親の言うことを素直に聞き入れることが重要なのだ。そしてその心の対象を両親から社会の年長者へと広げていき、真の意味での敬う心が身につけば、調和のとれたチームを築くことができる。

また同様に「身体に傷があれば、親に心配をかける」「徳に傷があれば、親に恥をかかせる」を引用し、自分の身体をむやみに傷つけてはならないと強調されている。私たちには、自分の身体を使う権利はあるが、所有する権利はないのだ。

『弟子規』謹信

「謹」とは、自分の中に基準を持ち、その基準に従って自分を律する心構えだ。自分を客観的に見て、自分の意識や行動に向き合おう。

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要約公開日 2020.03.03
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