身銭を切れ

「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質
未読
日本語
身銭を切れ
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「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質
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日本語
身銭を切れ
出版社
ダイヤモンド社

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定価
2,640円(税込)
出版日
2019年12月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「知の巨人」「世界最高の哲人」などと称されるタレブ氏。これまでにも『ブラック・スワン』『反脆弱性』などの世界的ベストセラーを発表している哲学者だ。著者が扱う最大のテーマは「不透明性のもとでの意思決定」である。

『ブラック・スワン』では、想像もしなかったことが起こる原理が考察され、『反脆弱性』では、不確実性を味方につける術が語られた。そして本書では、不確実な世の中で生きるための指標が示される。それが「身銭を切る」という概念だ。原題は「Skin in the Game」。

本書では、リスクを負い、自らの身を投じることの重要性が説かれる。その背景には、近代化が進み社会が複雑になっている今、リスクを負わない人が増えていることがある。日本においてもそうだ。企業はコンプライアンスを重んじるあまり身動きが取れなくなり、下請け会社にリスクを押し付ける。タレブ氏のいうところの「理解するよりも説明するほうが得意な人間」だ。

身銭を切るという行為は、公正、名誉、犠牲など人間の実存にかかわるとタレブ氏はいう。そして、この原則を取り入れれば、文明化に伴う数多くの違和感、乖離を抑制できるのだという。

タレブ氏は、本書の中で「リスクを冒さない人間には何の価値もない」と断言している。現代社会を生きるすべての人に読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
小林悠樹

著者

ナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)
文筆家、トレーダー、大学教授および研究者という三つの顔を持つ、現代の急進的な哲学者。生涯を通じて、運、不確実性、確率、知識の問題に身を捧げており、主な研究テーマは「不透明性のもとでの意思決定」、つまり人間にとって理解不能な世界で生きていくための地図やルールについて考えること。レバノンでギリシア正教の一家に生まれ、ウォートン・スクールでMBAを、パリ大学で博士号を取得。現在、ニューヨーク大学タンドン・スクール・オブ・エンジニアリングでリスク工学の教授を務める。著書『まぐれ』『ブラック・スワン』『反脆弱性』(いずれもダイヤモンド社)は39を超える言語で出版されたベストセラーである。

本書の要点

  • 要点
    1
    「身銭を切る」という概念は、「何かがうまくいかなかった場合に相応のペナルティを支払う」という意味合いを持つ。学者、専門家、政治家、官僚など、身銭を切らない人は多い。
  • 要点
    2
    身銭を切るという概念は、対称性の問題だ。身銭を切らない場合、リスクの非対称性が生じる。
  • 要点
    3
    エージェンシー問題や少数決原理など、非対称性は生活のいたるところに隠れている。
  • 要点
    4
    生きるということはリスクを冒すことだ。身銭を切らない限り、冒険は冒険と呼べない。

要約

【必読ポイント!】「身銭を切る」とは何か

身銭を切ることの本質

「身銭を切る」という概念は、単なる金銭的な話ではない。「何かがうまくいかなかった場合に相応のペナルティを支払う」という意味合いを持っている。端的に言えば、利益の分配ではなく、対称性の問題だ。この概念は世の中で起こるさまざまな事象に当てはめることができ、難問を解くヒントにもなりえる。

本書において、著者は、身銭を切らない人びとを批判する。著者にとって、身銭を切るという行為の本質は、公正、名誉、犠牲といった、人間の実存にかかわる物事にあるからだ。

身銭を切らない人たち
metamorworks/gettyimages

知識とは、自らの体験や試行錯誤に基づいて得られるものだ。

ここで重要なのは、試行錯誤する過程において、本人がリスクを負っている、つまり身銭を切っていることだ。身銭を切ることで負の影響を被るかもしれないが、そこから学んだり、新たな発見をしたりすることができる。そうして得る知識は、(学者たちが行いがちな)純粋な推論を通じて得られる知識よりも、ずっと優れたものだ。

身銭を切っていないのは学者だけではない。世の中を牛耳る政治家や権力者たちも、身銭を切らない。たとえば、アメリカは「独裁者を排除する」という大義名分のもと、さまざまな手段を講じてきた。そうした手段は、結果として、テロ組織の誕生や戦争など、多くの惨事を招いている。

干渉屋と罪のない人々

著者は、自分の範疇の外にあるものに対して悪い影響を与える人々を「干渉屋」と呼ぶ。そして、干渉屋の欠陥は「動ではなく静で」「高次元ではなく低次元で」「相互作用ではなく行為という観点で」物事をとらえる点にある。自分の行動による2次的・3次的影響を考えず、いざ想定外の事態が起きると「ブラックスワンだ」と騒ぐのだ。

干渉屋の問題点は、彼らは何の損失も被らないということである。エアコンの効いた快適なオフィスで意思決定を行い、たとえそれが間違っていたとしても損害を被ることはない。そのツケを払わされるのは、シリア人であり、イラク人であり、罪のない人々なのだ。ここから得られる原理原則は「リスクを負わぬ者は、意思決定にかかわるべからず」である。

一方、過去の偉人たちは、常にリスクを負っていた。ローマ皇帝のユリアヌスは、戦いの最前線で命を落とした。そのほかの歴代ローマ皇帝の多くも同じくである。彼らは、名声と引き換えにリスクを負うからこそ、人民の庇護者であり、貴族たりえたのだ。

エージェンシー問題

倫理か、法か
taa22/gettyimages

エージェンシー問題という言葉がある。これは、代理人(エージェント)と依頼人(プリンシパル)のあいだの利害の不一致のことだ。自動車のセールスマンと車の購入希望者、医師と患者などが、その一例である。

投資銀行の営業マンと顧客の関係をみてみよう。

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